子犬はいつになったら落ち着くか
チワワのような超小型犬やプードルのような小型犬からセントバーナードなどの大型犬、超大型犬まで、犬には体格が大きく異なる多くの犬種があります。
犬の年の取り方は体の大きさに関係していて、小さい犬ほど成長が早く老化がゆっくりで、逆の言い方をすると大きい犬ほど成長はゆっくりだが老化が早く進みます。
犬の年齢を人間の年齢に換算すると、色々な表や式がありますが、おおよそのところ、小型犬から25キロくらいの中型犬までは1歳前後でおよそ人間の18歳程度で、大型犬や超大型犬では人間の18歳程度になるのは1歳過ぎから2歳になるころのようです。
「人間に換算すると何歳なのか」は、体の成長についてなのか精神的な成熟についてなのかによっても変わりますが、成長の早い子では1歳ころから、そして成長の遅い子では3歳ころから人間で言う「大人」の仲間入りと考えられるのだと思います。
犬の年齢を人間の年齢で考えると…
ちょっとここで、人間の年齢に換算した場合に注目してみましょう。
犬の1歳でおよそ人間の12歳~18歳となると考えれば、犬にとって1歳はまだまだ落ち着く時期ではないのかもしれません。小さな子供のようなやんちゃさはなくても、落ち着き払った態度を見せるにはまだ早いことが多いでしょう。人間でさえ社会に出てちょっとくらいでも、なかなか大人の落ち着きなんて身につかないものですよね。
成犬になってからは1年に人間の5~7年分の年を取ると言われていますので、大抵の犬は3歳を過ぎるころには人間でいうアラサーの年代に差し掛かり、大人としての落ち着きを見せるようになるのではないでしょうか。
落ち着かない犬の考えられる原因
一般的にも3歳ころには犬たちは落ち着いていくと言われることが多いものですが、やはり個体差、環境差から4歳5歳になっても落ち着きも見せない犬もいます。8歳やそれ以上の年齢になって老化の兆しが見られても「落ち着き」が見られず、ハイパー気味の子もいます。
「うちの子はいつまでたっても落ち着きがない子なのよ~」なんてお話もちらほら聞きますが、実はこれ、犬の性格の問題だけではないことがあるのです。「落ち着きがない」犬の行動に関しては犬の性格からくるものだけではなく、幼少期からのしつけや家庭の環境、飼い主の接し方によるものもあります。つまり、飼い主がいつまでたっても落ち着きのない、またはハイパーな犬を作りあげてしまっているということもあるのです。
飼い主が犬に落ち着くことを教えていない
飼い主との信頼関係がちゃんと結ばれ、社会化や適切な家庭犬としてのしつけをされ、飼い主の指示を聞けるようになっている犬の場合、1~2歳のうちは多少のやんちゃをすることはあっても、イケナイと教えられたことはやめる、またはやらなくなりますし、3歳を過ぎてなお盛んに悪戯(やって欲しくないこと)をするようなことはあまりないでしょう。
ところが信頼関係が薄い、飼い主の指示を聞かない犬になっている、さらには犬の言うことを飼い主が聞いているという状態になっている場合には、飼い主がやって欲しくないと思っていることをやめさせることはできませんし、それが「やめて欲しいことだ」と伝えることもできないでしょう。また、誰も犬をコントロールする人がいませんので、犬はちょっとした刺激にすぐ興奮するようになってしまうこともあるのです。
飼い主との信頼関係がしっかりと築けている犬ですら、いったん興奮状態になってしまうと飼い主の言うことは耳に入らないのに、信頼関係がうまく築けていない犬だったらなおさらです。飼い主が犬に、興奮せずに落ち着いていることを教えられずにいつまでも落ち着くことを知らない犬がいるのです。
小さい子供がいたり通行人がよく見えたりする、刺激の多い家庭
また、小さい子供がいたり、通行人が室内からよく見える、頻繁に人が出入りする、落ち着きのない同居犬がいるなど、刺激が多いまたは犬が安心して過ごせる時間が少ない家庭の場合にも、必ずではありませんが犬がやんちゃに育ちやすい、いつまでも落ち着かないことがあるようです。
この場合の「落ち着かない」には2パターンあると考えられます。一つは、子供特有の甲高い声を出したり、遊びではしゃぐ小さな子供がいるような場合や落ち着きのない同居犬がいる場合などの、興奮しやすい出来事が多いパターンです。様子を見ていて、犬も興奮するんでしょうね。一緒になって遊んでいるうちにやんちゃに拍車がかかったり、しょっちゅう高いテンションでいる子になりやすいのでしょう。
もう1つのパターンは、通行人が室内からよく見えたり頻繁に人が出入りをする家庭で、犬が「誰が来たか確かめなきゃ。家を守らなきゃ。」などと常に気を張り詰めて過ごすようになっているパターンです。「警戒」や「防衛」という仕事をするのに犬が忙しくなってしまい、安心して過ごせる時間がなく、飼い主にとっては、いつも落ち着きなくあちこち行ったり来たり窓の外をのぞいたり、または吠えたりしていると見えるでしょう。
ただし、このような環境にいる犬が必ず落ち着きのない犬になるわけではなく、もちろん犬の性格や飼い主の犬へのかかわり方も影響します。
しつけの際の声のトーン
一般に小型犬より大型犬の方が落ち着きがあるといわれることが多くありますが、これはしつけを行う際にかける声のトーンも一因だといわれています。
小型犬の場合、ぬいぐるみ的なかわいさもあるため、飼い主もついつい高い声で「だめでしょ~」などと言っていると、「これはやって欲しくないことだ」「飼い主が嫌だと思っていることだ」ということを伝えられずに問題行動を抑制することができないばかりではなく、犬は「構ってもらえた」と誤解して興奮して落ち着きのない行動をとってしまうことも多いようです。犬にやってはだめなことを教える際は、短い言葉を落ち着いたトーンで言うことが大切なんですね。
欲求不満である
人間も欲求不満がたまっていると落ち着いてなんかいられませんよね。犬も同じですが、犬の場合はまず、その犬に合った運動や遊び、活動を十分にさせてあげられているかどうかが重要になるでしょう。活動的な犬なのに散歩や遊びが少ないと、エネルギーを発散させる場所が足りなく、飼い主が落ち着いていて欲しい時にもなかなか落ち着いて過ごすことができなくなるでしょう。
その犬にあった運動や遊びの量や内容は、犬種や性格などによって変わります。まずは犬種からその犬の運動量の目安を知り、一緒に生活しながら散歩や遊びの量を調節してあげて犬が欲求不満を貯めないようにしてあげましょう。
まとめ
犬は学習能力も高く、社会性のある動物です。飼い主と信頼関係を築くこと、やってはいけないことを教える時には落ち着いた声で毅然と短い言葉でそれを伝えることが必要でしょう。しかし、それと同時にその犬がもともと持っている性格や犬としての本能もあります。欲求不満にならないように、その犬にあった量と内容の運動と遊びをさせてあげ、落ち着いて過ごせるようにしてあげるのも飼い主の役割でしょう。
「もう落ち着いていてもいい年齢なのに、どうしてうちの子はこんなに落ち着かないの?」と思ったら、飼い主が犬のいうことをきくばかりになっていないか、普段から飼い主の指示に従わせることができるか、飼い主が犬を必要以上に興奮させていないか、犬が安心して過ごすことができる環境が整っているか、十分な運動と遊びをさせてあげられているか、を見直してみましょう。