①犬の世話やしつけの大変さ
犬を飼うときにほとんどの人が考えるのが、散歩やしつけなど犬を育てることの大変さでしょう。仕事や育児で忙しい人であれば「毎日お散歩に行けるかな」、犬を飼うのが初めての人は「ちゃんと面倒見れるかな」などと考えて躊躇してしまう人も多いと思います。
確かに犬を飼い始めたら、毎日2回のお散歩やトイレトレーニングなどしつけを行う必要が出てきます。体調が悪くても、天気が悪くても、どんなに忙しくてもやめることはできません。それらはとても大変なことではありますが、犬を飼っている人の多くは愛犬とのコミュニケーションとして楽しんでいるのです。
もちろん「今日は散歩面倒だな…」と思う日もありますが、散歩を楽しみにキラキラした目で待っている愛犬を見ると「よし!行こう!!」と言ってしまうものなんです。
大変なことも楽しんで
大切なことは、犬の世話やしつけなど“大変”と思われがちなことも楽しんで行うこと。また、“大変さ”を家族と共有して一緒に乗り越え、時には手抜きをすることも必要です。
人間も犬もロボットではありません。毎日30分のお散歩を休みなくするというのは本当にむずかしいことです。10分になってしまう日もあれば何時間も一緒におでかけする日もあるでしょう。十数年は続く愛犬との生活ですから、無理なく長い目で見てバランスを取りながら生活していくことも大切だと思います。
②犬の飼育費や医療費など金銭的負担
犬を飼うときに躊躇する理由として、金銭的な負担が心配という声も少なくありません。確かに犬を飼い始めたら毎日の食事代や毎年のワクチン接種代、フィラリアヤノミダニ予防薬代、おもちゃやおやつ代、病気のときの医療費などさまざまな場面でお金がかかります。
食事やワクチンを含めた医療費も、どちらも「お金がない」という理由で節約することがむずかしいものになります。犬を飼うからには栄養バランスが取れた食事を十分に与え、健康管理をしっかりと行うことは飼い主としての最低限の義務になります。もしそれがむずかしいと思われる経済状態であれば、犬を飼うことは勧められません。
「娯楽」は無理のない範囲で
ただし、近年では犬の服やトリミング、人間さながらのカフェにエステ、温泉施設など、犬にお金をかけようと思えばいくらでもかけられる時代になっています。それら“娯楽”に関する費用は飼い主の経済状況にあわせて選択すればいいと思います。
犬は自分の環境を他者と比較することはありませんので、他の犬がやっているからといって経済的に無理をしてまでそのような遊びに連れていく必要はありません。
③旅行などお出かけ時の不便
「犬も家族」という考えは愛犬家の中で一般的になってきているものではありますが、犬と人間は異なる動物であるというのも変えようのない事実です。旅行やレジャーなどに出かける際、どこにでも犬を連れて行くことができるというわけではありません。
公園を含め自然の中での遊びや一部のショッピングモールなどを除けば、飼い主家族が出かける際は犬は家で留守番ということも多いと思います。
そのため、出かけるときも長時間になりすぎないように計画したり、旅行の際は一緒に行ける場所を探すか犬の預け先を探す必要があります。そうしたことを面倒・不便に感じるようであれば犬を飼うことに躊躇するのも当然でしょう。
しかし、犬を毎日100%満足させてあげることは不可能です。ですから、ひとりで留守番をさせるときは特別なおやつを用意しておいてあげたり、別の機会にドッグランや広い公園などに連れていって思い切り遊んであげるなどして生活の中でバランスを取るなど工夫してあげればいいと思います。
④看取りやペットロスへの不安
過去に犬を飼ったことがある人の中には、また愛犬を亡くすことに不安を感じる人もいると思います。愛犬を失うことは本当につらく悲しいことです。簡単に乗り越えられるものではありませんし、ペットロスに陥る人もめずらしくありません。
そのような悲しみをまた経験するとわかっていて犬を飼い始めることは勇気がいることでしょう。この問題については他人が「大丈夫」などと簡単に言えることではありませんし、本人が心から納得していなければ割り切れることでもないと思います。
愛犬を看取ることへの不安を抱えている場合は、同じ思いをした人の話を聞いたり新たな犬との生活を想像したりして、自分自身でゆっくり乗り越えていかなければならないことだと思います。
<まとめ>犬の飼育を躊躇するのは大切なこと
犬を飼うということは毎日の散歩やしつけの大変さや金銭的負担、看取りの覚悟などさまざまなことを考えなければなりません。そのため、飼ってみたいと思いながらも長年躊躇している人も多いでしょう。
しかし、そうして犬との生活を具体的に想像し、犬を飼うことが可能か判断することはとても大切なことだと思います。「かわいい」「犬に癒されたい」という思いから安易に飼育をはじめ、「思ったより大変」と後悔したり手放してしまったりする人が少なくないからです。残念ながら日本ではそうした飼い主の身勝手さから殺処分される犬が後を絶たないのが実情なのです。
本当に犬が好きならば「最後まで面倒を見る」という覚悟ができるまでじっくり時間をかけて考えることが大切です。自分自身の環境や状況をしっかりと把握した上で「今は飼わない」という選択をすることも立派な犬への愛情だと思います。