「帰巣本能」という言葉を耳にした事がある方は多いでしょう。迷子の犬や猫が帰ってきた時などによく使われる言葉であり、遠くから家に帰ることのできる動物の本能を指した言葉です。
様々な動物達に備わる帰巣本能は、カーナビや地図に頼る人間にとっては不思議で高度な能力。どういった仕組みでそのような能力は働いているのでしょうか。また、私達の愛犬や愛猫にも備わっているものなのでしょうか。
ここからは、そんな帰巣本能について詳しくご説明して参ります。
帰巣本能とは?
帰巣本能とは、学習や経験のない場所から自身のテリトリーや巣に戻ることのできる本能的な力を指します。
遠く知らない場所から、自力で帰還した動物の話を耳にする事は珍しくありませんが、それらはこの帰巣本能というナビゲーション能力の賜物。この能力は多くの動物に備わっていますが、人間にはないと言われています。
帰巣本能の仕組み
帰巣本能については、まだまだわかっていない事が多いのですが、現段階では、帰巣本能を持つ動物は太陽や星といった天体の位置や、地上にある目印、におい、磁場、といった様々な情報を用いてテリトリーに戻っていると考えられています。
様々な帰巣本能のある動物に対して、これらの条件を変えた環境を用意した場合、この能力に狂いが生じたとの実験例もあります。動物達は人間にはない、様々な鋭い感覚を脳内でつなげて、巣に帰る事ができるのですね。
身近な帰巣本能の例
- 伝書鳩→ 遠く(現場や外出先)から飼い慣らした場所(会社や家)へ伝言を付けて飛ばす。
- 渡り鳥→ 季節によって世界中を渡り住処を変える渡り鳥が、毎年同じ時期に同じテリトリーに帰ってくる。
- 蜂→ 養蜂している蜂が、蜜を集めた後必ず同じ巣に帰ってくる。
- サケ→ 海に出たサケが産卵の際に生まれた川に帰ってくる。
飼い犬に帰巣本能はあるの?
飼い犬に帰巣本能があるのか否かは、研究ではいまだ明らかになっていません。遠方で迷子になった犬が自宅に帰ってきたという話は耳にしますが、それよりも圧倒的に迷子になったままの犬の方が多いようです。
ある実験でも、1匹の犬は必ず帰ってくるが、別の1匹は帰ってこられないといったような個体差が見られました。現代の飼い犬の場合は特に、絶対的な能力とは言えないようです。
迷子を防止するために
飼い犬の帰巣本能が一般的には薄いという可能性がある以上、迷子の防止は飼い主としての義務。下に迷子防止策を数点挙げます。
ノーリードにしない
家の中や囲われたドッグラン内でない限りノーリードにしないこと。公園や河原などで、犬をノーリードで遊ばせている方も多く見かけますが、いくら躾がされているとはいえ、動物の考えていることはわかりません。
何らかの原因でパニックになることもあります。逃げてしまえば人間の足では追いつけず、事故の可能性もあるのです。愛犬の安全を考えるなら、ノーリードでの外出は避けましょう。
装備の確認
外出する前に犬の装備を確認すること。リードやハーネス、首輪の金具や紐が劣化していませんか?散歩中にちょっとした衝撃で壊れてしまい、リードが外れ迷子になった犬もいます。事前チェックは必須です。
ダブルリード
1本のリードだと、ふとした時に手を離してしまったり、壊れたりする事があります。普段からダブルリードにしておけば、2本同時に壊れる確率はかなり低く、安全性が向上します。
迷子札
それでも迷子になってしまった時のために、飼い主の情報を記入した迷子札を付けておく事。お洒落なチャーム型や首輪の裏に記入するタイプのものなど様々な種類があるので、必ずひとつは付けておきましょう。
マイクロチップ
マイクロチップには賛否両論ありますが、迷子やその後の殺処分を防ぐためにも装着しておくべきではないでしょうか。
うちは大丈夫と考える飼い主さんもいらっしゃるようですが、実際にこれだけ多くの迷子犬が毎日出ているのです。ペット先進国ではマイクロチップの埋め込みを義務化しているところもあります。
帰巣本能<迷子対策
犬の帰巣本能と迷子対策についてご紹介いたしました。様々な情報を本能的に捉える動物の能力は素晴らしく、人間には真似できないものですね。しかし、それらは100パーセントではないのです。
愛犬の安全を考えると、帰巣本能を信じるよりも確実な迷子対策をしておく事が必要です。大切な家族を迷子にしないよう、工夫や努力を続けていきましょう。
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男性 山オッさん