ペットハラスメントとは?
あまり聞きなじみがないかもしれませんが、最近注目されているのが「ペットハラスメント」です。ペットハラスメントとは自分が飼育しているペットを介して、周囲の人間に迷惑をかけたり不快な思いをさせてしまうことです。そしてその多くは無自覚であり、悪いことをしているという意識がないというのが問題ともされています。
ここではペットの中でも他人との触れ合いの機会が多い犬に限って話を進めますが、犬が大好きで犬を飼っている人の中には「世の中には犬をかわいいと思う人がほとんど」という意識でいる人もいます。しかし、犬が無条件に好きな人がいるのと同じように、世の中には犬に恐怖を感じたり、生理的な嫌悪感を感じる人がいるのも事実です。ペットハラスメントはそうした犬を苦手とする人や犬に興味のない人などに対して犬との触れ合いや受け入れることを強要したり、マナーを守らないことなどで迷惑をかけてしまったりすることを指しています。
ペットハラスメントの具体的な事例
犬をノーリード(ロングリード・伸縮リード)で遊ばせる
ペットハラスメントの主なトラブルがこの問題です。犬を放し飼いにしていいとされているドッグラン以外の公園や河川敷、広場などでノーリードにして犬を遊ばせたり散歩をさせている人は少なくありません。しかし、犬が苦手な人にとってはこれは非常に恐怖を感じること。無自覚にペットハラスメントをしている人は「うちの犬はどこにも行かないから大丈夫」「うちの犬は小さくて人を怖がらせるようなことはしないから大丈夫」などを思っていることがあります。しかし、どんなに小さい犬でも怖いと感じる人はいますし、そもそもその犬がどのような犬かということがわからないので放れているだけで不安に感じるでしょう。また、ロングリードや伸縮するタイプのリードでも同様です。自分のところまでは届かなくても少しでも近寄ってきたり、自分に向かって走ってくるだけで怖いという人もいるのです。
トイレのマナーを守らない
犬の散歩の際におしっこやうんちをさせるという人が多いと思います。そこでうんちを拾わない、おしっこの処理をしないという人も少なくないのが事実。至るところに犬のうんちが放置されているのは多くの人が見たことがあると思います。犬のうんちを拾うといった最低限のマナーから、おしっこはできるだけさせないようにしたり人があまり足を踏み入れない端の方でさせるなどの配慮は犬嫌いな人を増やさないために必要なことだと思います。
飛びついたり吠えたりすることを叱らない
公園や道などでリードの長さを調節せず、コントロールしていないとすれ違った人に突然近づいて飛びついたり、吠えかかったりしてしまうことがあります。これは犬が苦手な人に限らず、犬が大好きな人であっても驚くと思いますし不快に感じることがあると思います。これに関してもノーリード問題と同様で「うちの子は人に危害を加えない」という過信などから起こりがちなトラブルです。
もうひとつのペットハラスメントにも注意
ペットハラスメントという言葉は他人に対しての問題だけでなく、自身の飼っているペットに対して嫌がらせを行うことにも使われることがあります。暴力や食事を与えないなどの虐待に限らず、適切な量の運動をさせない、留守番時間が非常に長い、世話を放棄して劣悪な環境で飼育するなどの犬の健康や精神を害す可能性のあるものから、飼い主の趣向で犬が嫌がる服を無理やり着用させる、飼い主の承認欲求のために連れまわすなど犬に過度なストレスがかかる飼育状況もペットハラスメントに当たると考えられています。
ペットハラスメントをしないためのまとめ
他人に対して自身の犬を受け入れさせることを無自覚に強要したり、迷惑をかけてしまうペットハラスメント。それは犬好きな人が犬嫌いな人をつくってしまう大きな要因にもなってしまいます。ペットハラスメントをしてしまわないためには、まず普段の自分の行動を振り返り「小さい犬だから怖がられることはない」「犬だから多少吠えるくらい仕方ない」「おとなしい犬だから迷惑はかけない」などと言った犬好きからの目線で決めつけてしまっていないかということを一度考え直してみるといいでしょう。愛犬とその飼い主を取り巻く社会が犬により優しく寛容に変化していってもらうためには、まず私たち飼い主が犬の地位を下げてしまうようなペットハラスメントを行ってしまわないように心掛けることが大切なのだと思います。