犬の世話は大事なコミュニケーション
犬の世話をするにあたって、疲れてしまう大きな理由としてあげられるのが、「面倒に感じるようになってしまった」ということだと思います。
面倒に感じてしまう原因は、「仕事や家事などで忙しいのに、犬の世話までしなきゃいけない」「どんなに体がきつくても、世話をしないわけにはいかない」といったように、自分の都合は関係なく、必ずやらなければいけないと業務化してしまっているからではないでしょうか。
確かに、犬は自分で食事を用意したり排泄物を処理したり、自分でリードを付けて散歩に行ったりなどすることはできません。
散歩はそのときの状況に応じてお休みをすることはできても、生きるための世話を休むことは不可能です。
だからこそ、それは犬の飼い主として当然の責任なのですが、この『やらなければいけない』という部分が重荷になってしまうと疲れてしまいます。
犬の世話をする責任と義務は、命を扱う以上決して軽いものではありません。
しかし、それが重荷となってしまっては疲れてしまうのも当然です。
そして、重荷に感じるのは世話が毎日の業務になってしまい、犬とコミュニケーションをとる方法だということを忘れてしまっているからです。
犬は人間と同じ言葉で話すことはできません。
だからこそ、食事や散歩、一緒に遊んだり体を撫でたりといった、コミュニケーションを取ることで絆を深めることができ、犬に異常があったときも飼い主がいち早く気付いてあげられるようにもなります。
コミュニケーションは、犬と生活していく上で何より大事なことです。
もし、犬の世話が業務化してしまい、疲れたと感じてしまっているなら、ただ単に世話をするのではなく、犬の表情や体全体で表す感情を読み取り、是非会話しながら世話をしてみてください。
犬は立派な意思をもったひとつの生き物
犬の世話が疲れる原因の中には、「犬が言うことを聞かない」「教えてできてたことを失敗する」など、しつけがうまくいかないことに悩み過ぎてしまうというものがあります。
特に完璧主義な飼い主や、それに近い飼い主はこうした悩みに対し特に敏感になりがちで、どんどん自分を追い詰めてしまうことも。
確かに、しつけがなかなかうまくいかないというのはストレスになりますし、一生懸命やってるのに犬が応えてくれないと責めたくなる気持ちもわかりますが、ここで思い出してほしいのが、『犬は意思を持った生き物である』ということです。
しつけと一口に言っても、その方法は様々で、どのしつけ方法がベストなのかは犬の性格や生活環境などによっても違ってきます。
そして、どんなに適したしつけを行ったとしても、そのとき犬がどんな気持ちでいるかや、何か訴えたいことがあるなどがあれば、飼い主が求めている行動とは、違った行動をとることもありますし、今までできていたこともできなくなることさえあるのです。
『犬は賢く従順』といったイメージを強く持ちすぎると、なぜ自分の犬はちゃんとできないのか、なぜ教えてもうまくいかないのかと自分自身を追い込んでしまいます。
すると、次第に犬に対する気持ちも悲しいものになってしまうので、できないことを責めるのではなく、「できることも、できないときもある」というふうに受け入れてみてください。
そして、できないことがあれば、どうすれば覚えやすくやりやすいのかを考えてみたり、できていたことができなくなったときは、その原因を突き止めたりして、犬と一緒になって改善していきましょう。
犬の幸せは飼い主が幸せであること
犬の世話に疲れてしまうと、犬のことを心底可愛いと思えなくなると思います。
そうなってしまうと犬に対して辛く当たってしまい、冷静になったとき自分を責め悩み苦しむでしょう。
ですが、そんなときに苦しいのは飼い主だけではなく、それを見ている犬も実は同じように辛い思いをしているのです。
犬が賢いと言われるのは、単純に物覚えがいいというだけではなく、人間の表情や目に見えない心の部分まで敏感に感じ取り、一緒に喜んだり悲しんだりすることができるのも、そのひとつにあります。
そして、犬はそうした感情の変化に人間よりも敏感な生き物なので、飼い主が少しでも毎日の世話に対して辛い、疲れた、といった負の感情を持ったままでいると、犬も辛い気持ちになっていきます。
逆に飼い主が嬉しい、楽しい、幸せ、といったプラスの感情でいると犬もそれを感じ取り、まるで自分の幸せのように嬉しくなるのです。
何より犬にとって飼い主はどんなものよりも特別な存在なので、一度ゆっくり深呼吸をしてじっくり犬の目や表情を見ながら、何でもいいので話しかけてみましょう。
そうすれば、今まで疲れてしまっていたせいで見逃していた、犬のちょっとした表情の変化や動作に気付き、そこから笑顔が溢れるかも知れません。
その笑顔は犬の心も笑顔に変え、面倒になっていた世話の時間が、飼い主も犬も幸せを感じる時間へと変化し、初めて出会った頃の懐かしさを思い出すはずです。
まとめ
犬を飼い始めるとき、「世話なら大丈夫」「しつけも頑張れる」といった前向きな気持ちが強く、ちょっとした苦労も楽しく感じていたことでしょう。
しかし、いざ飼い始めてみると自分の時間と、犬の世話の時間がいっぱいいっぱいだったり、しつけがうまくいかず問題行動に発展したりと、楽しさよりも悩みの方が膨らみ、犬の世話に疲れきってしまうのも当然かも知れません。
ですが、世話をするだけでなく、しっかりコミュニケーションを取ることで、言葉を話せない犬の気持ちを感じ取ることも可能になります。
そして、思い出してください。犬を飼う前に思い描いていた明るい犬との時間を。
その時間は犬と語り合い、触れ合い、ときにケンカし、最後は笑って終わってたはずです。
それは、犬も飼い主もお互いにコミュニケーションを取り合っていたからこそ、お互いに楽しさと幸せを共有できていたものだと言うことを、どうかもう一度思い出してみてください。