戸建から集合住宅が主流となった現代
不動産経済研究所の調査によると、ペット可マンションの普及率は1998年1.1%→2007年86.2%と10年間で8割以上に急増しました。
かつては戸建住宅の屋外で犬を飼うイメージがありましたが、およそ10年前には室内で犬を飼う方が定着したことが分かります。
賃貸住宅のペット可物件は、地域によってかなりの差がありますが、全国平均では賃貸物件全体のおよそ1~2割程度と希少なため、生涯愛犬と暮らすことを考慮した上で分譲マンションを選ぶ方が増えているようです。
わが家もその一員です。愛犬を家族に迎えてから、先々のことを考慮した上で6年前にペット可分譲マンションを購入しました。
これから犬を飼う方や、ペットと快適に暮らすための住まい選びを検討している方に参考にしていただけたらと思います。
ペット可マンションの種類について
ペット可マンションのタイプは大きく分けて2つあります。
1. ペット可物件
2. ペット共生型物件
ペット可物件とは、オーナーからペットを飼育しても良いと許可されているものです。一般のペット可マンションは、単にペットが飼えるマンションであり、入居者の中には犬や猫が苦手な人もいます。
ペット共生型物件は、管理規約にペット飼育が正式に許可されているもので、入居者の誰もがペットと暮らすことを前提とした物件で、敷地内や共用部分にペットのための施設が完備されています。
ペット共生型マンションの共有設備
ペット共生型マンションには下記のような設備が整っています。
⑴ ペット専用足洗い場
お散歩後帰りの汚れた足をきれいにしてから建物内に入ることができます。
⑵ ペット乗車機能付きエレベーター
ペットが乗車していることを知らせるための機能が付いたエレベーターです。共生型マンションでも犬や猫が苦手な方、アレルギーを持っている方が住んでいることもあり、住人同士のトラブルを防ぐために配慮されています。
⑶ 汚物ダストシューター
お散歩帰りに排泄物を室内に持ち帰らず済むように、排泄物専用のごみ箱が設置されています。
⑷ グルーミングルーム
シャンプーやブラッシングケアができるための専用ルームの設置。自室にペット専用ドライヤーがなくても、共有ルームでスムーズにケアすることができます。
⑸ ドッグラン
敷地内や屋上に犬を開放できる専用庭やドッグランの設置。住民同士の交流の場としてもありがたい設備ですね。
ペット共生型マンションの室内設備
⑴ ペットドア
室内ドアが閉まっていても犬や猫が自由に室内を移動できるように、ドアにくぐり戸が設置されています。
⑵ドッグフェンス
ペットが危険な場所に出入りできないようにフェンスが設置されています。
⑵ ペット対応床
ペットが股関節脱臼や椎間板ヘルニアなどを引き起こさないように、滑りにくい床材を使用しています。
⑷ペット対応クロス
ペットの爪が引っかからないような素材、ヨダレや皮脂による汚れを防ぐためのクロスを使用しています。
これらはペット共生型マンションにすべて設置されているわけではなく、あくまでも設備例です。飼育環境として「あったらいいな~」と感じさせる、ペットと飼い主のために配慮された理想的な住宅ですね。
「ペット飼育規約」の主な内容とは?
わが家はペット可分譲マンションを愛犬のために購入しました。「管理規約」の中に、ペット飼育に関する規約が定められています。下記事項は、わが家のマンションを例に主な飼育規約を抜粋してみました。
①他の居住者の立場を尊重し、快適な生活環境の維持向上を図る
②ペットの本能、習性等を理解し、飼い主としての責任を自覚し、ペットを終生飼育すること
③ペットの保護及び管理に関する法律、条令、狂犬病予防等に規定する飼い主の義務を守ること
飼い主の心得には、ペットを終生飼育することを約束させられます。
さらに、飼い主の守るべき事項には、
- ペットは飼い主の住戸内で飼うこと
- 住居内以外で餌や水をあげない、排泄等を行わないこと
- ペットの異常な鳴き声や糞尿などの悪臭によって近隣に迷惑をかけないこと
- 犬、猫等には必要な「しつけ」を行うこと
- 住居内以外で、毛の手入れやケージの掃除等を行わないこと
- 共用廊下やエレベーター内では、ペットは抱きかかえるかキャリーバック等に入れ移動するなど、他の居住者等に迷惑がかからないように配慮すること
- ペットを敷地及び共用部分で自由に行動させないこと
- ペットを散歩させる場合は、敷地外でさせること
- ペットを敷地外に連れ出す場合、指定された出入口のみ使うこと
等々、細かい飼育規約が設けられています。これはすべてではありません。
なお、居住者の理解として、
「本マンションの居住者は、ペットの愛護について理解し、人とペットが共生できる快適な生活環境づくりに協力するものとする」
と定められています。
ペット可分譲マンション~わが家のケース
筆者のマンションには「ペットの会」というものがあります。飼育居住者の割合はおよそ100世帯のうち3割程度でしょうか。それでも入居時に比べ1割以上増えています。
ペット可住宅ですが、共有部分には「ペット専用足洗い場」が設置されており、水道の蛇口を回すための専用キーを渡されています。
住んでみて分かったことは、「ペットの会」は飼育者同士の交流の場ではなく、飼育居住者と他の居住者間のトラブルを無くすために、「いかに快適に居住できるか?」というための会でした。
定例会が年に数回設けられ、ペットを巡るトラブルや飼育者のマナーが問われる議題が出ることもあります。
居住者の中には動物アレルギーの方や、犬や猫(トラウマ経験がある)が苦手な方もいます。
先日、居住者からエレベーター内でペットを同乗させる際は、他の利用者に声を掛けて欲しいとの意見がありました。
エレベーター内では共生型マンションのように、ペット乗車お知らせ機能付きではありません。
飼育者にとって、居住者の誰が苦手な人かは把握できず、ペットを飼育していない居住者の中には、犬猫が好きだけど飼育はしていない方もいます。
こんな時に、エレベーターにペット乗車お知らせ機能があれば良いな、と飼育者の立場として思うこともありますね。
最後に
筆者の周囲ではシニア世代が戸建てを売却し、ペット可分譲マンションに越して犬を飼う方も増えています。
わが家の場合は、子どものいない夫婦二人暮らしのため、戸建よりマンションの方が暮らしやすいという面もありました。
犬を飼うと決めた時から、ペット可分譲マンション購入を考えていました。口コミを調べたり地域の不動産会社に相談するなどして、ようやく手に入れたマンションです。
しかし、住んでみると飼育規約が他の居住者よりで、飼い主にとって窮屈な部分もあります。
飼育者の割合が他の居住者より少ない・・・という点もあるでしょうか。
これから“愛犬と暮らす住まい”について考えている方は、愛犬を生涯お世話することを前提に、自分たちの将来のことも考えなくてはなりませんよね。
自分たちの年齢や家族構成、愛犬の将来を考慮した上で、慎重に物件を選ぶことをおすすめします。
わが家は地方ですが、首都圏では新築分譲マンションの8割以上がペット可となっており、もはや「ペット飼育可」は当たり前になりつつ時代になりました。
特にペット共生型マンションなどでは、飼い主も他の居住者も快適にペットを受け入れることができる環境づくりに励んでいます。
公益社団法人・日本愛玩動物協会は、ペット共生住宅(ペットフレンドリーホーム)の普及を呼びかけています。
ペットとともに暮らす生活が飼い主とペット、さらにペットを飼育しない人にとっても豊かなものになっていくことを願いたいですね。
【参考資料URL】
http://purchase.lixilrealty.com/post-4908/
https://www.daikyo-anabuki.co.jp/sumai/detail/69
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/ms_shinchiku/ms_knowhow/c0pet021/
https://www.jpc.or.jp/mansion/about/
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男性 匿名