犬の目を知ろう!
視力はあまり良くない
犬の視力は私達人間よりも悪く、平均して0.2〜0.3程度だと言われています。焦点を合わせる能力が弱く、視界がぼやけているようです。
視力はあまり良くない犬ですが、視野は人間が180度なのに対して250〜270度と広く、広範囲を見渡すことができます。
また優れた動体視力を持っているので静止している物体よりも、動いている物体を見ることのほうが得意です。
視力は弱くても、狩りをするための能力は備わっているので動いている遠くの獲物を見ることができます。
色の見え方が違う
人間と犬の目の構造はほぼ同じですが、網膜の作りが違います。
犬の網膜は色を認識する能力があまりないため、青色や黄色、そしてその中間色にしか反応しません。赤色は濃い灰色に見え、緑色やオレンジ色は黄色に近い色に見えます。
特に赤色と緑色の違いがよくわからないため、緑色の芝生の上で赤いボールで遊ぶと目でボールを探すのが難しくなってしまいます。
できるなら濃い青色、または黄色のボールを使ってあげるといいでしょう。
視力以外が発達している
犬は視力が良くありませんが、視覚以外の感覚や能力が発達しているためそれらを使って物を認識しています。
聴覚は人間の聴こえる範囲の4倍、嗅覚は人間の1000倍〜1億倍も優れています。また嗅覚はシニア犬になっても残っていることが多く、犬にとってはとても大事にな感覚です。
視力が良くなくても他の機能を使って周囲の状況を知ったり、物を認識することができるためあまり困ってはいないようです。
かかりやすい目の病気
角膜潰瘍
犬の中でもよく見られる病気で、何らかの原因で目の表面にある角膜に傷がついてしまった状態のことです。
目をしょぼしょぼさせる、痛がる、目を気にする、表面に凹凸がある、目やにや涙がよく出る、などの症状がある場合、角膜潰瘍を疑ってみてください。
飼い主さんが気づきやすいので、早い段階で治療することが多いのです。
放って置くと傷口からの細菌感染や傷の慢性化などで治療が難しくなってしまうため気づいたら早めに病院へ連れていきましょう。
原因としては目をぶつけたり、ひっかいたりすることが1番多く、その他には逆さまつ毛などで刺激を受けたり、化学物質の刺激を受けたり、目が乾燥したりというものがあります。
治療法としては点眼薬がメインとなりますが、ひどい場合には角膜に結膜や瞬膜で蓋をするフラップという手術を行う場合もあります。
白内障
白内障とは目の中にある水晶体と呼ばれるものの一部が全体的に白くにごった状態のことを言います。
6歳以上の犬に多く、年齢を重ねると徐々に症状が進行していきます。
その他にも糖尿病によるものや、傷などによって白内障が引き起こされることがあります。また遺伝性のものは2歳以下でも発症することがあります。
犬の目を見て白くにごっていたり、瞳孔が常に開いていたり、物にぶつかる、壁伝いに歩く、つまずく、などの症状がでたら注意しましょう。
家の中では視覚以外の感覚で歩くことができたり、物の配置を覚えていたりして普通に歩く犬も多いため気づかないことがあります。また見えない不安から攻撃的になることもあります。
治療法は症状の進行を遅らせる内科的な薬物治療と、水晶体を取り除く外科的な手術の2種類があります。
犬用のコンタクトレンズ
犬用のコンタクトレンズとは?
犬用のコンタクトレンズは人間用のコンタクトレンズとは目的が異なります。視力矯正のためではなく、目を保護するためのものです。
犬は目の病気になると自分でひっかいたりしてしまうことが多く、症状が余計に悪化してしまいます。ひどい場合には失明することもあります。
犬用のコンタクトレンズのはじまり
犬用のコンタクトレンズが生まれたのは1997年で、白内障の犬のために水晶体の代わりに視覚を補正する目的がありました。
水晶体を人工水晶体にするという手術が行われたのです。
このとき使用された人工水晶体が犬用のコンタクトレンズのはじまりだと言われています。
現在は目を保護するために犬用のコンタクトレンズが使用されています。
コンタクトレンズを使う理由と効果
目の病気になった場合に犬用のコンタクトレンズを使います。
視力矯正のためではなく、目の保護のためです。
ペットに装着させることで菌の感染や、目をひっかいて傷をつけることを防ぎ回復を早める効果があります。
またコンタクトレンズをつけることで傷にほこりやゴミが触れることを防ぎ、痛みや違和感をやわらげることができます。
まとめ
犬用のコンタクトレンズは視力矯正ではなく目の保護が目的です。
犬も高齢になると体が弱くなり、白内障やその他目の病気になりやすくなります。
治療のためにコンタクトレンズをつけることで治りが早くなる場合もあります。
人間が使っていたアイテムを犬用に改良していくことで、犬が健康でいることを助けることができるようですね。
今後も犬用の医療アイテムが出てくると良いですね。