犬のおしりが赤い原因
場所により原因や対処法が変わります。肛門やおしり周りおしり全体など、赤くなってしまった場所ごとによくある原因や考えられる病気などをご紹介します。どれかひとつが原因ではなく、複数が組み合わさっている場合もあります。
肛門付近が赤い場合
まず、肛門そのものです。様々な理由が考えられますが、一番に考えたいのは排便異常です。下痢が続くと炎症を起こしてしまったり、不衛生になってしまうと細菌繁殖し周りの皮膚も赤くなることがあります。
便秘の時は硬い便の刺激により肛門が傷ついて、赤くなってしまうこともあります。さらに、強い力が入りすぎて脱肛し、おしりの穴が赤く見えるなんてこともあります。
便はつまんで持つことができ、地面には跡がつく、もしくは少しだけつく程度が適切な硬さです。便の状態もチェックしてみましょう。
次に、食べ物のアレルギーがある場合、口や耳、肛門などがかゆくなることがあります。おしりが赤くなっている、かゆがっている、と感じた時はおしり以外にも体のどこかをかゆがってはいないかを観察してみましょう。
代表的なものとしては肉類や穀類、乳製品アレルギーなどがあります。添加物に対してアレルギーを起こす、添加物アレルギーもあります。
アレルギー以外には、瓜実条虫という犬の消化管に寄生する寄生虫が肛門付近にいて違和感を感じてもおしりを擦るなどの行動をとることがあります。子犬の場合は激しい下痢がみられるので、注意が必要です。
肛門の横が赤くなっている場合
犬の肛門の脇には、肛門嚢という匂い袋のようなものがあります。中にはフェロモンなどが含まれる分泌液が入っており、肛門と細い管でつながっていて便をする際に一緒に少しずつ出てきます。
ところが、その管がつまってしまったり、液をうまく出すことができずに溜まってしまうと不快感がありおしりを床に引きずるようなしぐさをすることがあります。さらに悪化すると、化膿し出血します。
おしり周りの肌が赤い場合
怪我をして自由に動けない子や、お年寄りは床ずれができることがあります。おしりの横の骨の出ている辺りにできることが多く、最初は肌が赤くなります。
寝たきりで同じ方向を向いていたり、オムツなどで肌が蒸れているとできやすくなります。しっぽの上、付け根辺りはノミアレルギーによる皮膚炎が起こりやすい場所で赤くなることがあります。
しっぽの上やおしり周り、体を痒がっていたらノミなど寄生虫がいないか確認をしましょう。
トリミング時のバリカン負けなどによる外傷
トリミングの際にバリカン負けや、傷がついてしまうこともあります。肛門回りや指の間など、デリケートな部分に起こることが多いです。
トリミングから帰った後に、おしりを床に引きずるようなしぐさをしたり舐めてばかりいるなどの時は、ヒリヒリしていたり傷になっているかもしれません。
また、トリミングをした当日ではなく、翌日など時間がたってからそのような様子が見られることもあります。
犬のおしりが赤い時に注意すべき症状
おしりが赤くなってしまう原因をご紹介しましたが、こんな様子が見られたら注意が必要です。自己判断はせず、動物病院で受診しましょう。
- 排便時に痛そうに鳴く
- 下痢や便秘が続いている
- 出血している
- 犬がおしりをしきりに舐めたり噛んだりしている
痛そうに鳴く原因としては、便秘、脱肛、肛門嚢の炎症などが考えられます。下痢や便秘はそれ自体も辛い症状と言えますが、激しい下痢や血が付くほどの便秘は他に何らかの病気が隠れている可能性があります。
便秘は肛門の問題以外にも肛門の周囲や体のどこかに痛みがあると踏ん張りがきかず、排泄が上手できずに便秘になることもあります。
また、肛門周囲や腸内に腫瘍ができている可能性も考えられます。子犬や老犬であれば下痢が原因で脱水症状を起こしてしまうリスクも成犬より高まり、命に係わることがあるので注意が必要です。
脱肛や脱腸をしていると、違和感があるのでおしりを床にこすりつけたり自分で舐めたり噛んだりと気にすることもあります。そのまま放置してしまうと、粘膜が壊死してしまうこともあります。
犬のおしりが赤い時の対処法
おしりが赤くなってしまう原因は様々あり、治療をするためには正しい診断が必要となります。基本的な対処法は原因を取り除くこととなります。
そのため、赤くなってしまっている時は「おしりが赤いだけ」なのか「痒み」や「痛み」もあるのか、体全体はどうなのか、などもよく観察します。
例えば腎臓病だと便秘になりやすいなど、体の問題がおしりに出ることもあります。日頃から健康診断を受けるなど、体調管理には気を配りましょう。
様々な病気に合わせて作られた療法食というフードがあります。便秘や下痢、食物アレルギーなどの場合には症状に合わせた療法食を食べさせることが望ましいです。
しかし、療法食は治療の一貫であり、動物病院で診断を受けてからではないと購入することはできません。
ペットショップなどでも販売はしていますが、症状に合わない療法食を与えてしまうとかえって症状を悪化させてしまう恐れがあります。療法食は必ず診断を受けてから購入しましょう。
犬のおしりの赤みを防ぐための対策
なるべくおしりのトラブルにならないようにしてあげたいですね。普段の生活に気をつけることで、予防できることもあります。ちょっとしたことが予防策となることもあるので、ぜひ生活に取り入れてみてください。
便の汚れを取り除き常におしり周りの清潔を保つ
便が肛門やおしり周りの毛に付いていると、細菌繁殖します。不衛生にならないように肛門周りの毛をカットしたり、汚れていたら蒸しタオルなどできれいに拭き取りましょう。
定期的に肛門嚢しぼりを行い異常がないか確認する
肛門嚢の分泌液は排便時に便と一緒に出ることが多いのですが、なんらかの理由でうまく出ることが出来ずに溜まってしまうことがあります。
この分泌液はサラサラの液状やペースト状など、硬さに個体差があり出やすい出にくいもあります。肛門を中心に、時計に例えると4時と8時の場所にひとつずつあります。
定期的に溜まっていないかを確認し、肛門嚢しぼりをおこないましょう。
犬の食事や運動に気を配り下痢や便秘を防ぐ
適度な食物繊維や整腸作用のある食べ物を摂り、腸内環境を整え水分摂取も促しましょう。水をあまり飲まない場合は、ウエットフードやふやかしドライがお勧めです。
また、高齢になると運動量が減り、腸の動きが鈍くなることがあります。それにより便秘になりやすくなるので、適度な運動やお腹を温めたりマッサージをしてあげましょう。
出したいのに出ない時は、綿棒にオリーブオイルを付け肛門に入れて刺激することにより便が出ることもあります。下痢の場合は消化器疾患が考えられますので、早めに動物病院で受診しましょう。
怪我や高齢で寝ている時間が多い場合
怪我や高齢で寝たきりや、座ったり寝ている時間が多いとおしりの骨の場所が床ずれができ赤くなることがあります。これは血流が悪くなることにより、発生します。
表面が赤いだけの場合は、体圧分散することで改善することもあります。犬用の褥瘡予防マットなどを使用し、体位変換も行って赤くなってしまった場所に体重の圧がかからないようにしましょう。
もしも赤いところがただれてきたり、傷になってしまっていたらすぐに動物病院へ行きましょう。
まとめ
犬のおしりが赤くなってしまう原因は様々あります。内科的な問題、肛門そのものの問題、寄生虫、他にもありました。
基本的には原因を取り除くことが大切であり、自己判断による対処は症状を悪化させてしまったり、見えない本当の原因を見逃してしまうことにもなりかねません。
ご紹介した原因は一例で、これ以外にも様々な理由があります。赤くなっている、痒がっている、出血があるなどの時は動物病院で診てもらいましょう。
また、予防も大切です。おしりを清潔に保ち、毛や肛門嚢のお手入れや寄生虫の予防などできることはしておきましょう。