犬の歩き方がおかしい原因
犬のお散歩中に「歩き方がおかしいな」と気付いたら、まずよく観察して原因を見つけるようにしましょう。大きな病気が隠されていないか、飼い主さんは心配ですよね。
ここに原因としてあげる病気は、ほんの一例です。病気だけではなく、ケガなど様々な理由が考えられます。犬の歩き方がおかしくなる原因としてどのようなことが考えられるか説明していきます。
肉球や足に起こったケガや皮膚の異常
犬が足をあげてしまって踏ん張ることができない場合は、肉球や足に何らかの怪我をしている可能性があります。特に肉球は直接地面につく部分ですので、痛みがある場合は痛い部分をかばうような歩き方になります。
肉球の間の皮膚に炎症がある場合も同様です。また、大きな怪我が原因となっている場合は激しい痛みが伴い、歩くことはできないでしょう。例えば、十字靱帯断裂や骨折などは、明らかに歩行が困難になります。
老犬の高齢化による筋力低下
老犬の場合歩いているときに急にふらついたりよろけてしまうことがあれば、筋力の低下によって足が思うように動かなくなっている可能性があります。歩き方にもだんだん力強さが無くなってきて歩き方もゆっくりになります。
遺伝が関わる骨や関節の病気の進行
腰を揺らして歩いたり、座るときも足を伸ばすような横すわりをする様子があれば、遺伝性の関節異常などが考えられます。
一例としてあげられるのは、膝蓋骨脱臼です。後ろ足の膝関節の異常が起きるので、足を十分につくことができずにスキップするような歩き方になります。最近ではチワワやトイプードル、柴犬(豆柴)などの人気の種類に多くみられます。
脳や神経系の病気による指令の伝達異常
脳や神経に異常をきたすと、ふらつきや手足の麻痺が起きて歩くことができなくなります。主な病気として椎間板ヘルニアがあげられます。
症状の度合いや、問題が起きている部位によって変わってきますが、前足がふらついたり腰をくねらせて歩くなどの状態が見られます。
脳の異常としては水頭症という病気があり、脳圧が上がることによって神経の異常や血流が悪くなり歩行困難障害が起きます。
腫瘍の発生
腫瘍の発生によって神経が圧迫され、痛みが伴って歩くことが困難になる場合があります。特に骨肉腫は骨に体重がかかった場合に強い痛みを伴うので、歩くと激しい痛みがおきます。他にも足の関節部分に発生する腫瘍などもあります。
認知障害による異常な歩き方
老犬が広い道でも壁に沿って歩いている、同じ場所をぐるぐる歩き回っているなどの歩き方をしている場合は、認知症の疑いがあります。この場合は、ものにぶつかりながら歩く様子も見られます。
白内障などの目の病気によるもの
目に異常があると極度に驚きやすくなり、散歩中に急に歩かなくなったり、ふらついたり、蛇行したりなど異常な歩き方をすることがあります。ものをよけられなくなるような様子もみられます。
寝起きで足がしびれている
犬も寝相によって一時的に足がしびれることがあります。寝起きにすぐに立ち上がらない、歩き出してもすぐに座ってしまうなど様子見られる場合はしびれている可能性があります。
犬の歩き方がおかしい時に注意すべき症状
犬の歩き方がおかしい場合、どのように対処すべきでしょうか。原因は様々で自己判断ではどうしようもないことが多いので、まずは動物病院に相談することがおすすめですが、緊急性が高ければすぐに受診しなければいけません。
どのような場合が緊急性が高いのかを説明します。
痛がっているとき
歩き方がおかしいと感じて飼い主さんが触ると鳴き叫んで痛がる場合や、触られることを嫌がる場合は注意が必要です。
- 出血していないか
- 足の変形がないか(関節や指などの形に変化はないか)
などを確認して早めに動物病院を受診しましょう。
感覚の麻痺や足に力が入らない場合
痛がらないからといって、安易に正常だとはいえません。犬の前足後ろ足を触って、感覚の有無を確認しましょう。
痛覚や感覚がない場合は神経系の深刻なダメージをうけ、麻痺している場合がありますので、早急に受診してください。
様子がいつもと違う
歩き方が変だなと感じたとき同時に元気や食欲が全くない、など普段の様子と違えばすぐに受診してください。特に震えていたりする場合はどこかに痛みがあったり、体調が悪く歩くことが困難になっていることがあります。
犬の歩き方がおかしい時の対処法
突然歩き方がおかしくなったり、立てなくなった場合にはすぐに医師の判断と治療などが必要ですが、家では普段通りにしていて大丈夫かどうか不安になりますよね。
犬の歩き方がおかしくなった場合に飼い主さんがとるべき対処法がありますので確認しておきましょう。
犬の症状がわかる動画の撮影や経過を記録しておく
犬の歩き方がおかしいと感じて動物病院に行ったがうまく説明ができなかった、病院では正常だった、という声は多く聞かれます。
痛みや緊張があると、犬は不安な気持ちから獣医師の前でいつもの状態では無くなります。必要以上に動かなくなる場合もあって、どのような症状が出ているのかわかりにくいのです。
観察した経過を時系列にまとめたり、動画に撮っておくなどして受診するとスムーズです。
原因探しや処置の仕方は自己判断で行わない
犬の歩き方がおかしい理由を知りたくて無理やり足を触ったり、怪我などの異常がわかり勝手に処置をすると、逆に悪化する恐れがあります。痛みを与えてしまい、犬が過剰に怒って飼い主さんが犬に噛まれる事故も起きかねません。
飼い主さんの処置によって本来の原因を見逃してしまったり、適切な治療を受けられなくなる可能性もあります。無理に自分で何とかしようとせずに、獣医師の判断や処置にお任せしましょう。
犬の体が安定するケージに入れて安静を保ったまま受診する
犬を病院に連れていく際には、歩かせることなくハードキャリーやケージを利用しましょう。
足元がやわらかかったり車が揺れた場合に足元が不安定だと、受診するための移動でさらに状態を悪化させる恐れがありますし、二次的な転倒などによる怪我のリスクもあります。
家の中ではゲージレストを
歩き方がおかしい場合には、家の中でもなるべく動き回らない方が良いでしょう。ふらつきがある場合は動き回って思わぬ転倒で怪我をさせない目的や、痛みがある場合はさらに痛みを悪化させないようにする目的があります。
散歩は最低限に
お散歩が大好きな犬でも、歩き方がおかしい場合には原因がわかり症状が落ち着くまでは、散歩は最低限にとどめるのが良いでしょう。運動量に関しても獣医師に相談してください。
犬の歩き方を正常に保つための対策
犬の歩き方がおかしくなる原因はたくさんあることは説明しましたが、先天性の疾患以外の場合には、飼い主さんが気を付けることで防げることも十分あります。
念頭において生活できれば犬の足に負担をかけずに生活できます。少しでも怪我などのリスクを避けられるといいですね。
犬の足に負担がかからない環境をつくる
犬がいる環境がフローリングなどの滑りやすい床である場合や、階段やソファーをジャンプして登ったり落りたりする場合には、怪我の元になります。
また、股関節や膝関節に負担がかかると、歩行に支障をきたす病気の発症の可能性が高まり、さらに進行してしまうこともあるので環境の見直しを行いましょう。
適切な運動と食事で体重の管理をして足の負担を軽減
犬の足に負担をかけないよう体重管理を行うことが大切です。体重が増えると細い足に必ず負担がかかりますので肥満を防止しましょう。
適度な運動も犬の足の筋肉の発達に重要です。関節を守るためには周りの筋肉の発達も大切なので、適度に運動を行って筋力を養う必要があります。
ただしすでに歩行に異常をきたしている場合は獣医師の指示を受けてください。
散歩は、コースや時間帯が安全か確認する
犬を歩かせている散歩コースは犬にとって安全でしょうか。肉球は地面と直接接する大切な部分です。肉球や周辺に傷がつくと歩く際に痛みが伴います。危ないものが落ちていないか、枝の多い草むらなども肉球に刺さる恐れがあるので気を付けましょう。
また、暑いアスファルトも肉球の火傷の原因になります。暑い日には日が陰ってから散歩の時間にするなど犬の安全にしっかり配慮してください。
お尻も支えて抱っこすることで腰への負担軽減
ミニチュアダックスフンドやコーギーなど胴長の犬に関して特に抱きかかえる際には注意が必要です。腰を痛めて歩行困難になることもありますので、身体全体を包むように抱きかかえるようにしましょう。
胴長の犬ではなくても同様に、腰に負担をかけるような抱っこの仕方はしないようにしましょう。
サプリメントやリハビリを導入して筋肉や関節にアプローチを
筋力アップ・関節の強化の目的でサプリメントを導入するのもいいでしょう。また、もしすでに歩行に異常をきたしているようであれば、あきらめずに病院ですすめられる治療法やリハビリをしっかり行いましょう。
まとめ
犬の歩き方がおかしい場合には様々な原因が考えられますし、その対処法も様々です。
原因としては
- 足の怪我、疾患
- 病気による痛みや麻痺
などが考えられ、今回はほんの一例を紹介しただけに過ぎません。
「犬の歩き方を正常に保つための対策」については、犬の歩き方がおかしくなくても普段から必要なケアも含まれています。いつまでも足腰も自由に、元気に過ごせるよう最低限のことはしてあげたいですよね。
歩き方は日常的に見ることのできる健康のバロメーターです。いつもと様子が違う、と思った時にはよく観察して獣医師に相談しましょう。