ラサアプソの歴史
ラサアプソの歴史は古く、2000年前から現在まで続いている犬種だと言われています。チベットのラマ教の寺院で、聖なる犬として、僧侶達に大切にされていました。ラサアプソは、同じくチベット原産のチベタンスパニエルやチベタンテリアと血統が近いとも言われています。
聖なる犬として大切にされたいたラサアプソは、寺院から王侯貴族に特別な贈り物として譲り渡されました。そのため、庶民がラサアプソを飼うことはなく、基本的には寺院から門外不出とされていました。
チベットの寺院から中国の宮廷に献上されたラサアプソを、中国の地犬と交配させて、ペキニーズが誕生しました。そして、ペキニーズとラサアプソの交配により、シーズーが作出されました。ペキニーズもシーズーも、中国の宮廷で愛されることになります。
長らくチベットやその周辺でしか飼育されてこなかったラサアプソが、イギリスに渡ったのは20世紀初めのころです。ラサアプソの純血性を保ったまま繁殖され、1933年にイギリスケンネルクラブに犬種登録されました。
ラサアプソの犬種用途は愛玩犬ですが、優れた聴覚を持っているため、聴導犬として訓練されて、実際に活躍している子達もいるそうです。
ラサアプソの特徴
基本情報
英語表記 | LHASA APSO |
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略称 | LA |
原産国 | チベット |
サイズ(分類) | 小型犬 |
平均体高 | 25.4cm |
平均体重 | 6kg |
平均寿命 | 12歳~14歳 |
毛色 | ゴールデン、サンディ、ハニー、ダーク・グリズル、スレート、スモーク、パーティ・カラー、ブラック、ホワイト、ブラウン |
性格 | 陽気、自尊心が高い、用心深い、落ち着いている、他人に無関心 |
販売価格 | 10万円前後 |
しつけやすさ | しつけやすいが少し頑固 |
飼育場所 | 室内 |
飼育数 | 103位(2017年JKC登録数による) |
犬種の特徴
長毛でわかりづらいですが、ラサアプソは意外とがっちりした体型です。サイズは小型犬ですが、体重は6kg程度と、比較的重いほうです。丈夫な体で、飼いやすいと言えます。
ラサアプソのカラーは豊富で、ゴールデンやサンディのほか、黒や白の単色も認められています。チョコレート色のグラデーションが一般的なカラーで、単色のラサアプソは珍しいです。
被毛は長く、ダブルコートです。チベットの高地に適応して、寒さに強い被毛になっています。伸ばすと床につくほどの長毛が、ラサアプソの魅力のひとつです。
英語で「タリスマン・ドッグ(お守り犬の意味)」と呼ばれていたのもうなずける、神秘的な雰囲気を醸しています。飼うと幸せになれると噂されたぐらいです。一方で、モップのようにも見えて、ちょっとおかしみがあるのも、ラサアプソの魅力ですね。
ラサアプソはシーズーの直接の祖先なので、この2犬種はとてもよく似ています。長毛でがっちりした体型という特徴が、全く同じです。当初は、イギリスやアメリカで、ラサアプソとシーズーが混同されていたぐらいです。
シーズーとの違いは、マズルの長さです。短いほうがシーズー、長いほうがラサアプソです。この2犬種はとても近い血統ですが、別の犬種として登録されています。
ラサアプソの性格
- 陽気
- 自尊心が高い
- 用心深い
- 落ち着いている
- 他人に無関心
ラサアプソは、高貴な外見に反して、とても陽気な性格です。長らく寺院で飼われていたためか、家庭犬としての素質に恵まれています。しつけにもよくついてきて、飼い主に忠実です。
反面、自尊心が高く、頑固な一面もあるので、しつけの際にはラサアプソのプライドを傷つけないように気をつけましょう。一方的にしかりつけると、よけいに頑固になるかもしれません。
また、用心深く、聴覚に優れているので、番犬としての資質も備えています。アプソ・セン・カイ(よく吠える、ライオンに似た犬)というチベット語が犬種名の由来という説もあり、物音に反応して吠えます。
ですが、落ち着きがあるので、何事もないと教えてあげると、やたらと吠えることはありません。
飼い主に忠実な反面、見知らぬ人には関心がなく、そっけない態度をとることが多いです。このあたりにも、自尊心の高さが現れていますね。
ペットショップからラサアプソを迎え入れる方法
子犬の価格相場
ペットショップでのラサアプソの価格相場は、10万円前後です。珍しい犬種にしては、意外と安いですね。
どの犬種も同じですが、月齢が若いほど値段が高く、子犬が成長するにしたがって、価格は下がっていきます。また、血統によっても値段が違ってきます。親犬がドッグショーで受賞していると、相場より高い値段がつきます。
良いペットショップの見分け方
ペットショップでの展示販売には、現在多くの問題が指摘されています。愛犬家の間では、「パピーミル(子犬工場)」の問題がよく知られています。
劣悪な環境で、無理な繁殖を強いられ、親犬はボロボロになるまで酷使されます。そのような環境で生まれる子犬に問題がないわけがなく、遺伝疾患を抱えている場合もあります。
犬にとっても最悪ですが、人間にとっても、健康な子犬を迎えることができないので、これから犬と暮らす人は十分気をつけましょう。
では、優良なペットショップとはどのようなものでしょうか。以下の点に注意してください。
- 深夜まで営業していないか
- 店内、特に子犬のいるショーケースは清潔か
- 店員は犬の飼い方に詳しいか
- 店員が愛情をもって子犬を扱っているか
- 親犬についての質問に答えられるか
深夜まで営業している店は、子犬の健康やストレスに無頓着だといえます。また、ショーケースが清潔に保たれているかは、子犬の健康状態を左右します。店内に不潔なにおいがこもっているペットショップは、それだけでアウトです。
親犬についての質問に答えられないということは、売られている子犬がどこから来たかわからないということです。先述のパピーミルで生まれた子犬は、セリにかけられてショップに並びますので、そのような経路で仕入れた子犬の可能性があります。
反対に、親犬についての質問に答えられるということは、そのペットショップが子犬の出自を把握しているということなので、遺伝疾患の有無や可能性についてもわかっているはずです。
ブリーダーと直接契約して子犬を仕入れているペットショップは、それだけ子犬の健康や今後の幸せにも関心があるということです。売ったら売りっぱなしではなく、アフターフォローもしっかりしている店が多いです。
おすすめペットショップ
ラサアプソを販売している数少ない優良ペットショップです。COO&RIKUでは、自社のブリーディング施設で繁殖を行い、親犬、子犬ともに健康管理が行き届いています。
北海道から沖縄まで、全国に支店があるのもうれしいですね。どの店舗にも、犬の飼い方に詳しいスタッフがいて、子犬を迎えたあとも、わからないことがあれば丁寧に教えてくれます。
ブリーダーからラサアプソを迎え入れる方法
子犬の価格相場
ブリーダーでのラサアプソの子犬販売価格は、10万円前後です。店舗を通さず、直販するので、良い血統の子犬でも、ペットショップより安く販売されています。
ペットショップと同じく、月齢が若いほど値段が高く、子犬の成長にしたがって、安くなっていきます。
良いブリーダーの見極め方
ラサアプソは、日本では珍しい犬種なので、比較的悪徳ブリーダーが少ないと思いますが、良いブリーダーの見極め方は、以下の通りです。
- 親犬を家族として扱っている
- 親犬や子犬の健康やストレスに気を配っている
- 遺伝疾患に配慮したブリーディングを行っている
- 親犬の健康を考え、頻繁に繁殖させない
- 動物取扱業の資格を持っている
ブリーダーの中には、商売目的で子犬をどんどん産ませる犬舎もあります。それでは、パピーミルと変わりありません。健康な子犬を迎えるために、良いブリーダーを探すことが大事です。
日本にはラサアプソのブリーダーが少ないので、希望したらすぐ子犬が見つかるとは限りません。繁殖を予定している犬舎に、事前に予約を入れるなどして、気長に待ちましょう。
おすすめブリーダー
一般家庭でブリーディングを行っているブリーダーさんです。ラサアプソの交配実績もあり、2019年秋ごろに繁殖を予定しているそうです。ラサアプソの子犬が欲しい方は、犬舎見学に行って、予約されるといいと思います。
子犬の受け渡しは、全国に出張可能なので、遠方にお住まいの方でも、子犬を販売してもらえます。
木下ブリーダーは、ラサアプソの他に、甲斐犬とラブラドールレトリバーも扱っています。そのため、救助犬などの訓練に詳しく、しつけの面ではバッチリ相談に乗ってくれます。
優良な血統の親犬の交配に心をくだき、スタンダードに準拠した美しい犬の繁殖に取り組んでいます。犬舎は鹿児島ですが、九州地方ならば出張対応してくれます。
里親募集を利用してラサアプソを迎え入れる方法
必要経費
犬の里親になるには、いくつかの方法があります。経費が最も安い(無料)なのは、地域の動物愛護センターが行う譲渡会です。
ただし、ラサアプソのような希少犬種が保護犬になっていることはまれなので、よほど運に恵まれていないと、譲渡会で出会うことなないでしょう。
ラサアプソのような希少犬種の里親募集が見つかりやすいのは、インターネットの里親募集サイトでしょう。
この場合、犬自体は無料で譲渡してもらえますが、ワクチンや避妊・去勢手術費用として、数万円の経費がかかることが多いです。
いずれにせよ、犬そのものは無料で譲渡されるので、子犬を購入するよりずっと安い費用でラサアプソを迎えることができます。
良い里親募集の選び方
良い里親募集の選び方として、以下の点をチェックしてみてください。
- 里子に出された理由がきちんと書かれている
- 病気を持っている場合も正直に書かれている
- 必要経費や譲渡条件がきちんと説明されている
- 引き渡しに当たって、契約書を準備している
トラブルを避けるため、ラサアプソの里親募集を見つけてもすぐ飛びつかず、上記の点をきちんと確認しましょう。里子に出された犬は、一度飼い主に手放されているわけですので、二度と同じ思いをさせないように、迎える側も終生飼育を前提にすることが大事です。
おすすめ里親募集サイト
里親募集サイトで一番有名なのが、ペットのおうちです。譲渡実績は4万件を超え、最も利用されている里親募集サイトです。
トラブル防止のためのルールも決められていますし、里親募集しているのも個人から保護団体までさまざまです。契約書の取り交わしも義務付けられているので、安心して利用できます。
こちらのサイトは、よく目にするようになったのは最近ですが、譲渡活動自体は10年以上の実績があります。2019年に現在の形にサイトをリニューアルしたので、それをきっかけにアクセス数が増えたようです。
義務ではないようですが、このサイトでは、保護犬の引き渡しは新しい飼い主の家で行うことを推奨しています。飼育環境の確認のためです。このようなポイントが、犬や猫の譲渡活動の実績を物語っています。
こちらのサイトは、運営者の審査を通過した保護団体だけが、里親募集できます。そのため、里親になるまでの流れも、ほぼ保護団体と直接やりとりする場合と同じになっています。
トライアル飼育ができるのが、こちらのサイトの魅力です。保護犬と新しい飼い主との相性を確認してから、正式譲渡になるので、犬にとっても飼い主にとってもハッピーです。
ラサアプソの寿命
ラサアプソの平均寿命は、12歳~14歳と言われています。血統が近いシーズーの平均寿命が10歳~16歳なので、ラサアプソのほうがやや短いようです。
もちろん個体差もありますし、飼育環境によっても寿命は違ってきます。ラサアプソに長生きしてもらえるように、栄養のある食事と適度な散歩、ストレスをためない生活を心がけましょう。
また、ラサアプソはチベット原産のため、寒さに強いですが、暑さには弱いです。夏は室内の温度管理に気をつけて、ラサアプソの体にかかる負担を減らしてあげましょう。
ラサアプソの飼い方
環境
ラサアプソは小型犬なので、言うまでもなく室内で飼いましょう。先述のとおり、暑さに弱いので、夏の暑い時期に室外につないでおくなど、もってのほかです。
どの犬種でも同じですが、あまり長時間の留守番が続くのも良くないです。ラサアプソは飼い主思いなので、たっぷり愛情を注いであげましょう。
ラサアプソは独立心もありますので、犬がくつろげるスペースも用意してあげましょう。犬用ベッドなど、ラサアプソが「自分のスペース」と認識して、安心してくつろげる場所が必要です。その際、ベッドの置き場所に注意しましょう。人が頻繁に行き来するところや、外の音がよく聞こえるところなどは、犬にとっては落ち着きません。静かな場所を選んであげてくださいね。
運動
一般的に、小型犬の運動量は1日2回、1回につき20分程度の散歩で足りると言われています。ラサアプソも例外ではなく、散歩の量はその程度で十分です。
散歩好きな子、あまり歩かなくても平気な子と、同じ犬種でも個性がありますので、お家に迎えたラサアプソに無理がないように気をつけてあげてください。
また、若いうちは散歩が大好きでも、シニアになればあまり歩かなくても平気と、年齢によって運動量も変わってきます。シニアになったら、ラサアプソの体力に合わせて散歩量を調節してあげましょう。
餌
現在ではドッグフードもたくさんの種類が販売されていて、どれを愛犬に与えればいいか迷うぐらいです。
基本的には、「総合栄養食」と記載されているドッグフードを選べば、犬に必要な栄養素を摂取できます。与える量は、ドッグフードの袋に書かれている体重ごとの適量を参考にしましょう。
ラサアプソは比較的食いしん坊な犬種と言われています。そのため、「もっと食べたい!」とアピールしたり、飼い主の食べ物を欲しがったりすることがあります。人間の食べ物は、基本的に与えないようにして、肥満を防ぐためにおやつを適量に抑えるのが大事です。
お手入れ
ラサアプソは長毛なので、定期的なトリミングが欠かせません。トリミングはただ毛をカットして見た目を良くするためだけでなく、目の周りの毛が眼球を傷つけないように整えたり、耳掃除をして外耳炎を防いだりと、健康を保つためにも必要です。
長毛の犬種は、家でのお手入れも欠かせません。毎日のブラッシングで、毛玉を作らないようにしましょう。簡単なヘアカットのために、ペット用のハサミを用意しておくといいですよ。
ラサアプソはダブルコートなので、春と秋の換毛期には、抜け毛がたくさん出ます。そのため、こまめな掃除が必要になってきます。愛犬の被毛の手入れが苦にならない人に、ラサアプソは向いていますね。
しつけ
ラサアプソは飼い主に従順な犬種なので、しつけはしやすいほうです。しかし、頑固な一面もありますので、子犬のときからしっかりとスキンシップをとって信頼関係を築きましょう。
ラサアプソはプライドの高い犬でもありますので、頭ごなしに叱りつけるようなしつけは向きません。しっかりとコミュニケーションをとって、ダメなものはダメと、きちんと納得させましょう。甘えん坊な犬種でもあるので、愛情をたっぷり注ぎながら、しつけをしてあげてくださいね。
ラサアプソのかかりやすい病気
眼病
ラサアプソは目の周りの毛が長いため、目の病気にかかりやすい傾向があります。短い毛がチクチクと眼球を刺激して、結膜炎などを起こすことがあります。ラサアプソが、前足で頻繁に目をこするような仕草をしたら、眼病の可能性があるので、動物病院で診察を受けてください。
こういった眼病を予防するために、目の周りのカットした毛が目に入らないように気をつけてあげてください。また、目の周りの毛を清潔に保つことも大事です。
呼吸器疾患
ラサアプソは鼻が短い短頭種に入りますので、呼吸器疾患にも注意が必要です。ガーガー、フガフガと呼吸困難のような症状を繰り返すようなら、呼吸器疾患の可能性がありますので、動物病院に連れて行きましょう。
よく知られる呼吸器疾患は、鼻腔狭窄と軟口蓋過長です。両方とも、息をするための通り道が狭くなってしまう病気です。あまり狭くなっているようだと、手術が必要になります。
皮膚病
ラサアプソはダブルコートなので、皮膚病にも注意が必要です。特に春から秋にかけては、被毛の下の皮膚が蒸れやすくなるので、ブラッシングのときに気をつけて見てあげましょう。
単に皮膚が蒸れてブツブツができているだけなら、動物病院で患部の毛を刈って、薬を塗ればすぐに治ります。でも、気づくのが遅れて真菌が繁殖してしまうと、治るのに時間がかかります。
患部がとてもかゆいので、ラサアプソにとっても苦痛が大きいです。早めに気がつくように、皮膚の状態に注意してくださいね。
ラサアプソのミックス犬種
- ラサシーズ(ラサアプソ×シーズー)
- ペキアプソ(ラサアプソ×ペキニーズ)
- シュナアプソ(ラサアプソ×シュナウザー)
- ラサマル(ラサアプソ×マルチーズ)
ラサアプソはシーズーの直接の先祖なので、ラサシーズは先祖返りのミックス犬という感じですね。ラサアプソそっくりになると思いきや、シーズーが強く出る場合が多いようです。
ペキアプソは、ペキニーズ、ラサアプソと親犬がどちらも獅子に似ているので、小さなライオン犬という感じです。シュナアプソはやはりシュナウザーの特徴である口ひげがあり、ラサアプソに似た顔に独特の愛らしさを加えます。
ラサマルは、愛玩犬の代表格マルチーズとラサアプソのミックス犬です。そのため、ザ・愛玩犬という感じですね。愛らしい家族になってくれそうです。
トイプードルのミックス犬が現在とても人気ですが、ラサアプソとのミックス犬はあまりいないようです。ラサアプソとも当然交配させていると思いきや、希少犬種のためか、ほぼいない様子です。これから人気が出るかもしれませんね。
ラサアプソのおすすめブログをご紹介!
ラサアプソ♡あんじゅ♡のブログ
現在6歳になるラサアプソ、あんじゅちゃんの日常を綴ったブログです。かわいい写真とともに、あんじゅちゃんの語り口調で書かれたブログは、くすっと笑えるところがいいですね。
ラサ・アプソ ごんた のじゃじゃ馬日記
こちらは、現在4歳になるラサアプソ、ごんたくんと、同居犬シーズーのコロンくんのブログです。ごんたくんは2代目のラサアプソのようです。
ごんたくんのユーモラスな写真がたくさん掲載されていて、とても楽しいブログですよ。