犬の異常な唾液と正常な唾液の違い
唾液は食べた物の消化吸収を助けるために欠かすことができない分泌物です。そして、その量は一定ではなく時と場合によって増えることもあり、その様子から犬の健康状態や心理状態も知ることができる大切なバロメーターでもあります。
しかし、今出ている唾液が正常なものなのか異常なものなのかが分からなければ異常だった場合の対処が遅れ、最悪命を落としてしまうことも。
そうならないためにも、正常な唾液と異常な唾液の違いをそれぞれお教えしていきます。
犬の正常な唾液(生理的なもの)
- ご飯やおやつを目の前にしたとき
- 暑さで体温調整をしているとき
- 車などで酔ってしまったとき
- 極度な緊張状態にあるとき
犬の異常な唾液(病的なもの)
- ダラダラと大量の唾液
- 泡のような唾液
- ニオイがキツイ唾液
犬に唾液の異常が見られたとき考えられる病気
正常な唾液と異常な唾液の違いを見ると分かるように、正常な唾液はある一定のタイミングに合わせて分泌されていきます。そのため常にダラダラと流れているのではなく、食べ物を目の前にしたときや暑さによる体温調節など、何かきっかけがあってから分泌量が増えるということになります。
しかし、これが異常な唾液になるとそうしたタイミングとは関係なしに分泌されるため、常に唾液を口から流していたり体内の異常によってキツイ口臭と混ざったような唾液になることがあるのです。
では、それらのような唾液の異常が見られたときに考えられる病気にはどのようなものがあるのか、症状と合わせていくつかご紹介していきます。
熱中症
熱中症は体温の急激な上昇によって大量の唾液の分泌やふらつきが起こり、深刻化するにつれて嘔吐、下痢、血便、けいれん、虚脱といった症状が起こり最悪死に至ります。
胃捻転・胃拡張
特に大型犬に多く、食べ物などで胃にガスが溜まると胃が異常に膨らみ、大量の食事や水の摂取や食後すぐ激しい運動をしたりすると胃がねじれ、大量の唾液や吐きたいのに吐けない、苦しそうといった症状が見られます。
食後やその後の運動後にこうした症状が見られたらすぐに動物病院へ連れて行き、早急に対処することが非常に重要です。
歯周病
成犬の80%以上は歯周病だと言われていますが、歯周病にも軽度のものから重度のものまでさまざまです。そして、状態が重度になればなるほど口内環境が悪化し、出血や痛みから唾液を流すようになります。
また、重度の歯周病を放置しておくと口内から体内へ菌が入りの込み、腎臓や心臓などさまざまな内蔵へダメージを与えそこから内臓疾患を引き起こす危険性もあります。
口腔腫瘍
口腔内に腫瘍ができることで痛みや出血が起こり、出血混じりの唾液を流すこともあります。腫瘍が邪魔をして食べたくても食べることができず食べる量が減ってしまうこともあるため、対処がなければ体重も落ちていきます。
内臓疾患
腎臓病や肝臓病など内臓疾患による吐き気などで唾液が増えることがあります。また、内臓疾患の場合体内の不調が口臭となって出ることもあるため、歯周病と勘違いして受診が遅れることのないようにしましょう。
犬の唾液の異常を感じたらすぐに動物病院へ
犬の唾液の異常と言われても、正直なところどんな状態が異常なのかピンとこないかも知れませんし、よほど大量に唾液が流れ明らかに様子がおかしいと感じなければ動物病院へ連れて行くことも迷ってしまうと思います。
しかし、犬の健康状態を確認するポイントは元気や食欲だけではなく、普段はあまり気にしない唾液の量やニオイといったものも重要なバロメーターです。
そのため、普段から唾液の量やニオイといった一通りの状態をチェックし、いつもよりニオイが気になる、量が多い、ダラダラ流れてるなど異常を感じたらすぐに動物病院へ連れていきましょう。
まとめ
犬の唾液には生理的に分泌される正常な唾液と、病的関与によって分泌される異常なものとがあります。そして、正常な唾液であれば焦る必要はなく車酔いなど一時的なものなら様子を見て大丈夫なのですが、異常な唾液となるとそうもいきません。
唾液の異常は内臓疾患や口腔内疾患、熱中症といったさまざまな体の異常を発見するための手段であり、唾液に限らずちょっとした変化でもすぐに気付き対処ができれば寿命を伸ばすことにもなります。
たとえ何かしらの疾患を患ってしまったとしても、できる限り長く最善の状態でいさせてあげるために、唾液の異常に気付けるように日頃から観察をしておきましょう。