犬の多飲多尿の症状とは
犬の飲水量は、気候や運動後など、様々な原因で一時的に増えることもあります。しかし、何度も水を欲しがり、犬を見る度に水を飲んでいる場合は、多飲となります。
多飲の目安として、24時間以内に、何cc飲んだかを計算します。例えば、朝8時~翌日の朝8時の間に飲んだ量を犬の体重で割り、1kg当たり90cc以上飲んでいると多飲です。
また、尿に関しては、飲水量に比例して多くなり、回数が増えます。
- 何回もトイレに行き、1回の排尿時間が長い
- トイレに間に合わずおもらしをする
- 薄い色の尿が続く
上記の症状が見られたら、多尿と言えます。多飲多尿の場合は、1日だけの様子ではなく、2、3日の飲水量と尿の様子を、メモを取りながら見てから病院へ行くと良いでしょう。病院へ行く際は、排尿をしたペットシートを持って行くと尿検査がしやすくなります。
犬が多飲多尿になる原因
犬の多飲多尿は病気によって起こる場合もありますが、それ以外にも様々な原因があります。
たとえば、尿石症という病気にかかっていると、尿石症の療法食を食べなければなりません。尿石を形成しにくくするための療法食で、これを食べている犬は多飲多尿になりやすい傾向にあります。食べるのを辞めてしまうと、尿石症が再発する可能性があり、獣医師と相談しながら対処する必要があります。
また、犬に人間の食べ物を与えていると、塩分が多いため多飲多尿になります。水分が多い野菜や果物の与えすぎも原因の一つですので、適度な量を与えましょう。
犬の多飲多尿から考えられる病気
腎不全
腎臓には、不要になった老廃物や毒素を尿として排出する機能があります。腎不全は、尿の凝縮や体液維持などの腎機能が、長い時間をかけて低下、障害を受けてしまう病気です。腎臓は75%以上の機能が低下すると、様々な症状があらわれます。
- 多飲多尿
- 体重減少
- 食欲不振
重症になると、毒素が体内に蓄積される尿毒症となり、嘔吐、下痢、貧血や痙攣を引き起こし、非常に危険で、命に関わることもあります。犬の腎不全には特効薬がなく、治療は難しいですが、脱水を防ぐための点滴や、制吐剤の投与が行われます。タンパク質を抑えた食事療法も効果的です。
子宮蓄膿症
メス犬特有の病気です。子宮内膜の細菌感染や、ホルモン異常によって、子宮が過形成を起こし、膿が溜まる病気です。6歳以上の高齢犬や、出産未経験の犬に多いといわれています。食欲不振や多飲多尿、膣からの粘液物質の排出などが見られ、治療が遅れると腎不全や多臓器不全で死に至ることもあります。
犬が子宮蓄膿症を発症すると、卵巣子宮摘出手術を行うことが最善とされ、抗生物質が投与されます。予防には避妊手術をすることが最適なので、出産予定がない犬には避妊手術を受けさせましょう。
糖尿病
脾臓から分泌されるインシュリンの不足や作用低下が原因で高血糖となり、様々な症状や合併症を起こす病気です。主に肥満傾向のある犬での発症が多く、多飲多尿や、食欲はあるのに急激な体重減少が見られます。
進行すると、白内障や糖尿病性網膜症などの合併症をあらわし、重篤になると糖尿病性昏睡に陥ってしまい、非常な危険な状態になります。
7~10歳の高齢犬に多発し、 避妊手術をしたメスに比較的多く見られるといわれています。治療には、インシュリンの注射と、血糖の上昇を抑える食事療法が行われます。予防には、犬が肥満にならないための食事管理と、適度な運動が有効です。
クッシング症候群
副腎皮質から分泌されるグルココルチコイドというホルモンが、過剰に分泌されることで様々な症状をあらわす病気です。
- 多飲多尿
- 元気、食欲低下
- 腹部膨満
- 左右対称の痒みのない脱毛
- 皮膚の色素沈着
このような特徴的な症状があります。犬のクッシング症候群は、進行すると糖尿病を起こしたり、突然死してしまうこともあります。副腎皮質の働きを抑える薬の投与や、手術で副腎を切除する治療が行われます。
まとめ
犬の多飲多尿が見られる病気は、放っておくと命に関わるものが多く、どれも危険な病気ばかりです。大きな病気を引き起こす前に、犬が多飲多尿の症状を見せた場合は、すみやかに獣医さんに相談するとともに、出来る限りの予防に努め、愛犬の健康チェックをしてあげてください。
ユーザーのコメント
女性 匿名
1歳前の健康診断で発見されました。2つある臓器の片方が小さいので上手く機能しておらず数値が高いです。犬の腎臓疾患には絶対的なお薬がないので、家族先生と相談しできる事をしています。体重管理、療養食に変え、水は絶やしません。また、下痢になると水分不足で良くないのでおやつは作っています。一度ジャーキーで消化不良させてしまいました(TT)
悲観的にならず、アジリティーの練習やドッグフェスに参加したり楽しく過ごしています。うちの子で良かったです。