犬の尿は健康のバロメーター
犬のおしっこは量や回数は健康のバロメーターになると言わていて、おしっこの状態から病気の早期発見につながることがあります。
まずはおしっこの量が多くなる原因と考えられる病気について見てみましょう。
犬の尿が多くなる5つの病気
1.腎不全
何らかの原因により腎臓の機能がダメージを受け、老廃物や排泄、水分や電解質バランスの調整などに異常が生じてくるのが腎不全です。
急性腎不全と慢性腎不全があり、急性腎不全の場合はおしっこが急激に減少します。
慢性腎不全の場合は徐々に進行していきます。初期はほとんど無症状ですが、しだいに水をよく飲むようになり、おしっこの量も増えていきます。
状態が悪化すると嘔吐や食欲不振、痩せる、貧血などの症状が現れます。
急性の場合、命に関わることもあるため一刻も早く治療を受けなくてはなりません。
慢性の場合は食事療法などで症状の悪化を防ぐことがメインとなります。
2.糖尿病
糖尿病は人間の糖尿病と同じように、インスリンというホルモンが不足したり効きが悪くなったりすることで、血液中の糖分が多くなってしまう病気です。
糖尿病になると、飲む水の量が多くなり、おしっこの回数や量が増えます。
食欲が増え、食べても食べても痩せるといった状態になります。
悪化すると昏睡状態になることもあるため、治療が必要な病気です。
糖尿病には2つの種類があり、1つはインスリンが分泌されなくなることで発生するインスリン依存性糖尿病。もう1つはインスリンの効き目が悪くなり起こるインスリン非依存型糖尿病です。
犬の場合は1つ目のインスリン依存性糖尿病が多く、その原因はよくわかっていませんが肥満や感染など複数の要因が重なって起こるものだと思われています。
3.クッシング症候群
クッシング症候群は「副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)」とも呼ばれています。
副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで、症状が引き起こされる病気です。
クッシング症候群になると水を沢山飲む、おしっこの量が増える、毛が抜ける、お腹が膨れる、といった症状が出てきます。
病気が進行すると元気がなくなり寝てばかりいるようになります。
糖尿病を併発することがあり、放置すると危険な病気です。
クッシング症候群の原因は脳や副腎皮質にできた腫瘍によって、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されるところにあります。
薬物治療が一般的ですが、外科手術をすることもあります。
4.子宮蓄膿症
子宮が細菌感染を起こし、膿がたまる病気です。
水を多く飲むようになったり、尿の量が増えたり、お腹が膨らむ、発熱、といった症状が現れます。
放置していると尿毒症や腎不全などを引き起こします。
治療としては外科手術によって子宮を摘出するのが一般的ですが、膿を出す治療もあります。
子宮蓄膿症は避妊手術によって防ぐことができます。
5.尿崩症
脳下垂体や腎臓に問題があるため、水分の再吸収が十分にできずおしっこの量が急激に多くなります。
そして出した分を補うために水をたくさん飲むようになります。
水が不足すると脱水状態や痙攣、意識がはっきりしないなどの症状が現れます。
予防は困難で、おしっこの量が急激に多くなる、水を大量に飲むなどといった症状が出た場合動物病院へ連れていき早期発見、早期治療をすることが大切になります。
対処法と予防ケア
飲水を管理する
おしっこの量が増えると、その排出された分の水分を補うために水を飲む量も増えます。
あまりにも水を飲むので不安で水を与えなかったり、極端に量を少なくするのは危ないです。
水を飲む量が増えている犬の場合、飲む量を少なくしてしまうと状態が悪化することが多いのです。
しかし大量に飲みすぎると「水中毒」にも注意しなくてはならず、ある程度の調整は必要となってきます。
まずは1日にどれぐらいの量を飲んでいるか調べて、基準を決めておきましょう。
1日の飲水量と尿量を調べる
愛犬の今の状態を把握するために、1日にどれぐらいの量の水を飲んでいるか、ぞれぐらいおしっこをしているか量ってみましょう。
病院へ連れていく際にメモしたものをもって行くと良いかもしれません。
【飲水量の量り方】
水を入れるときに、計量カップを使用して水の量を量ります。
その次に残った水を計量カップにいれて量ります。
となります。この方法を使えばどれだけ飲んだか確認できます。
目安は大体体重1kgに対して1日50~60mlまでです。
缶詰やウェットフードは水分が含まれているので、そこは考慮しなくてはいけません。
しかし例えば10kgの犬が600ml以上飲むのは異常なことなので注意しましょう。
【尿量の量り方】
犬のトイレにスノコを置いて、その下に吸水性のないビニールシートなどを置きます。
そしておしっこをした後、おしっこを集めて計量カップで量ります。
目安として正常な犬の1日のおしっこの量は、体重1kgあたり25〜40mlとなっているので、比較してみてください。
まとめ
犬のおしっこの量は普段あまり気にしない方も多いのではないでしょうか?
でも明らかに回数が増えたりした場合、おしっこの量も増えていないか確認してみてください。
何か病気が隠れているかもしれません。
以上を感じたらすぐに獣医さんに相談してみましょう。