どうして犬は自分の手足を噛むの?
愛犬が自分の手足を噛む姿を見たことはありませんか?犬が自分の手足を噛むのには理由があります。その理由を知らずに放っておくとしつこく噛み続けて、噛んでいる部分が傷ついたり、雑菌が入って炎症を起こしたりしてしまうことがあるので要注意です。
では、犬はどのような理由で自分の手足を噛むのでしょうか?以下からその理由を3つご紹介していきます。
犬が自分の手足を噛む理由
理由①ストレスを感じているから
犬は繊細で、ストレスを感じやすい動物です。寂しさや不安な気持ちが毎日続くと、深刻なストレスになることもあります。また、運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足という状況も犬がストレスを感じるきっかけになります。
そして犬はストレスを感じると、さまざまな行動で自分の気持ちをなだめ、ストレスに対応しようとします。自分の手足を噛む行動もそのひとつです。
ストレスが原因で起こすこうした行動をそのままにしておくと、同じ行動を繰り返し続ける常同障害という精神疾患に発展する可能性があるので注意が必要です。
理由②退屈だから
暇で退屈なときにも自分の手足を噛むことがあります。退屈なときに限って自分の手足を噛んでいるのであれば、退屈しのぎにそうしている可能性が高いです。
また、飼い主さんの目の前や飼い主さんを横目で見ながら愛犬が手足を噛んでいるのであれば、「退屈だからかまって!」とアピールしているのかもしれません。
これは、愛犬が手足を噛んでいるときに「どうしたの?」とか「噛んじゃダメでしょ」などと飼い主さんが反応してくれたことがあるからです。この経験から、退屈なときには手足を噛んでいる姿を見せて飼い主さんの気を引き、かまってもらおうとするのです。
理由③病気を患っているから
犬はかゆいとき、後ろ足を使ってその部位をかきますが、体のどこかを舌でなめたり、歯で噛むのも痒みを和らげるしぐさのひとつです。
ですから、愛犬が手足の同じ場所ばかりを激しく噛んでいる場合や、皮膚が赤くなるほど噛んでいる場合は、かゆみを伴う病気を患っている可能性があります。
では、どのような病気が考えられるのでしょうか?
犬が自分の手足を噛む場合に考えられる病気
犬が自分の手足を噛む場合に考えられる病気は、主に皮膚の病気です。その中から3つご紹介します。
考えられる病気①アレルギー性皮膚炎
食べ物やハウスダスト、ノミの唾液、カビ、花粉などのアレルゲンに反応して起こる皮膚炎で、激しいかゆみを伴います。
足先は症状が出やすい部位のひとつで、その他わきの下や足の内側などにも症状が出やすいです。
考えられる病気②毛包虫症
毛包虫とは、葉巻のような姿に小さな足が8本あるニキビダニのことで、普段から犬の毛穴に寄生しています。体長はわずか0.2~0.4mmで、肉眼で見ることはできません。
毛包虫症は、免疫力が低下したときなどに毛包虫が異常増殖します。毛包虫のみならば痒みはありません。しかし細菌感染が伴うとかゆみや脱毛などを引き起こす皮膚の病気です。目や口の周り、四肢端によく発症します。
考えられる病気③膿皮症
化膿性の皮膚病で、ブドウ球菌などの細菌が皮膚に感染することで生じます。赤い発疹が出てかさぶたになり、強いかゆみを伴います。炎症や脱毛が見られることも。
口の周りや顔、足のつけ根、指の間などによく発症しますが、全身どこでも発症する可能性があります。
自分の手足を噛むのをやめさせる方法は?
愛犬がしつこく手足を噛んでいる姿を見ると心配になってしまい、「噛んじゃダメ!」と叱ってやめさせたくなります。ですが、これはNGです。一時的に噛むのをやめたとしても、噛む根本的な原因は取り除かれないため、飼い主さんに隠れてこっそりなめ続ける可能性があります。
また、靴下を履かせたり、包帯を巻いたりして物理的に噛まないようにするのもやはり根本的な原因は取り除けませんので、オススメできません。
ならば、どうしたらいいのかと言うと、愛犬が手足を噛む原因を探り、その原因に合わせて対処することが解決につながります。
では、自分の手足を噛むのをやめさせるにはどう対処したらいいのか、原因ごとにご紹介します。
ストレスが原因の場合
ストレスが原因である場合、ストレスの原因を取り除かない限り手足を噛み続け、常同障害に発展することもあるので早めの対処が必要です。
ストレスが原因で自分の手足を噛んでいるのなら、愛犬のストレスの原因を探り、その原因を取り除いてあげましょう。
例えば、毎日の長い留守番による寂しさや不安がストレスの原因ならば、留守番の時間を短くしたり、それが難しければ上手に留守番できるように工夫やしつけをしてストレスを減らします。
運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足などがストレスの原因ならば、生活のリズムを見直して、散歩の時間や一緒に過ごす時間を増やします。
このように対処することで、少しずつ自分の手足を噛む行動が減っていくことが期待されます。もし改善が見られない場合は、獣医師に相談しましょう。
退屈が原因の場合
たまに退屈しのぎに自分の手足を噛んでいる程度なら、そんなに心配はいらないでしょう。とはいえ、犬は退屈が苦手な動物です。愛犬の退屈のサインを見過ごし続けていると、ストレスにつながる可能性があります。
ですから、愛犬が退屈で手足を噛んでいることに気づいたら、遊ぶ時間を作ってあげましょう。ですが、愛犬が手足を噛んでいるタイミングで声をかけたり遊んだりしてしまうと、手足を噛んでかまってもらおうとする行動が強化されるかもしれません。手足を噛んでいないときにたっぷり遊んで、愛犬を満足させてあげましょう。
病気が原因の場合
病気が原因で手足を噛んでいる場合は、病気を治さないと噛み続け、どんどん悪化するおそれがあります。早めに動物病院へ連れて行きましょう。
愛犬をよく観察し、噛む頻度や噛み続ける時間などを獣医師に伝えるといいでしょう。
まとめ
犬が自分の手足を噛む場合、ストレスや退屈などによる心理的な理由と皮膚の病気などによる身体的な理由があります。
手足を噛み続けると炎症を起こしたり、病気を悪化させたりしてしまう場合があります。愛犬がよく自分の手足を噛んでいると感じたら、どういうときに手足を噛んでいるのかなどをよく観察して原因を探り、その原因を取り除いてあげるように努めましょう。