前足を伸ばし胸を床につけお尻を上げる
前足を伸ばし胸を床につけお尻を上げる仕草は、「祈りのポーズ」と呼ばれています。この仕草は腹痛があるときに見られる仕草です。腹痛があるときに見られる他の仕草は、痛みで震えていたり、背中を丸めて歩いたり、お腹を触ると嫌がります。このような行動が見られる場合は、膵臓の病気の可能性が考えられます。
膵炎
膵臓は血糖値のコントロールと栄養の消化を手助けしています。膵臓から出される消化酵素は非常に強力ですが、何らかの原因によりその消化酵素が漏れてしまい、自分の膵臓の細胞を消化し炎症を起こした状態が膵炎です。
膵炎は非常に強い腹痛を伴います。「祈りのポーズ」は膵炎のときに見られる特徴的な仕草です。
症状
犬の膵炎の場合にみられる症状は、
- 腹痛
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲の低下
- 元気がない
- 黄疸(白眼や歯茎が黄色くなる)
などがあります。
頭を壁や床に擦り付ける、頭を振る
「頭を壁や床に擦り付ける」「頭を振る」「後ろ足で頭を掻く」などの仕草が見られたら、耳の病気の可能性が考えられます。
外耳炎
外耳炎とは犬の耳をめくって見える範囲が外耳ですが、そこが炎症を起こした状態です。
原因はミミヒゼンダニの寄生、細菌感染、アレルギー、アトピーなど様々あります。
痒みを伴うため犬はしきりに耳を気にする仕草をします。
症状
犬の外耳炎の場合にみられる症状は、
- 頭を壁や床に擦り付ける
- 頭を振る
- 後ろ足で頭を掻く
- 臭い耳垢がたまる
- 耳道が腫れ狭くなる
などがあります。
常に頭を傾げている
犬は飼い主さんが話しかけたりすると首を傾げる可愛い仕草をしますが、これは正常な仕草で、聞き慣れない音が聞こえてきた時に、その音をしっかり聞くために左右に頭を傾けて音を聞く方向を変えていると言われています。
しかしそのような状況でもないのに、常に首を傾げている仕草が見られたら、「斜頸」という症状で、耳の奥にある平衡感覚を司る器官に障害が発生している可能性があります。それに加えて目の黒目がしきりに動き止まらなくなる「眼振」という症状が見られることもあります。
前庭疾患
前庭疾患は様々な原因や基礎疾患により炎症がおこり、平衡感覚や体の姿勢を保っている部分に障害がおこって、平衡感覚が失われた状態です。ここに炎症が起こると頭や身体の位置を上手くコントロール出来なくなるため、真っ直ぐ歩いたり顔を真っ直ぐに保つことが出来なくなります。そのために常に頭を傾げている状態になります。
原因は耳の炎症や腫瘍などがありますが、原因不明なこともあります。
症状
犬の前庭疾患の場合にみられる症状は、
- 頭を傾げている
- 黒目がしきりに動く(眼振)
- 真っ直ぐ歩けずフラフラしている
- グルグル回る
- 倒れる
- 嘔吐
などがあります。
片側の歯でご飯を食べている
ご飯の食べ方は口の中の様子を知ることが出来ます。もし、「左右どちらかの決まった歯でご飯を噛む」仕草が見られたら、使っていない歯に何かトラブルが起きている可能性があります。
また歯の病気で歯が悪い時は、片側だけでご飯を食べる他に「口をくちゃくちゃする」仕草が見られることもあります。
歯周病
歯周病とは、歯の表面についている細菌が毒素を出し、歯茎に炎症が起こった状態です。
食べカスが付着して歯垢になるまでは24時間かかり、歯垢が歯石になるには2~3日で形成されます。
歯周病の原因は、歯に食べカスが付着しやすい柔らかいウェットフードを食べていたり、歯磨きを怠ることでなります。
状態が進行すれば歯茎は痩せ歯が抜け落ち、さらに酷い場合は鼻に通じる骨を溶かし副鼻腔炎を発症するケースもあります。
症状
犬の歯周病の場合にみられる症状は、
- 食べづらそうにしている
- 口が臭い
- 歯茎から血が出る
- 歯茎が痩せ歯が伸びたように見える
- 歯がグラグラしている
- 食べるのがゆっくり
- 歯茎が赤い
などがあります。
身体の決まった箇所を暇さえあれば舐めている
「身体の決まった箇所を暇さえあれば舐めている」場合は、その部分が皮膚病になっている可能性があります。
舐性皮膚炎
舐性皮膚炎とは、同じ場所を繰り返し舐めることによって皮膚が炎症を起こした状態です。
原因は食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、細菌、痒み、虫刺され、痛みなどの何らかの刺激が皮膚にあり舐めているうちにクセになりやめられなくなってしまうなどが考えられます。また散歩に連れてってもらえない、飼い主さんにかまってもらえない寂しさなどのストレスのはけ口に舐めてしまうこともあります。舐め過ぎるために皮がめくれ肉が見えるまで舐めてしまうケースも多々あります。
症状
犬の舐性皮膚炎の場合にみられる症状は、
- 同じ場所を繰り返し舐める
- 舐めている部分の脱毛
- 皮膚が赤くなる
- 皮がめくれる
などがあります。
お尻を床に擦りつける
「犬がお座りの姿勢から後ろ足を前に投げ出し、前足を使ってお尻を擦り付けながら前へ進む」様な仕草が見られたらお尻の病気の可能性があります。擦り付けるだけでなく、「お尻をしきりに気にする」「お尻を舐める」ような仕草をすることもあります。
肛門嚢炎
肛門嚢炎とは、犬の肛門の近くにある肛門嚢(分泌液が入っている袋)に炎症が起きた状態です。
原因は細菌感染や、肛門嚢の分泌液が目詰まりを起こし溜まったままの状態が続いたり、肛門腺絞りを怠ることで起こります。
症状
犬の肛門嚢炎でみられる症状は、
- お尻を床に擦り付ける
- お尻を舐める
- 尻尾を追いかける
- 痛みで鳴く
- 肛門周辺の腫れ
などがあります。
時々片足を挙げて歩く
「時々片足を上げてケンケンするように歩く」仕草が見られたら、後ろ足の膝に病気を抱えている可能性が考えられます。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、後ろ足の膝のお皿の骨が正常な位置からずれる病気です。チワワやプードル、パピヨン、ヨークシャーテリアなどの小型犬に多く発症し、ほとんどは先天性のもので遺伝的な要素が関係していると考えられています。
お皿の骨がずれた場合に傷みや違和感があるので、歩き方に異常が見られますが、お皿の骨が正常な位置に戻ると何事もなかったかのように歩き始めます。状態が酷いケースでは手術が必要になることもあります。
症状
犬の膝蓋骨脱臼の場合にみられる症状は、
- 時々片足を挙げて歩く
- 立ったまま膝を曲げたり伸ばしたりする
- 痛みから触ろうとすると攻撃的になったり嫌がる
などがあります。
まとめ
愛犬の仕草には、病気のサインが隠れていることがあります。普段から愛犬の様子をきちんと見て、前はしてなかった行動が見られ、おかしいと気付いたら早めに動物病院へ連れて行き、病気の早期発見に努めましょう。
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女性 コアラ