犬の口の周りが赤い原因4つ!
まず気になるのは、「なぜ、犬の口の周りが赤くなっているのか」ということでしょう。一口に口周りの赤みといっても、その原因にはさまざまなものがあります。ここでは、犬の口の周りが赤い場合に考えられる主な4つの理由について解説します。
原因1.よだれや食べ物による毛の変色
口周りの毛が赤い場合は、よだれや食べ物が長時間付着したことによる毛の変色が原因です。よだれによる毛の変色は「よだれやけ」と呼ばれており、唾液に含まれる油分の酸化や雑菌の繁殖によって起こります。
よだれやけはどんな犬にもみられる現象ですが、シーズーやマルチーズなど、白い被毛の犬では目立つので飼い主が気づきやすい傾向があります。
唾液には、ネバネバしたものと、さらさらしたものがありますが、よだれやけを起こしやすいのは「ネバネバした唾液」です。
犬の食器を洗う際、ぬるぬるがなかなか取れない場合は、粘着成分が多い可能性が。ネバネバした唾液は年齢とともに増える可能性が高く、老犬ほどよだれやけを起こしやすい傾向があります。
原因2.アレルギー反応によって皮膚に炎症が起きている
アレルギーによって炎症を起こし、口周りが赤くなっているのかもしれません。犬のアレルゲンとなる物質は「食べ物、金属、ハウスダスト、カビ、花粉、ノミ」などがあります。
<犬のアレルギー疾患>- ノミアレルギー:ノミの接触吸血によるもの
- 食物アレルギー:特定の食べ物の摂取によるもの
- 接触性アレルギー:金属、植物、医薬品などとの接触によるもの
- アトピー性皮膚炎:花粉、ハウスダスト、カビなどの接触によるもの
このうち、犬が発症しやすいのは食物アレルギーとアトピー性皮膚炎です。
食物アレルギーとは、特定の食べ物を摂取すると、体のかゆみや消化器症状がみられる疾患です。皮膚の赤みは内股、顔、手足、背中に現れることが多く、ほとんどは1歳未満で発症します。
症状が出るまでの時間には個体差がありますが、早い場合は食後すぐに口周りの赤みがみられることもあるでしょう。アレルゲンを摂取している限り、症状は一年中季節を問わず現れます。
アトピー性皮膚炎は、花粉やハウスダスト、カビなどに反応するアレルギー疾患です。好発年齢は生後6ヶ月~3歳ほど。食物アレルギーと同じく皮膚のかゆみがみられますが、花粉などアレルゲンとの接触が増える春や夏は症状が悪化します。
散歩後に決まって皮膚をかゆがる場合は、アトピー性皮膚炎の可能性があるかもしれません。
原因3.細菌・真菌・寄生虫などに感染している
細菌や真菌、寄生虫感染によって炎症が起き、口の周りが赤くなっている可能性もあります。
犬の口の周りが赤くなる皮膚病には、マラセチア性皮膚炎や皮膚糸状菌症、口唇炎、膿皮症などがあります。皮膚にブツブツができていたり、体臭が普段と違う場合は、皮膚病にかかっているかもしれません。
また、ノミやダニなどの外部寄生虫が口周りに寄生し、赤くなっている可能性もあるでしょう。口周りの皮膚はデリケートなため、ひとたび血を吸われると強いかゆみや赤みを生じます。
原因4.蛇に咬まれた・虫に刺された
あまり多くはありませんが、蛇に咬まれたり蜂などの虫に刺されたりして、口の周りが赤くなることもあるでしょう。
蛇や虫刺されが原因で口周りが赤い場合、かゆみや腫れなどの症状もみられます。なお、蚊やブヨなどの昆虫にアレルギーがある犬では、刺されたことでアレルギー性皮膚炎を起こし、通常よりも赤みがひどくなるケースもあるでしょう。
犬の口の周りが赤い時の注意すべき症状
犬の口の周りが赤い時は、どのような症状に注意すべきなのでしょうか?
もし以下のような症状が愛犬にみられた場合は、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
- 口の周りを掻いている
- 顔にむくみがみられる
- 皮膚がまだらになっている
- 嘔吐下痢の症状がみられる
- 床で口もとをこする仕草がみられる
- 赤みの範囲が広がってきた腫れている
- 目の周りなど口以外にも赤い部分がある
このような症状がみられる場合、犬はすでに皮膚病を起こしている可能性が高いでしょう。
皮膚病のなかには人に感染するものもありますし、強いかゆみやヒリヒリとした痛みは、犬の生活の質を下げることにつながります。
愛犬が普段通り快適に暮らせるよう、できるだけ早く動物病院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。また、口周りの赤みは、アナフィラキシーショックなど強いアレルギー症状の前段階かもしれません。
犬の場合、アナフィラキシーショックになるのはごく稀といわれていますが、悪化までのスピードが非常に早いため、発症後は速やかに治療を受ける必要があります。
犬の口の周りが赤い時の対処法
犬の口の周りが赤い時は、どのように対処すれば良いのでしょうか?ここでは、犬の口の周りが赤い時に実践すべき対処法を6つ紹介します。
原因によって適切な対処法は異なりますが、どれも犬の健康には大切なことなので、ぜひやってみてくださいね。
動物病院で適切な薬の処方や処置を受ける
まずは動物病院で赤みの原因を調べ、適切な治療を受けることが第一です。赤みの範囲が広かったり、犬が口周りを気にしていたりするなら、なるべく早くかかりつけの動物病院で相談しましょう。
動物病院では、皮膚検査や血液検査など詳しい検査をもとに、適切な治療法を提案してくれます。原因によってはすぐ治すことが難しい場合もありますが、治療は長い目でじっくり取り組むことが大切です。
食後や散歩後は口の周りを拭く
犬の口の周りは常に清潔にし、よだれや汚れが長時間付着しないようにしましょう。
食後や散歩後は、濡らしたタオルやウェットティッシュなどで、愛犬の口周りをサッと拭いてあげましょう。特に、食後は食べかすが口周りの毛について不衛生になりやすいため、入念に拭き取ってあげてください。
ただし、消毒液などが含またもので犬の口周りを拭くのはよくありません。消毒液や市販の医薬品には犬にとって有害なものもありますし、場合によっては口周りの赤みが悪化する可能性もあるので注意しましょう。
口周りの毛が長くて拭くだけでは汚れが取れない場合は、思いきって口周りの毛を短くカットすると良いでしょう。
歯ブラシや歯磨きシートで口内環境を清潔に保つ
こまめな歯磨きで口内を清潔に保ち、雑菌が繁殖しづらい環境を作りましょう。唾液に含まれる雑菌が多い場合、よだれやけはもちろん、歯周病や内臓の病気にもかかりやすくなります。
初めのうちは歯磨きを嫌がる犬も多いですが、何度も繰り返し練習するうちに、慣れてやらせてくれるようになるでしょう。1日1回は歯ブラシで汚れを落とし、できるだけ歯石がつかないようにしてくださいね。
なお、性格的にどうしても歯磨きが難しい場合は、歯磨きシートや歯磨きペーストで歯表面の汚れを落とすだけでも構いません。
アレルゲンになる食べ物を与えない
毎日の食事から、アレルゲンとなる食材を取り除くことも大切です。食物アレルギーで口周りが赤くなっている場合、原因となる食べ物を摂取しなければ、症状は落ち着きます。
食物アレルギーが疑われる場合は、今与えている食事の原材料を確認し、まったく異なる原料のフードに変更すると良いでしょう。
どんな食べ物に反応するかは、動物病院で血液検査を受ければわかりますが、アレルギーの検査は非常に高額で時間もかかります。
また、アレルギー症状には個体差があるため、判定結果とアレルギー症状が一致しないこともあります。検査の結果「アレルギーがある」と判定された食べ物であっても、実際にはアレルギー症状が出ないことも珍しくありません。
そのため、まずは食事をこれまでとは違うものに切り替え、1~2ヶ月続けたうえで症状が落ち着くか確認する方法が一般的です。
食器を陶器やプラスチック製に変える
愛犬の口元、鼻周りのみに赤みや湿疹がみられる場合は、金属アレルギーの可能性があります。ステンレス製食器を使用している場合は、陶器やプラスチック製のものに変えましょう。
金属アレルギーは、金属が触れた部分にだけ症状が現れるのが特徴。元気や食欲が落ちることもなく、口に金属が触れないようにすることで症状は自然と落ち着くため、改善も早いでしょう。
とはいえ、知らずに接触し続けてしまうと症状は悪化し、完治までの時間も長引くため注意が必要です。
室内を掃除してアレルゲンを減らす
ハウスダストやダニ、花粉に反応している場合は、室内の掃除が有効です。ほこりにはこれらのアレルゲンが大量に含まれています。ソファーやカーペットはこまめに掃除機をかけて、ほこりが溜まるのを防ぎましょう。
空気中に舞うハウスダストには、空気清浄機が役立ちます。犬用ベッドや布製のおもちゃにもアレルゲンはついてしまいます。月に1~2回は洗う習慣をつけるのがポイントです。
また、散歩時は花粉が体に付着するのを防ぐため、洋服を着せるのも良いかもしれません。汚れたものをずっと着せていると逆効果なので、洋服はこまめに洗濯して、常に清潔なものを用意しましょう。ただし、愛犬が服を嫌がる場合はストレスになることがあるので、無理やり着せるのはやめましょう。
まとめ
犬の口の周りが赤い場合、考えられる原因は複数あります。もし愛犬が口周りを気にする素振りをしているなら、なるべく早く動物病院を受診することをおすすめします。
口周りのちょっとしたた違和感は、緊急性こそありませんが、犬にとっては大きなストレスであり、生活の質を下げてしまうことに。日常的なストレスは大病の原因になることもあるため、できるだけ早く改善してあげることが大切です。
今回紹介した対処法も実践しつつ、愛犬が快適に過ごせるようにしてあげましょう。