犬のうんちが白くなる理由
犬のうんちが白くなる理由は、
- うんちが白くなるものを食べた、または飲み込んだ
- 内臓の調子が悪い
- 寄生虫に感染した
白いうんちは、うんちの色が白く全体に変化したり、一部に白いうんちが混ざったりする状態です。たとえば、鳥のうんちは白いです。
しかし、犬にとってうんちが白くなるのは、明らかにおかしいです。おかしくなった原因を知らなければ、犬は何度も白いうんちをするかもしれません。
治療後に、再び犬に白いうんちをさせないため、本項目の知識を知っておきましょう。
うんちの色素となる胆汁が正常に出ていない
胆汁が出ないと、うんちの色が全体的に白くなります。うんちの茶色は、胆汁の色だからです。胆汁とは、肝臓から出る消化液。
胆汁が出ない理由は、
- 胆管が詰まっている
- 肝臓の働きが悪くなっている
肝臓の働きが悪くなりやすいのは、老犬。老犬に多い病気として、慢性肝炎があるからです。慢性肝炎は、肝臓の機能を弱くします。
カルシウムを多く含む食事を与えた
うんちの色が一部、または全体的に白くなります。餌全体が消化されないわけではなく、カルシウムの部分だけが消化されないので、一部うんちが白くなります。
カルシウムを多く含む餌は、消化不良※1を起こしやすいです。
たとえば、カルシウムを多く含む餌として、骨と骨に似せた『ほねっこ』があります。
『ほねっこ』の主成分は小麦粉で、犬にとって消化しづらい食品。人よりも、犬は小麦粉を分解する酵素を持っていないからです。
小麦粉が主成分でカルシウムを多く含む『ほねっこ』を食べれば、犬は消化不良を起こしやすいでしょう。さらに、犬の消化不良を起こす食品として、犬用のガムも知られています。
※1 消化不良:食べ物が消化されないので、口から入れたものが、そのままうんちとしてでてくること。白いものを食べたら、白いまま出てきます。
誤飲した白い混入物がうんちに混じって排泄された
誤飲※2したものが、消化されず、うんちに含まれます。犬が誤飲しやすく、うんちが白くなりやすいものに、
- ぬいぐるみ
- クッションの綿や布
- ティッシュやチラシなどの紙類
- 砂や砂利
- おもちゃの一部
- プラスチック
これらは、うんちで出ればOKではありません。なぜなら、まだ一部が犬のお腹の中に残っているかもしれないからです。たとえば、一部が腸に詰まれば、腸閉塞になります。腸閉塞は、犬の死因の1つです。
※2 誤飲:間違って飲み込んでしまったり、自分の意思に反して飲み込んでしまったりすること。犬の留守番中に多く見られるトラブルの1つ。
消化管内寄生虫が付着している
寄生虫による下痢で、うんちはゆるくなり、一部白っぽくなります。一部白っぽくなるのは、寄生虫がうんちに出てきたからです。
うんちに、
- 白い粒や糸っぽいものがある
- 白い粒や糸が動いている
を確認できるでしょう。
うんちを白くする寄生虫は、回虫と瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)です。寄生虫は小腸に住みつき、犬に下痢や嘔吐を起こします。
回虫は腸閉塞の原因。野菜などに回虫の卵がくっついており、犬がそれを食べると感染します。
瓜実条虫は『さなだむし』ともいわれ、下痢以外の症状に排泄時の痒みがあります。
瓜実条虫はノミに寄生しています。犬が自分の身体を舐める時、犬の身体にノミがいたら、感染します。
また、ロタウイルスの感染を疑う人もいるでしょう。人の赤ちゃんのうんちが白いと、原因はロタウイルスと診断されがちだからです。
しかし犬の場合、ロタウイルスで白いうんちが出るとは限らず、多くは症状があまり出ません。人と犬では感染するロタウイルスの型が違うからです。
膵外分泌不全(すいがいぶんぴふぜん)に罹っている
泥状の白っぽいうんちにくわえ、臭いがきつくなります。脂肪が消化されず、そのままうんちに出てきて、白っぽくみえます。膵外分泌不全により、膵臓から分泌される消化酵素がなくなるからです。
犬のうんちが白い時に見るべき観察ポイント
- 犬のうんちが、いつもどんな状態か知っておく
- 正常なうんちの色を把握しておく
- 白いうんち以外に、犬に気になる症状があるかを確認する
これらの情報を知らなければ、あなたは犬の異常に気が付いてあげられません。異常を感じ、犬を病院へ連れていけるのは、あなただけです。
本項目では、白いうんちの異常を感じ取るため、観察すべきポイントを解説します。
「いつものうんち」と違う部分がないか比較する
日頃から、犬のうんちをチェックしましょう。ウンチを白い紙に乗せるか、白のトイレシートにすると観察しやすくなります。
たとえば、
- うんちの回数
- 硬さ
- 臭い
を犬が元気な時に、確認しておきましょう。
うんちの回数が増えたら、腸や消化管の不調を疑います。回虫に寄生されていると、腸や消化管の不調になり、下痢をしやすいです。
うんちの回数が減った時、便秘の可能性があります。便秘と消化不良は同時に起こるケースもあり、消化不良は白いうんちの原因になりやすいものです。
うんちの硬さは、いつもよりベタベタなのか、パサパサなのかで判断します。
ベタベタは柔らかいうんち、下痢の特徴です。パサパサは水分の少ないうんちで、うんちの表面が割れており、便秘でよく見られます。
見た目がいつもと変わらなくても、臭いで異常を疑えます。注意すべきうんちの臭いは、酸臭※3や腐敗臭※4。うんちの臭いが強くなるのは、膵外分泌不全の特徴の1つだからです。
※3 酸臭:すっぱい臭い。うんちでは、脂肪の消化がうまくいっていない時に出る臭い。
※4 腐敗臭:食べ物が腐った時の臭いだが、それよりも何倍も濃い臭い。
いつものうんちの色は、食事で変わる
うんちの色の正常な色は茶土色(こげ茶)といわれています。しかし、黒や黄色っぽいのでも健康の範囲内。なぜなら、餌によって左右される範囲内だからです。
たとえば、黒っぽいうんちは、肉の多い食事から出やすくなります。野菜の多い食事なら、黄色っぽいうんちになります。ただし、ずっと茶土色のうんちが出ない場合、注意が必要です。食生活の偏りで、白いうんちの原因になる可能性があります。
肉の多い黒っぽいうんちがずっと続けば、内臓の負担になります。いずれ、白いうんちの原因である消化不良を起こすでしょう。
うんち以外に気になる症状が現れていないか見る
うんち以外でチェックすべき症状は、
- 食糞
- 元気がない
- 食欲が落ちる
- 下痢
- 嘔吐
- 成長不良
- 体重減少
- 肛門がかゆい
食糞とは、犬が自分のうんちを食べる行為で、栄養を補うためにしています。膵外分泌不全や胆汁が出ていないと、消化が不十分で、栄養不足になるからです。
下痢や嘔吐は回虫が原因で起こりやすくなります。下痢のせいで、トイレも粗相しやすくなるでしょう。
白いうんちの原因である肝臓や膵臓の機能低下で、食欲が落ちます。または、成長不良や体重減少も起こります。肛門がかゆくなるのは、瓜実条虫が原因の可能性があるでしょう。
犬のうんちが白い時の対処法
犬の白いうんちは、普通ではありません。無視せず、動物病院に連れていきましょう。
あなたが1人で検査もせず、原因を特定するのは難しいからです。
たとえば、静観した場合や見当外れの対処法によって、病気や症状を悪くさせてしまうかもしれません。あなたが素早く病院に連れていき、早期発見・早期治療できれば、犬の苦しむ時間は短くすむでしょう。
白いうんちの写真を撮影し記録しておく
- 白いうんちが出た日に、診察を受けられるとは限らないから
- 獣医が犬の状態を把握しやすい
これらが、白いうんちの写真を撮影する理由です。
たとえば、白いうんちをした時間が夜中や休診日だと、診察は後日になるケースも考えられます。
白いうんちの画像がなければ、獣医が白いうんちの原因に、当たりをつけて検査しづらい状態。検査項目が増え、あなたの費用の負担も増えてしまうでしょう。
排泄当日に受診できる場合はうんちを捨てずに持参する
うんちがなければ、正確な検査ができないので、うんちは動物病院へ持参しましょう。
うんちをつかめる状態なら、ビニール袋を裏返してつかみ、袋を閉じます。つかめない場合(下痢など)は、ペットシートの上でうんちをさせ、ペットシートごとビニール袋へ入れ、病院へ持っていきましょう。
持っていく時、ペーパーで包まないようにしましょう。水分が失われ、正確に検査できないからです。
動物病院で適切な検査・治療を受ける
白いうんちが出た場合の検査は、
- 身体検査
- 便検査
- エコー
- レントゲン
これらを組み合わせ、獣医は原因を特定し、治療を始めます。しかし、犬の体調に改善が見られなければ、獣医は内視鏡検査(麻酔あり)で検査をしなおします。
白いうんちの治療で、よくやられているのは、
- 寄生虫→駆除薬
- 胆管が詰まっている→手術
- 肝臓の病気→点滴や肝庇護薬(かんひごやく)※5、または食事内容をかえる
- 膵外分泌不全→食事内容をかえる、消化酵素やビタミン剤を投与する
※5 肝庇護薬:肝臓を保護する薬。肝臓の機能を守り、症状を抑える役割をします。
誤飲しないように注意する
犬に誤飲させないため、犬の生活環境を掃除しましょう。
掃除は、
- 過去に、犬が誤飲したものは、犬の届くところにおかない
- ゴミ箱のフタは、閉められるものにかえる
- おもちゃの一部が壊れかけているなら、取りかえる
- テーブルの上に、食べ残しや飲み残しを放置しない
さらに、犬の口の大きさを確認し、誤飲の危険性が少ないおもちゃを与えるようにしましょう。誤飲は白いうんちの原因だけでなく、窒息や腸閉塞にもなりえます。
まとめ
犬のうんちが異常かどうかを判断できるように、健康な時から犬のうんちを観察するようにしましょう。健康な時のうんちを知らなければ、犬の不調を発見できないからです。
たとえば、
- 臭い
- 色
- 硬さ
- 1日のうんちの回数
は、犬の生活環境によって異なります。つまり、犬のうんちの変化に気が付いてあげられるのは、あなただけです。
白いうんちが出ている犬を静観するのはおすすめできません。病気が原因だった場合、自然治癒しにくいからです。白いうんちを撮影し、ビニール袋などに入れ、病院に犬と一緒に持っていきましょう。
本記事の情報を元に、犬のうんちの異常を早く発見できれば、犬が症状に苦しむ時間も減ります。白いうんちが出る理由も併せて知っておけば、再発を防ぐ助けになるでしょう。