2015年度版犬と猫のワクチンガイドライン
子犬のコアワクチン接種で、初回接種シリーズ後のブースターの時期が変わりました。
- 2010年度版 月齢12か月または初回接種シリーズ終了後12か月
- 2015年度版 12か月後ではなく、26-52週の間で行う
狂犬病のワクチンは、ワクチン接種頻度が科学的な根拠と一致していない国があると指摘されています。
日本も法令を科学的エビデンスに合わせて改正する必要があります。
初回接種シリーズで抗体ができなかった子犬をブースターで守る
ブースター接種の主な目的は、コアワクチンの初回接種シリーズで抗体ができなかった子犬に免疫を与えることでした。
2010年版のスケジュールでは、初回接種シリーズからブースターまでの期間が12か月あくので、初回接種シリーズで免疫ができなければ1年間は感染症に対して保護されないままになっていました。
新しく提案されたスケジュールでは26週でのブースター接種が推奨されており、ワクチンで守られない期間を短縮できます。
このことで、予期せぬ感染症にかかる子犬を減らすことができるようになると思います。
ブースターのタイミングは26週が良いとされていますが、26週から52週の間ならばいつでもよいとも記載されています。
これまでブースターを12か月で打っていたのは、初めての年次健康診断で来院してもらうのに都合が良い時期だからでした。
26週でブースターを打っても、12か月または16か月目に行う年次健康診断もきちんと受けるようにとガイドラインで呼びかけられています。
来院回数は増えるかもしれませんが、仔犬はまめに獣医の先生に見ていただくほうが安心だと思います。
26週に接種時期が変更になっても、初回接種シリーズで免疫が付かなかった子犬は26週のブースター接種前はワクチンで守られていない状態です。
心配な場合は、抗体検査で免疫を調べることができます。
抗体検査は、初回シリーズの最後のワクチン接種が終わってから4週間後から行えます。
この検査で抗体が確認されれば、26週のブースターが必要なくなりますので、次回接種は3年後のコアワクチン再接種となります。
成犬の抗体検査
成犬には3年ごとにコアワクチンの再接種が必要です。
2010年のガイドラインが作られて以降、抗体検査キットが開発されました。
3年ごとのコアワクチン再接種の代わりに、抗体検査を受けることができます。
抗体陽性であればワクチン接種は必要ありません。
ただ、現在、検査料がワクチン料よりも高いため、検査するよりもワクチンを接種したほうがコストはかかりません。
狂犬病ワクチンの接種スケジュールに課題
ガイドラインでは狂犬病ワクチンの実臨床と科学的根拠にギャップがあると指摘されています。
承認時には免疫持続期間が1年間とされていた狂犬病ワクチンが、現在は免疫持続期間が3年間あることが科学的に示されています。
ワクチンの接種スケジュールを科学的エビデンスに基づいて3年に変更している国があります。
ガイドラインは法令の改正が遅れていて、1年接種のスケジュールのままの国もあり、ロビー活動が必要であると指摘しています。
また、免疫持続期間が1年のワクチンを自国で生産して使っている国があるとも記載されています。
日本も狂犬病ワクチンの接種スケジュールは1年のままです。
もし免疫持続期間が1年のワクチンを使っているのでしたら、3年のものに変更してほしいと思います。
法令も科学的根拠に合わせて3年ごとに変更されれば、飼い主の手間とコストが減りますし、「お知らせ葉書」を出す行政のコストの削減にもつながると思います。
ワンちゃんが15年生きるとすれば、1年ごとでしたら15回接種しなくてはなりませんが、3年ごとでしたら5回の接種で済みます。この差は大きいと思います。
まとめ
初回コアワクチンのブースターの接種時期が、52週後から26週後に早まりました。26-52週の間で飼い主の都合が良いときとガイドラインには記載していますが、抗体ができなかったワンちゃんを守るのが目的だと考えると、早めに接種したほうが安心だと思います。
狂犬病ワクチンの免疫が3年間持続することが科学的に示されました。
これに合わせて接種スケジュールを1年ごとから3年ごとに変更している国があります。
このガイドラインはWSAVAの発表です。日本の動物病院や獣医師の間ではこのガイドラインに沿っている病院もあれば、沿っていない病院もあります。特に狂犬病については狂犬病予防法という法律の改正という問題もありますので、進捗は遅い可能性もあります。内容を詳しく知りたい方は
http://www.wsava.org/guidelines/vaccination-guidelines
こちらに詳しい記載がありますので参考にしてください。
ユーザーのコメント
30代 女性 ひーさん
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