犬猫にとっては危険な人間の薬
人間用の薬は犬猫にとって危険なものが多々あります。
安易に与えてしまったばっかりに、犬猫が重篤な症状に陥ってしまう可能性もあるのです。
そうならないためにはまず、これらがどのように犬猫に危険なのか、私たちが身近に使用するお薬について学んでおきましょう。
薬に含まれる危険な成分
イブプロフェン
イブプロフェンとは鎮痛剤や解熱剤としてよく使われている薬品成分で、ステロイド剤が使われていない、非ステロイド性抗生炎症剤の成分の中の一つです。
「イブプロフェン」はCMでもよく耳にする名前だと思いますが、こちらの薬品成分は犬猫にとって危険なものです。
仮に犬や猫にイブプロフェンの配合された薬を安易に投与すると、嘔吐や下痢といった胃腸障害を引き起こし、重篤な症状をもたらします。
そして危険度でいうと、犬では1位、猫では7位といずれも上位のランキングに入る危険成分です。
そして、特に猫はイブプロフェンに敏感に反応すると言われており、その反応数値は犬の2倍なのです。
人間では効果的に作用したとしても、犬猫には危険を及ぼすものなので、充分注意しましょう。特にチューブタイプの物を犬猫が興味を示し誤飲してしまうケースがありますので気を付けましょう。
アセトアミノフェン
こちらもイブプロフェンと同様に、鎮痛剤や解熱剤の薬品成分として知られるものです。
こちらの特徴はイブプロフェンと違って、ほとんど胃が荒れてしまうことがないと言われています。
しかし、それは人間が使用した場合のことであって犬猫に投与した場合はとても危険です。
ペットへ投与した場合の有害ランキングとしては犬は5位、猫は8位と上位に上がっています。
もし、アセトアミノフェンを犬猫にたった1錠だけでも投与すれば致死量に値するぐらい危険なのです。
わずかな量なら大丈夫と安易な考えを持たずに、犬猫への正しい知識を備えるようにしましょう。
エフェドリン
エフェドリンとは風邪薬、いわゆる感冒剤に配合されている薬品成分のことを言います。
交感神経を興奮状態にして炎症で腫れてしまった気管を広げたり、低血圧を防いでくれる効能があります。
また、風邪を引いてしまってなかなかお医者さんに行けない人がよく利用する成分の薬ですが、犬猫も風邪のような症状があるからと言って使用することは絶対にしてはいけません。
このエフェドリンという成分はなんと、覚せい剤の製造に使われる成分でもあるのです。
このエフェドリンの中の一つでプソイドエフェドリというものがあります。
これはアンフェタミン、メタンフェタミンという覚せい剤の精製に使われる非常に危険なものです。
日本では効能が穏やかな塩酸メチルエフェドリンが使われていて、比較的安心なものであり、感冒剤に使われています。
動物でも尿漏れなどの症状の時に使用することはありますが、厳密に計算し薬の量が過剰にならないように投与します。しかし、風邪薬など人間用の薬では動物に使用する量よりも多くほかの薬も混じっている配合錠なのでさらに危険です。
もし誤って投与してしまうと、錯乱状態、瞳孔の開き、頻脈などの症状が出ます。
また、頭を振ったり、変に動き回るという症状も見せるようです。
このような症状がでたらすぐに、獣医師の元で緊急な処置をしてもらいましょう。
なぜ人の薬を与える飼い主がいるのか
これだけ危険な成分の含まれる身近な人間用の薬ですが、そもそも一体なぜ飼い主は危険な薬を犬猫に与えてしまうのでしょうか?
その理由は愛犬、愛猫を思ってとった、間違った行動だったのです。
動物病院が高い
犬猫がなんとなく調子が悪い、どこか痛がっているという時、普通なら動物病院へ連れていくのですが、動物病院というのは医療費がばかになりません。
そこが市販の人間用の薬を与えてしまう飼い主の心理なのです。
動物病院に連れて行った時、以下のようなお金がかかります。
- 初診料
- 時間外診療料
- 緊急処置料
- 処方薬
ペットの生命保険に入っていれば、負担額はだいぶ違うのですが、それらに加入していない場合、全額負担となってしまうのです。
これはかなりの高額な金額になる可能性があります。
そのようなことがあるから、飼い主は家にある人間用の薬を与えて何とかしようとするのですね。
お金はないけれど、なんとかしてやりたい!
自分の飼っている大事な愛犬愛猫がもしも苦しんでいるなら「助けてあげたい」「なんとかしてやりたい」と思うのが親心であり、飼い主なら誰しも思うことです。
しかし、お金がないからという理由で動物病院へ連れていくことができず、家にある薬がもしかしたら効くかもしれないと思い込んでしまうのです。
飼い主の不注意による誤飲
これは薬に限ったことではないのですが、人間の薬を誤飲してしまうケースが多いです。
なぜ、犬や猫が誤飲してしまうかというと、テーブルの犬が手が届かない場所に置いたつもりでも、実はテーブルの端にあり、犬がジャンプしたり、ちょっとマズルを延ばせ届いてしまう位置に置いていてそれを誤飲してしまうケースです。
そして、猫によくあるケースとしては、市販の薬を買ってきてそのままビニール袋に入れっぱなしにし、何気なく床に置いてしまったとします。
そこに猫がやってくると、猫はビニール袋や紙の袋に入って遊ぶのが好きな習性を持っているので、床に置いてある袋の中に入って遊んでしまいます。
そして薬を見つけ誤飲してしまうのです。
まとめ
今回のお話で、人間の薬がいかに犬猫に危険なものなのかお分かりいただけたでしょうか。
私たち人間では副作用も少なく、痛みや熱を下げてくれたり、風邪を良くしてくれるものであったとしても、犬猫にはとっては危険な薬品であるということを忘れてはいけません。
そして、動物病院での医療費が高くて大変な思いをすると思うならば、健康なうちにペットの生命保険に入ったり、ペットのための医療貯金をしておくことをお勧めします。
どうぞ安易に人間用の薬を与えないようにしてください。