狂犬病ワクチンの意味 正しい知識と安全対策

狂犬病ワクチンの意味 正しい知識と安全対策

日本では50年以上狂犬病が発症していませんが、海外では、今なお恐れられている病気のひとつです。感染リスクのある国やワクチンの接種の重要性についてご紹介します!

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

海外旅行に行く際は狂犬病ワクチンの接種を

注射器

海外旅行に気軽に行けるようになってきた昨今、狂犬病ワクチンの接種はしていますか?
昔に比べて狂犬病のリスクがある国はだいぶ減りましたが、それでも狂犬病が消えてなくなったわけではありません。
自分の身を守るのは自分!できることはやったほうがいいですね。

ワクチン接種を受けていなかったために起きた悲劇

野良犬に咬まれ、数カ月後に死亡

2006年のニュースです。

京都の男性が8月末、フィリピン滞在中に野良犬に咬まれました。
そのまま11月まで過ごして帰国。
数日たち、風邪のような症状が出たために病院を受診しました。

その後、幻覚症状や水を怖がるなどの狂犬病特有の症状が出始め、男性の唾液を調べたところ、狂犬病のウイルスが見つかりました。

発症すると100%死亡するこの病気。
咬まれてすぐにワクチンを接種を受ければ助かりますが、男性は接種していませんでした。

後日、この男性は死亡したと伝えられています。

飼い犬に咬まれ感染

こちらも2006年のニュースです。

フィリピンに滞在していた男性が、8月に居住地近くで飼い犬に咬まれました。しかし現地でワクチン接種は受けておらず、そのまま10月に帰国。
その後、発熱や倦怠感などの症状があらわれ、呼吸困難に陥り、水を恐れるという狂犬病の症状が見られました。

この方も上記の方と同じく、噛まれた直後にワクチン接種を受けていなかったそうです。

ワクチン接種はどうしたらいいの?

では、どこでワクチン接種を受けたらいいのか?
予防接種が受けられる機関は厚生労働省のFORTH(For Traveler's Health)
のホームページで検索することができます。少しわかりにくいので画像を使って説明します。

機関検索ページの行き方

説明1

  • FORTHのトップページ中央部分にある『予防接種について』をクリック

説明2

  • ページ下部にある『予防接種(ワクチン)』にある『予防接種実施機関の探し方』をクリック

説明3

  • 中央部分にある『予防接種機関データベースで検索する』の『予防接種機関データベース』をクリック

説明4

  • ページ下部にある『予防接種実施機関検索』フォームで狂犬病にチェックをいれ検索

以上の操作で予防接種が受けられる機関が検索できます。検索条件に住所を入れれば、近くの機関を検索することが可能です。

ワクチンの効果はいつまで有効?

ワクチンを接種したら、いつまで効果が持続するのでしょうか。
事前にワクチンを接種している方については、3回の接種で3年間免疫が持続します。3年間のうちに犬に咬まれた場合、念の為に2回の追加接種を行えば大丈夫でしょう。
事前に受けていない方については5回接種します。

もしも咬まれたら?

応急処置として、流水と石鹸で15分以上洗い、イソジンで消毒します。このとき止血はしないようにしましょう。
そして咬まれてから24時間以内にワクチン接種を受けましょう。

狂犬病の危険性について

危険

狂犬病になると……

はじめに風邪のような食欲不振、発熱、悪寒、頭痛などの症状があらわれます。
次に傷の痒みや痛みがでることもあるようです。
その後、興奮状態や不安感、精神錯乱、麻痺などの症状があらわれ、2〜7日程度続きます。
また、水を飲もうとした時に喉の筋肉や全身の痙攣が起こり、水を恐がるような『恐水症状』があらわれ、その後昏睡状態に陥り、死に至ります。

狂犬病の致死率は発症後は100%です。

狂犬病リスクが高い国

狂犬病のリスクが高い国としては以下の国々が挙げられます。アジアが多い傾向があるようです。丸括弧内は2008年の各国の死亡者数となっています。

  • インド(20,000人)
  • パキスタン(2,480人)
  • 中国(2,466人)
  • バングラディシュ(2,000人)
  • ミャンマー(1,100人)
  • フィリピン(250人)

世界での狂犬病事情としては、発生は増加傾向にあります。
そのため海外へ渡航する際は、必ずワクチンを接種してください。

日本での狂犬病

日本では1957年以降、人や犬の狂犬病は発生していません。
野犬の捕獲や、犬へのワクチン接種の義務化により狂犬病の駆逐に成功したためです。
ただし、飼い犬へのワクチン接種を行っていない飼い主もいるため、慣れていない犬に咬まれないように用心することも大切です。

犬だけではない狂犬病

『狂犬病』という名前から、発症する動物が犬だけだと思っている方は多いかと思います。しかし、一部の哺乳類は感染源になってしまいます。

狂犬病の感染源となる動物

  • キツネ
  • サル
  • アライグマ
  • スカンク
  • コウモリ
  • フェレット

これらの動物の唾液や分泌物に狂犬病のウイルスが含まれているため、咬まれたり引っ掻かれたりした場合には、狂犬病への感染を疑う必要があります。

まとめ

犬たち

日本ではここ50年以上狂犬病が発生していませんが、それは飼い主さんたちの努力によるものでもあります。
狂犬病ワクチン接種を毎年行い、愛犬と人間のどちらも守るようにしてきたからでしょう。

海外ではまだ狂犬病が発生している地域があります。
その多くの地域では野良犬が多く、狂犬病ワクチンを接種している犬が少ないという現実があります。

海外との行き来が多くなった現在、海外から狂犬病のウイルスが持ち込まれる可能性は大いに有ります。
実際2006年の例を見ると、どちらもフィリピンから帰国して発症しています。

厚生労働省のFORTHのページでは、現在発生報告数が多い国を確認することができます。

日本では50年以上発生していませんが、1年に1回の接種が義務付けられていますし、万が一の時のために愛犬の狂犬病ワクチン接種は受けたほうが良いでしょう。

今回は狂犬病や狂犬病ワクチン接種について詳しく紹介しました。
当たり前のことですが、知識として知っておいたほうがいいですからね。

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