犬のおしり歩きとは?
犬のお尻歩きとは、床で肛門を拭くようにスリスリと歩く行為です。一見、可愛らしい動作で、ユニークな姿であることから微笑ましいように思えますが、実は好ましい行動ではありません。犬がお尻歩きをする理由として、肛門部に痒みなど異常が発生していることが挙げられます。
肛門部は犬にとって、自分でお手入れしにくい箇所のひとつです。犬の舌や足が届かないため、痒みなどの異常を解消するため床におしりを擦りつけているのです。 犬がおしり歩きを引き起こす病気としては肛門部の皮膚炎や肛門嚢の疾患、瓜実条虫とよばれる寄生虫などが候補として考えられます。
犬のおしり歩きが時々行う、肛門腺絞りの後など、頻繁に床に擦りつけていないのであれば様子見しても問題ないケースが多いです。反対に犬がおしりを触られることを嫌がる、肛門部が赤くなっている、トイレの排泄物に血が混じっているなどの異常が確認されたら早い段階で動物病院の受診を推奨します。
犬のおしり歩きの主な理由は?
かゆみを感じている
座りながらお尻を地面にこすりつけて歩く『お尻歩き』という行動を犬がするときは、ほとんどの場合お尻になにか異変を感じているといえます。よくある理由としては『かゆみを感じている』ことが多いです。
例えばトリミングをしてお尻周りの毛を剃ったり短く切ったりするとお尻がチクチクヒリヒリしやすく、かゆみをとるためにお尻を地面に擦ることがあるのです。
また、アレルギー反応がでたり乾燥などの皮膚トラブルが起きたりしているときにもかゆみを感じやすくなりますので、お尻歩きをしてかゆみをとろうとすることがよくあります。
おしりに違和感を感じている
犬がお尻歩きをするときはかゆみ以外にもなんらかの違和感を覚えていることが多いといえます。ウンチがお尻にくっついていて気持ち悪い、といったことがあるとお尻の違和感を取り除こうとしてお尻歩きをすることがよくあるそうです。
もし愛犬がお尻を何度も気にしているのでしたら何かがくっついている可能性がありますのでお尻の周りを確認してあげてくださいね。
犬がおしり歩きをしている時に考えられる病気
お尻歩きは病気のサインになっていることもあります。「最近愛犬がお尻をよく擦っている」と感じた場合は、何かしらの病気を疑った方がいいといえるでしょう。では、具体的にどのような病気になっていることが多いのか解説していきます。
肛門嚢炎
肛門嚢炎とは、その名の通り犬の肛門嚢が炎症を引き起こしている状態です。肛門嚢炎を患うと犬がおしり歩きするようになり、なめようと頑張る回数が増えます。 その他にも犬が肛門腺絞りを嫌がる、分泌物が出ない場合も発症している可能性が高いです。
肛門まわりの炎症
犬がおしり歩きをしている場合、肛門まわりに炎症が生じていないかも確認しましょう。おしりが赤く腫れている場合、肛門疾患を患い痒みや痛みを感じているかもしれません。定期的に飼い主さんが犬のおしりを確認してあげることが効果的な予防方法となります。
腫瘍
肛門部に腫瘍が発生することでも、犬はおしり歩きするケースがあります。腫瘍の種類は様々ですが痒みや痛みの原因となります。腫瘍などのできものは、おしりの中にできることもあるため、目視では気づきにくいです。 もしも、犬の肛門部に腫瘍を発見した場合は、様子見などの対応を自己判断せず獣医師に相談されることを推奨します。
皮膚炎
おしり歩きの原因が皮膚炎であることも少なくありません。皮膚炎はトリミング時のカミソリ負け、下痢が続くことによる皮膚への刺激、アレルギーなどによって引き起こされます。皮膚炎はノミや細菌などが原因であることも多いため、動物病院で処置してもらいましょう。また、目視で発見しやすいことから、こまめに愛犬の体を観察することが予防として大切となります。
肛門嚢破裂
分泌物が溜まり過ぎたことで肛門嚢が破裂してしまう病気です。犬が肛門嚢破裂となると排泄時に出血を伴い、犬も痛みを感じます。肛門嚢破裂は細菌感染や肛門絞りに問題があった場合に発症するケースが多いとされています。 犬が肛門嚢破裂となった場合は、できるだけ早い動物病院での治療が求められます。
寄生虫の感染
犬がおしり歩きする原因には、寄生虫に感染しているケースも考えられます。 お尻歩きをする以外にも、お尻から白くひも状の白いものが出ている、排泄物に白いものが混じっている、下痢が多いといった以上も確認できます。
ここでいう「白いもの」の正体は、瓜実条虫という寄生虫です。ノミなどを媒介し犬に寄生し、排泄時において犬に痒みを与えます。動物病院にて駆除薬を処方してもらうと同時にノミの対策も施してもらいましょう。
犬のおしり歩きの対処法と予防法
『肛門腺が溜まっていてお尻が気持ち悪い』という理由でお尻歩きをすることもあります。犬のお尻には『肛門腺』と呼ばれるものがありそこから分泌物が出ています。
そしてその肛門腺に分泌物が溜まってしまうと犬はお尻が気持ち悪くなり、違和感を何とかしようとお尻をこすり付けながら移動することがあるのです。
大型犬や中型犬はウンチをしたときに肛門腺の分泌物が一緒に排出される場合が多いのですが、小型犬はウンチをしても一緒に肛門腺の分泌物が排出されにくいことがあります。定期的に肛門腺を絞って分泌物を取り除いてあげる必要があります。
ちなみに肛門腺に分泌物が溜まった状態が続くと『肛門嚢炎(こうもんのうえん)』といったおしりの病気を発症してしまう可能性が高くなってしまいます。ですので2、3週間に一度は肛門腺を絞ってあげるのがベストとなります。
肛門腺の絞り方は肛門の周りを時計の4時と8時の方向からもみほぐしながらクイッ!とつまむようにして分泌物を絞り出すのですが、肛門腺を絞るのはコツが必要となり上手く分泌物を絞り出せないと肛門腺が詰まったり分泌物が溜まった状態のままとなり病気を発症してしまう可能性があります。
ですので、なるべくトリミングサロンや動物病院で肛門腺を絞ってもらうことをおススメします。
まとめ
犬がお尻歩きをするときはお尻に何かしらの違和感を感じているといえるでしょう。愛犬がたまにお尻歩きをする場合はおそらく一時的にかゆみや違和感を感じているのかもしれませんね。
もし頻繁にお尻を気にしたり地面にお尻をこすりつけながら歩くのでしたら、肛門腺が溜まっていたり病気を発症していたりする可能性が高いといえます。お尻の異常を放っておくと悪化してしまう危険性がありますので少しでも気になったら早めに病院に連れて行ってあげることをおススメします。