愛犬の体にできるしこりや腫れについて
犬によく見られるしこりにはたくさんの種類があります。その中には体の表面にあらわれる「腫瘍」や中には、命の危険に関わる「癌」も含まれます。全てのしこりの約3分の2を皮膚組織が占めています。
できる場所に関しては口や体、足など体の様々なところで、大きさや形も種類により異なります。
基本的には良性と悪性のものにわかれており、生命を脅かす可能性がないものが良性、生命の危険性が高いものが悪性となります。
犬の場合、良性腫瘍の発生率の方が高めとなっています。
また、目の下に腫れのような症状がでる場合、皮膚が破れて血のような膿がでることがあります。これは眼窩下ろうと呼ばれるもので、歯の根っこに化膿や炎症が起こるため、歯の根元に近い下まぶた付近が腫れてきます。そして、たまっていた膿が行き場を失って、最後には目の下の皮膚を破ってしまうというものです。この場合は膿瘍と呼ばれますが腫瘍ではなく、膿の塊です。
しこり・腫れの主な原因について
細胞が腫瘍化するのは何らかの原因によって細胞内の遺伝子が傷つけられ、その細胞が異常に増殖してしまうからです。高齢犬に腫瘍がよく発生するのは長い年月をかけて細胞内の遺伝子が傷つけられた結果です。
それ以外にも遺伝子に傷害を招く要因はたくさんあり、化学物質、大気汚染物質、排気ガス、たばこの煙、食品、食品添加物、放射線、紫外線、慢性的な機械的刺激、熱傷、腫瘍ウイルスです。そこに性別、年齢、品種などその個体が独自が持っている要素が絡み合って、発症しているとされています。
腫瘍ウイルスとは
「腫瘍ウイルス」は、細胞に感染することより、感染した細胞を「腫瘍化」させるウイルスの事です。
症状から考えられる病気一覧
では、犬でよくみられる腫瘍やしこりができる病気のその一部をみていきましょう。
肥満細胞腫
症状
特に下半身(後肢、腹部、会陰、陰嚢など)に多く発生する腫瘍です。ほとんどは皮膚に発生するが口腔内や消化器、呼吸器、生殖器など内臓にできることもある。一般的には直径1~10㎝のしこりがあらわれるが多くは3㎝以下。若くても発生するが加齢とともにリスクが高まります。
概要
肥満細胞腫は、大きく未分化型、分化型、中間型(グレードで分類することもあります)の3種類にわかれていてその中でも未分化型は悪性と言われている病気です。
歯周病
症状
よだれ、口臭、歯の変色(黄色や茶色など)、出血、歯のぐらつき、歯の根元からの膿
概要
歯垢や歯石が歯と歯茎に沈着していくことにより、歯垢の中の細菌に刺激されて歯のまわりに炎症を起こします。
犬では歯周病による化膿や炎症が悪化すると溜まった膿が目の下の皮膚に溜まり、皮膚が壊死して皮膚に穴が開き膿が出てきてしまう眼窩下ろうがよく見られます。
乳腺腫瘍(未避妊の雌犬)
症状
腫瘍の大きさや形は様々。ほとんどは成長が緩やかで小さいが、悪性の場合、成長が早く不規則な形状。潰瘍化したり出血する場合もあります。
概要
乳腺のいずれかで発生するが最後の2つ、4番目と5番目の乳腺で発症しやすいと言われている病気です。避妊手術をしていない中年以上の雌犬ではリスクが高いです。詳しくわかっていないがエストロジェンやプロジェストロンなどの女性ホルモンが関係していると言われている。一部、遺伝の影響も考えられています。
悪性リンパ腫
症状
初期には特に体調の変化は見られないがリンパ節が腫れます。進行すると元気消失、食欲低下、体重減少、運動不耐性(運動をしたがらない)、発熱、肺が侵されることにより咳や荒い呼吸、胸水になることも。腸の近くにリンパ腫細胞の塊ができると腸閉塞になることもあります。
概要
はっきりとした原因はわかっていない。リンパ腫の多くは多中心型とよばれる体表のリンパ節が腫れるもの。血液のガンと言われ致死率が高い病気です。
骨肉腫
症状
激しい痛みにより足を引きずる(破行)、患部の骨の腫れ、足での発症が多いが顎の骨にでることもあります。
概要
骨肉腫はとても進行が早い病気。発見されたときにはすでに肺に転移していることもあります。はっきりとした原因はわかっていません。
骨折や感染症が原因として考えられることもあります。その他には、化学物質や遺伝子の異変などが原因になることがあります。老齢になるほどリスクは高く大型犬に多いのも特徴です。
まとめ
体表にあらわれるしこりや腫れは、日々、愛犬の体を触ったりなどのコミュニケーションを通して、ご自宅でチェックすることが可能です。
乳腺腫瘍ならば犬を仰向けにして乳腺(おっぱい)を触ってみる、リンパ腫は顎の下、わきの内側、内股、膝の後ろのリンパ節をみます。
骨肉腫の場合は歩き方がおかしくないかチェックすることも大切です。
早期発見、早期治療を心がけ愛犬が元気に過ごせる時間を増やしていきましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 momo
まずはじめに愛犬の顔の頬に異変を感じたのは病名がわかる数か月前でした。脱毛して皮膚が黒くなっている部分があり、獣医さんでは皮膚をこすって細菌などの検査をしていただきました。その時は特に原因がわからなかったのですが、徐々にその部分が広がってきて、赤く腫れてきてしまいました。いよいよ先生から「これは麻酔をして組織検査をしたほうが良いでしょう」と言われて、高齢で14歳なので不安もありましたが検査をしていただきました。そして、リンパ腫が判明してしまったのですが、そこできちんと確定したので、半年たった今も治療の効果もあり元気に過ごせています。もし、そのまま様子を見て無治療だとしたらとても危険な病気だそうです。もし、皆さんの愛犬がなかなか引かない腫れやかさぶたを見つけたら、なるべく早めに詳しい検査をされることをお勧めしたいです。結果何事もないに越したことはありませんが、もしも早い段階で病気が見つかれば命が助かる事もあります。普段からマッサージなどしながら、愛犬の皮膚の状態を見てあげると良いと思います。
女性 ゴン吉
犬のしこりはクリプトコッカス症でも症状の一部として表れます。クリプトコッカスというカビに感染することで皮膚にしこりや腫れが見られることがあります。
主にハトの排泄物に存在するため、免疫力の低い子犬や、抵抗力の落ちている時、老犬は気を付けなければいけません。鳥の糞など、お散歩中の道に落ちていることが多いですよね。鳥の糞は舞いやすく吸い込みやすいので、嗅がせないようにしておきましょう。
命に関わるほどの病気ではありませんが、人にも感染することがあるので注意が必要です。
原因がわからないしこりは、こういったカビなどの感染からくるものもあります。じめじめした季節なども気を付けて見てあげてください。
女性 ポムポム