犬が突然キャンと鳴く理由
愛犬に触れたときや、抱っこしようとしたときに、突然キャンと鳴くことがあります。痛がるようなことは何もしていないのに、悲鳴を上げるので、飼い主はびっくりしてしまいますね。こんなときは、犬が何らかの病気になっている可能性があります。
筆者自身も経験があるのですが、昔飼っていた大きめのマルチーズが、シニアになってから、抱っこしようとするとキャンと悲鳴を上げたことがありました。その子はダックスほどではないものの、胴が長かったので、老化により腰を痛めたようでした。
普段は痛がるそぶりを見せないのですが、抱き上げるときだけ悲鳴を上げるので、獣医さんからは、両脇を持たないで、丸く抱えるように抱っこするようにアドバイスを受けました。胴長のダックスも、老化により腰を痛めることが多いですね。
また、夜中に突然キャンと鳴くような場合もあります。飼い主がびっくりして飛び起きて、犬の体を調べても、特にけがをしている様子がないので、原因がわからず困惑してしまいます。
犬が眠っていて、寝返りを打つときに突然キャンと鳴くようなこともあります。これもやはり飼い主はびっくりしてしまいますね。動物病院でレントゲンを撮っても、原因がわからない場合もあり、鎮痛剤を飲ませながらも、飼い主としては不安な気持ちになります。
このように、犬が突然キャンと鳴くケースについて、考えられる病気などについて、解説していきます。
犬が突然キャンと鳴くのは病気のサイン
犬が突然キャンと鳴くのは、少なくともどこかに痛みがあるせいです。痛がるそぶりを見せなくても、必ずどこか痛い場所があります。
単純な例だと、うっかり犬の足を踏んでしまったとき、犬は痛みにキャンと鳴きます。犬も動物なので、病気で弱っていたり、けがなどの痛みを抱えていても、なるべく普段通りに振る舞います。でも、とっさの痛みには、やはり悲鳴を上げるのです。
足を痛がるそぶりを見せるときは、脱臼や骨折の疑いがあります。高い所から飛び降りたあとに、キャンと鳴いた場合は、このような外科的な問題が発生している可能性があります。
前項で述べた、抱き上げるときの悲鳴は、ヘルニアや神経痛が疑われます。症状が進むと、犬はますます痛い思いをすることになるので、こうした鳴き声を上げた場合は、動物病院で診察を受けることをお勧めします。
犬の椎間板ヘルニア
症状
犬の背中や腰のあたりを触ると痛がる、触られるのを嫌がる、足をひきずる、ふらつく、段差の上り下りができなくなるといった症状が現れます。
人間の椎間板ヘルニアも、腰のあたりが痛くなりますが、犬も同じように感じています。そのため、動くのがおっくうになったり、痛みがあるために震えたりもします。
症状が悪化すると、マヒが起こり足をひきずようになります。腰椎の椎間板ヘルニアの場合は、主に後ろ足に症状が出るので、歩き方がおかしくなってきます。
完全に症状が悪化してしまうと、マヒのため、後ろ足が立たなくなってしまいます。そのため、後ろ足全体を引きずるようにして、前足だけで歩行するようになります。
原因
犬が椎間板ヘルニアになるのは、人間と同じ原理です。背骨の間にある椎間板が突出して、神経を圧迫します。そのせいで、痛みが起こるのです。
犬が椎間板ヘルニアになる主な原因は、加齢によるものです。椎間板が加齢に伴い硬くなり、何らかの衝撃が加わった時に椎間から飛び出してしまうことがヘルニアが起こる原因です。
また、遺伝的な要因で、椎間板ヘルニアになりやすい犬種もいます。椎間板は柔らかいゼリーのような組織なのですが、遺伝的にこの柔らかい組織が硬くなりやすい子がいるのです。そういう遺伝子を持った犬は、椎間板ヘルニアにかかりやすくなってしまいます。ダックスフンドやコーギー、ビーグルによく見られる遺伝病と言えます。
治療法
犬の椎間板ヘルニアの治療は、初期で軽症の場合は、ステロイド系の薬や消炎剤、鎮痛剤などを飲ませて、神経の圧迫による炎症を抑え、痛みをやわらげます。服薬した上で安静にして、症状を緩和させ、損傷した椎間板の回復を待つことになります。
重症化した場合は、人間と同じように、外科的手術を行います。手術で完全に良くなる場合もありますが、軽いマヒが残ってしまうこともあります。
手術の後は、これも人間と同じく、リハビリテーションが重要です。犬のリハビリと聞いてもピンときませんが、大きな病院だと、プールで犬かきをして筋力をつけるなどの施設が整っているところもあります。
そのような施設がなくても、獣医さんが家庭でのリハビリ方法を教えてくれるので、それに従って、飼い主も一緒にがんばっていくことになります。
予防法
犬の椎間板ヘルニアを予防する上で、一番大事なのは、まず肥満にさせないことです。肥満はさまざまな病気の原因になりますが、犬の背骨や足腰に負担をかけ、ヘルニアを発症することにつながります。
また、ささいなことではありますが、犬を抱っこするときに、両脇を持って、ぶら下げるような抱き方をしないようにしましょう。ぶら下げるような抱き方は、犬の背骨に負担をかけてしまいます。日常の積み重ねで、シニアになったときに、愛犬の健康状態を左右しますので、若いころから気をつけて抱っこするようにしましょう。
あとは、生活環境の面で、滑りやすい床は、やはり犬の足腰に負担をかけてしまいます。室内で遊ぶときなどには、なるべくカーペットなどを敷いた部屋を選ぶなどして、愛犬の身体的負担を減らしてあげるといいですね。
犬の神経痛
症状
先述した、抱き上げるときにキャンと鳴くのが、犬の神経痛の症状です。体をちょっと触っただけで、悲鳴を上げることもあります。
また、痛みのせいで震えたり、動かなくなったり、食欲が落ちたりという症状も見られる場合があります。
原因
椎間板ヘルニアの初期症状として、神経痛が現れることがあります。神経の圧迫による痛みです。抱き上げたり、軽く触れただけで犬が悲鳴を上げるようなら、椎間板ヘルニアが悪化しないうちに、動物病院で検査を受けたほうがいいです。
他にも、肋間神経痛であることも考えられます。その場合は、肋骨のあたりを触ったときに、キャンと鳴きます。はっきりとした原因は不明です。
他の神経痛としては、坐骨神経痛も考えられます。背骨の尻尾に近いあたりの神経が圧迫されることにより、痛みが生じます。
治療法
犬の神経痛の治療は、椎間板ヘルニアと同じく、ステロイド系の薬や痛み止めを内服することになります。
あとは、痛みが激しくならないように安静にすることも大事です。寝たきりにさせる必要はありませんが、走り回るような激しい遊びは控えるようにしましょう。冷えを予防するのも大事だそうです。
病院によっては、鍼灸治療を勧めているところもあります。薬があまり効かない場合は、獣医さんと相談して試してみるのもいいですね。
予防法
神経痛が椎間板ヘルニアの初期症状によるものなら、予防法も椎間板ヘルニアと同じです。犬の背骨や足腰に負担をかけないように気をつけましょう。
そして、「冷えは万病のもと」と人間でも言われますが、犬も特にシニアになると、冷えが神経痛を引き起こす場合もありますので、体を温めるのも大事です。ごはんを少し温める、冬はペット用のヒーターを使うなど、犬の冷えに注意を払ってあげてください。
まとめ
犬が突然キャンと鳴くときの、病気の可能性について説明しました。ヘルニアや神経痛といった一般的な病気から、心臓に問題のある場合まで、さまざまですね。
脱臼など、骨に問題が出ていることもありますので、愛犬が突然悲鳴を上げるようなことがあれば、やはり動物病院に行きましょう。
シニアになると、犬も人間と同じように体に問題を起こしやすくなるので、予防のためにも若いときからの触れ方や環境も大事ですね。