犬の尻尾ってどうなってるの?
私達人間にはない尻尾。犬はしなやかに自由自在に動かすので、犬の尻尾には骨が存在しないのでは?と思う方もいらっしゃると思います。犬の尻尾には骨はもちろん色々な筋肉や神経が存在し、どんな方向にも動かすことができるのです。
犬の尻尾の骨は尾椎とよばれ、人間であれば尾てい骨にあたります。人間は尾椎が退化しいますが、犬にはしっかり残っていて形状は細く小さな骨がいくつか連なり、先端に行くにつれて細くなっています。この犬の尾椎の数は犬種により差がありますが、6~23個の小さな骨で形成されていると言われてています。
大型犬に比べると小型犬の尾椎はとても小さく細いので、ちょっとした衝撃でも骨折する危険性があります。
犬の尻尾が骨折する原因
犬が骨折してしまう原因は尻尾以外の部位であっても、人間と同じく強い衝撃を受けた時です。また老化や栄養不足などで骨がもろくなってしまっている場合は、軽い衝撃でも圧迫骨折や粉砕骨折が起こることも。弱っている部位に継続的に力が加わることによって起こる疲労骨折も否定できません。
強い衝撃
犬の尻尾が骨折してしまうほどの強い衝撃は日常生活の中にも潜んでいます。愛犬の尻尾をドアで挟んでしまう、うっかり踏みつけてしまうなど飼い主さんの不注意によって起きてしまう骨折もあります。大型犬であれば尻尾を振る力も強いので、壁など硬い物へぶつけて骨折してしまうという思いがけない原因もあるようです。
落下事故による骨折
高い場所からの落下により起こる骨折は、小型犬に多くみられます。1番多い落下事故が飼い主さんが抱っこしている時に愛犬を落としてしまうこと。中型犬や大型犬に比べると、楽に抱っこできるため抱っこ自体の機会も多く、片手で抱っこされている飼い主さんもたまに見かけます。
思いがけない落下事故に繋がらないようしっかりと両手で抱っこするように気をつけましょう。また自転車やカートに載せる際も落下防止のリードを必ずつけましょう。
衝突事故
車や自転車などとの衝突事故は、骨折はもちろん命を落しかねないですよね。犬の衝突事故はノーリードの時に多く起こってしまうので、お散歩時はどんな時でも必ずリードを使用しましょう。
犬同士のケンカ
犬同士のケンカによって骨折するほどの怪我を負ってしまうこともあります。こちらも、お散歩中の出来事であれば、飼い主さんがリードでコントロールすることで防ぐことが出来ると思います。
老化
老犬は成犬に比べると骨密度が低く、骨を覆っている筋肉量も減少してくるため、軽い衝撃でも骨折しやすいと言われています。老犬になってからの骨折は治りも遅いので特に気をつけてあげたいですね。
犬の尻尾が骨折してしまった時の対処法
犬の尻尾が骨折したときの症状
犬は痛みに強いため、飼い主さんが尻尾の骨折にすぐに気づけないこともあります。いつもと少し違う様子が見られたら要注意です。
- 尻尾が曲がっている
- 歩くときにバランスがとれていない
- トイレの失敗が続く
- 尻尾を触らせてくれない
犬の尻尾の骨折は尾椎の小さな骨の一部が折れている状態なので、尻尾自体の形に変形が見られます。また犬の尻尾は歩く時にバランスをとるために非常に重要な役割を果たしているので、骨折しているといつも通りに歩くことができません。
そして尻尾には多くの神経が存在しているため、骨折により何らかの神経へのダメージがあり、排尿や排便が困難になるケースがあります。もちろん折れている患部に痛みがあるため触れられることも嫌がります。腫れてしまうこともあります。
犬の尻尾が骨折してしまった時の対処法
あきらかに骨折していると確認できた場合、大至急、動物病院で診てもらうことが1番です。早い段階で治療を開始してもらうことが早い完治にも繋がります。動物病院に連れて行くまでの応急処置としては、骨折した箇所に添え木をあて布や包帯できつすぎないように固定するくらいでしょう。
ただし応急処置は尻尾を触らせてくれる余裕のあるワンちゃんにしか行えないので、触れられるのを嫌がるワンちゃんには患部に刺激を与えないよう安静な状態で病院に連れて行きましょう。
まとめ
犬の尻尾には小さな骨が沢山あるため、骨折だけでなく脱臼してしまうこともあります。原因や症状は骨折の時とほぼ同じですが、発見が早く軽度のものであればすぐに整復することが可能なようです。気になる症状がある時はすぐ動物病院で診てもらいましょう。
自己判断で勝手に処置をすることで悪化させてしまうこともあります。くれぐれも無理はせず病院にむかいましょう。
日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。