犬がしている危険なくしゃみとは?見極めるコツと病気の可能性

犬がしている危険なくしゃみとは?見極めるコツと病気の可能性

「クシュン!クシュン!」とくしゃみをしている犬の姿はそうめずらしいものではないでしょう。しかし犬がするくしゃみの中には病気が原因となる危険なくしゃみもあるので、十分注意しましょう。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬がくしゃみをするのは危険?

鼻に蝶が止まって目を瞑った犬

鼻に異物が侵入してクシャミが出る

まず、犬がくしゃみをするのはなぜなのか?そのメカニズムは基本的に人間と同じで、鼻に入ってきた異物によって、鼻腔内が刺激されることで起こります。何らかの異物を感知したときに反射的に息を吐き出して異物を排出しようとしますが、それが「くしゃみ」という形になるのです。

異物が体内に侵入することで体に害が及ぶ可能性があると考え、瞬時に排出して体を守る動物にとって大切な仕組みです。

そのため、くしゃみ自体は危険なものではなく、外気を鼻から取り込むときにほこりなどの異物を吸い込んでしまい、くしゃみが出ることなどは多いでしょう。また、においかぎをする犬は外で土や砂、植物などの異物を吸い込む可能性も高く、くしゃみをすることも多いと思います。

ニオイで刺激されてクシャミが出ることも

また、嗅覚が優れている犬の鼻腔内の粘膜は敏感で、刺激臭などによってもくしゃみができることがあります。香辛料や柑橘類のにおいのほか、アルコール・たばこ・芳香剤・殺虫剤など、人工的な強いにおいにも反応しやすいと考えられているため、そのようなものは犬の居場所から離しておいてあげましょう。

一度や二度くしゃみをしている程度であれば、危険性や問題はないと思いますが、空気清浄機を設置するなど、環境を整えてあげることも大切です。

犬のくしゃみの危険度チェックポイント

鼻の検査を受けるゴールデンレトリバー

犬のくしゃみは基本的に危険なものではありませんが、中には病気が原因となって起こるくしゃみもあるので注意しなければなりません。次のようなくしゃみの様子が見られたら、注意深く体調を観察するようにして、必要に応じて動物病院で診てもらうようにしてください。

  • 頻繁にくしゃみをするようになった
  • くしゃみが止まらない
  • 子犬の連続したくしゃみ
  • 苦しそうなくしゃみ、呼吸がおかしい
  • 鼻水や目の充血などの症状も併せて出ている
  • 疲れていてぐったりして見える
  • 食欲がない、下痢をしている

このような様子が見られるときは、病気が原因のくしゃみである可能性があります。特に生後間もない子犬は免疫力が弱いので、ウイルス感染などを起こしていると症状があっという間に悪化してしまう可能性が高いので要注意。念のため、すぐに動物病院に連れて行ってあげると安心です。

犬のくしゃみから考えられる病気

毛布をかぶって眠そうなビーグル犬

病気が原因のくしゃみがあるとしましたが、具体的には次のような病気の可能性が考えられます。軽いものから命に関わるものまでありますので、ぜひチェックしておきましょう。

アレルギー性鼻炎

花粉やハウスダストなど、特定の物質に対するアレルギー反応からくしゃみが起こります。今や日本の“国民病”とも言われる花粉症ですが、犬にもその発生があると言われています。免疫機能が過剰に反応してしまうアレルゲンは、血液検査で調べて特定することができます。

副鼻腔炎、蓄膿症

くしゃみが止まらず、さらにドロッとした鼻水が出ていたり、鼻が詰まっていたりするときなどは副鼻腔炎や蓄膿症の可能性があります。犬は症状を訴えられませんが、悪化すると頭痛や食欲低下などがあらわれるとされているので、早めの治療をおすすめします。

鼻腔内腫瘍

鼻の中にできものがあることで、くしゃみが起こる可能性も。そのできものが腫瘍であることもあり、その場合鼻水だけでなく鼻血が出ることも多いので、よく観察してあげてください。万が一鼻水に血が混じっていたり、やその周りが腫れて見えたりする場合などはすぐに動物病院に連れて行ってあげてください。

ウイルスや細菌感染(風邪)

私たち人間の風邪のような症状は犬でも見られます。「風邪」という病気はないと言われますが、ウイルスや細菌感染によって感染症を引き起こし、くしゃみや鼻水、咳などの症状があらわれるのです。感染しているウイルスや菌によって処方される薬や処置が変わるので自己判断はせず、獣医師による診察を受けるようにしましょう。

歯周病

意外かもしれませんが、歯肉炎や歯周病が原因でくしゃみが出ることもあります。歯周病が進行すると歯肉の中、つまりの部分で細菌感染が広がり、鼻腔にまで及ぶことがあるのです。ドロッとした膿状の鼻水が見られる場合などは、口腔内から感染が広がっている可能性があるので注意しましょう。

ケンネルコフ

ケンネルコフは咳やくしゃみなどの症状が出るいわゆる「犬の風邪」ですが、子犬がかかると命に関わるケースもあるので軽視してはいけません。免疫力が弱くあっという間に体力が奪われてしまう子犬は、些細な病気でも重症化することが多いので、あまり様子見はせず早めに受診しましょう。

<まとめ>犬のくしゃみと病気の可能性について

マスクをしているブルドッグ

犬が「プシュン!」「くしゃん!」とくしゃみをしている姿を見ると、かわいいなぁなんて思う飼い主さんも多いと思います。自分のしたくしゃみの音に驚いて飛び上がっちゃう犬の様子なんて、たまらなく癒されますよね♪

しかし、くしゃみの中には単なる反射や生理現象として起こるものだけでなく、重症化する可能性もある病気が隠れていることもあるので注意してください。危険性のあるくしゃみかどうかの判断は難しいかもしれませんが、くしゃみ以外にも不調が見られる、くしゃみが止まらないなどの様子が見られたら、動物病院で相談するといいでしょう。

どのような病気であっても早期発見・早期治療はとても大切なことです。くしゃみとは言えど軽視しすぎることなく、しっかりと観察して少しでもおかしいと感じたらすぐに獣医師による診察を受けるようにしてくださいね。

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