犬も風邪をひくの?
風邪の症状と似ている病気があります
雪がチラつく寒い季節、愛犬が何となく元気がなく、「風邪でもひいたかな?」と思ったことはありませんか?もし本当に風邪なら、お散歩はお休みして休息をとらせたいところですよね。
犬にも人間の風邪と似たような、くしゃみ、鼻水、発熱などの症状が出ることがありますが、実は獣医学的に言うと、「風邪」と言う言葉は存在しません。ウィルスや細菌による感染症で、風邪のような症状が出ていることを、呼吸器感染症と呼んでいます。
獣医学的に「風邪」という言葉はありませんが、ウィルスや細菌による感染症で呼吸器が炎症を起こすのは、人間の風邪と同じような仕組みです。この呼吸器感染症の中で多く発症するのが、「ケンネルコフ」と呼ばれるもので、通称「犬風邪」とも呼ばれています。
ケンネルコフとは?
伝染性の病気
ケンネルコフとはウィルスや細菌、マイコプラズマ属菌などが病原体となり、単独または複数の病原体に感染し、風邪のような症状が起こることで犬の伝染性呼吸器系疾患になります。
単独の病原体からの感染であれば数週間で完治しますが、複数の病原体からの感染であると完治までに1か月以上かかることもあり、重症化すると肺炎を引き起こす恐れもあります。「ケンネル」という言葉は、英語で「犬舎」の意味を持ち、「コフ」は「咳」の意味を持っています。
複数の犬がいる犬舎やペットショップ、ペットホテルにドッグランなど多くの犬が集まる場所で、その病原体をもっている犬との接触で感染、また病原体を持っている犬と接触した人間と触れ合うことで感染することがあります。
どの年代の犬でも感染の可能性はありますが、特にワクチン接種前の子犬や体力が衰えている老犬は注意が必要です。
不衛生な環境で体力や免疫力の低下している中、感染しやすいと言われており、空気が乾燥する冬場に多くみられる病気です。
どんな症状?
ケンネルコフの症状は、病名どおり軽い症状であれば咳をつく程度です。乾燥した短い咳になります。病原体の潜伏期間もそれ程長くないので、早い子であれば1週間ほどで完治に向かいます。ただし、複数の病原体からの感染であれば重症化することもあり、症状も重くなります。
- 痰が絡むような湿った苦しそうな咳
- 発熱
- 食欲減退
- 元気がない
- 膿のような鼻水や目やに
さらに症状が悪化すると呼吸器系を患っているので、肺炎を引き起こし、命の危険にかかわる状態になってしまいます。
軽い咳でも数日続くときは、しっかり動物病院で診察してもらいましょう。
ケンネルコフにかかってしまったら
安静第一
まず動物病院でしっかりと、診察、治療を受けるのが大前提ですが、自宅でできることは人間が風邪をひいたときと同じような感じです。ゆっくりと休息し、安静第一、炎症を悪化させないため、運動したり興奮したりしないよう気をつけてあげましょう。
また、室内の空気が悪いと私たち人間も、なかなか咳が治まらないですよね。こまめに換気をし、室内や犬の寝床も清潔を保ちましょう。寒さ、暑さ、湿気、乾燥どれも最適な状況を保ってあげることで体力回復へと向かいます。空気清浄機や加湿器などを室内に設置してあげると良いですね。
ケンネルコフの予防法
ワクチン
ケンネルコフは病原体の数が多く、ワクチンを打っていても感染してしまうことがあります。ですが、ワクチンを打つことで重症化を防ぐことができると考えられています。重症化は命にかかわりますので、ワクチン接種は定期的に行いましょう。
生活環境を整える
免疫力が低下していたり、ストレスで体調を崩したりしているときなどに、ケンネルコフに感染しやすいようです。暑さや寒さなどで体力や免疫力を低下させないのはもちろんですが、生活環境は清潔を保ち、ストレスを与えないよう過ごしていきましょう。
また冬場はどうしても乾燥によりウィルスが活性化するため、感染しやすい状態になります。保温や保湿に気をつけましょう。
愛犬の体力面を考慮する
飼い主さんの目から見て少し疲れているかな?と感じるときは、無理な外出は避けましょう。体力が低下している中、多くの犬が集まるドッグランなどに出かけると感染率が上がります。
また、いつものお散歩コースでも、咳をしている犬との接触は避けましょう。もし多頭飼いで1頭の犬だけ感染の症状が出たときは、次々と感染するのを防ぐため、他の犬とは隔離しましょう。
まとめ
寒くて乾燥する季節に体調を崩しやすくなるのも、免疫力が低下しているときに感染しやすくなるのも人間と同じですね。日頃から清潔でストレスのない健康的な生活をすることで、感染しづらい強い体作りができると思います。
もし咳をするような症状が起こったときは、ケンネルコフを始め、他の病気の可能性も考えられますので、早めに獣医さんに診てもらいましょう。