犬の便秘には危険が潜んでいる
人間と同様に犬が便秘になる原因は色々ありますが、愛犬がぐったりしている、元気がない、お腹に触れると痛がり身体を丸める体勢をとる、嘔吐がなどの症状が見られるなら、以下のような疾患が考えられます。
- 異物を食べてしまったことで腸が詰まっている(腸閉塞)
- 肛門周囲の炎症や毛の詰まり
- 前立腺の炎症や子宮の炎症による痛み
- 前立腺肥大、脊髄の異常、甲状腺機能低下症等の疾患
- 寄生虫がいる
状況によっては重篤な場合(死に至る)もありますので、愛犬が便秘かも・・と気がついたら、愛犬の様子をよく観察し、ちょっとでも異常に気づいたら獣医に相談しましょう。
「どうせ、いつもの便秘に違いない。大丈夫!」と素人判断で高をくくってはいけませんよ!
便秘とは少しちがいますが、「しぶり腹」と言われる症状もあります。
これは、便意があっていきもうとするけれど出ないという点で、一般的な犬の便秘とは少々異なりますが、何らかの疾患があるために、いきむことに痛みを伴っているケースが多いようです。「しぶり」の様子がある場合も、獣医の診察を仰ぐ様にしましょう。
犬が便秘になる原因
愛犬の全身の状態が悪いわけでなく、単に「最近、便秘気味かな?」という場合は、ストレス(環境)や運動不足がないか、見直してみましょう。
ストレスの問題
新しい家に来たばかりの子犬、引っ越しをした、トイレの粗相で叱られたのが怖かった等で犬が便秘になってしまうケースがあります。
これまでと生活リズムが変わった、食事や散歩の時間が毎日大幅に異なったりすると、犬の体内リズムは整いません。犬にとって「いつも通り」というのは何よりの安心材料です。できる限り毎日落ち着いて過ごせる環境を、飼い主さんが整えてあげましょう。
運動不足の問題
犬は運動をすることで、胃腸の働きを高める副交感神経が活発になり、蠕動運動も起こり消化促進・便秘解消につながります。
パピーから若い世代の犬ならば、少しの時間全力で走った後にいきみだす・・・という光景はしばしば見られますので、適切な運動をさせてあげましょう。
よく散歩の時にウンチをするのは、このことも理由の一つです。
犬がどのぐらいウンチをしなかったら便秘なの?
人間の場合は、食事の回数分1日に3度が理想(ちょっと多いような気がしますが…)なんてことを言われたりしますが、実際は個人差や体質によってお通じの回数はまちまちです。
当然、犬の場合にも個別差はありますが、平均としては成犬で一日に2回程度(子犬はもっと多いです)が基本です。
もし、あなたの愛犬が2日間、ウンチが出ていない便秘状態ならそれは大問題!と考えましょう。また、出てはいるけれど普段と出る量や質が違う(固い、コロコロしたウサギの糞のようになっている)場合も要注意。あなたの愛犬がSOSを送っているのかもしれませんよ!
犬の食事と便秘との関係
食べたものを出すのが排泄ですので、犬の便秘の原因と食事は密接した関係にあります。あなたの愛犬の食事に以下のような問題がないか、見直してみましょう。
我が家の犬はずーっと2~3日に1度しか排便しないから!というケースでは、体質の場合だけでなく、食事の問題が便秘に関係していることが多いようです。
1.水分不足による便秘
ウンチを作るのにも水分が必要です。ドッグフードだけであまりお水を飲まない犬の場合は、食事の際ドッグフードにお湯を少しかけたりして、可能な限り飼い主の手で水分を摂らせるように工夫してあげてください。水分不足からくる影響は便秘だけではないので、特に注意してみてくださいね。
ドッグフードにぬるま湯をかける、生野菜を少しトッピングする(キュウリやレタスなど)、ササミや魚を煮た出汁を薄めてあげたりすると、喜んで水分を摂ってくれる場合が多いです。
水分量が適切かどうかは、ウンチの固さで判断します。(多すぎれば下痢便になります)比較的すぐに結果が現れます。
2.ドッグフードの相性と質による便秘
愛犬とドッグフードの相性が悪い場合やドッグフードが粗悪な品の場合、下痢や便秘といったウンチのトラブルはかなりの確率で現れます。
コーン、小麦、大豆、米など、穀類の消化が苦手な犬が穀類を使ったフードを食べていれば消化不良状態にありますし、質の悪いドッグフードには、粗悪な原料や油、添加物が多く含まれており、犬の健康によいわけはありません。
ドッグフードを主食としている場合は、ドッグフードを変えてみるのもオススメです。ドッグフードの変更は時間をかけて行いましょう。数週間〜数ヶ月程は様子を見て下さい。
この逆に、ドッグフードを変えたら便の量が減ったという場合もあります。消化吸収がよくなった際に便の量が減るのも自然なことです。必ずしも便秘になったとは限りませんので、ドッグフードを用いる場合は、成分表示や質を納得いくまで調べること、愛犬の体調をしっかり観察することが大切です。
3.カルシウムの摂り過ぎによる便秘
カルシウムは摂り過ぎることによって、便秘を引き起こす事がよく知られています。普段はあげていないけれど、たまに骨をあげたりすると次の日のウンチはガチガチになっているという経験がある飼い主さんもいるでしょう。
丈夫な骨や歯を作るのにカルシウムは欠かせない栄養素ですが、「犬は人間の14倍カルシウムが必要!」という情報が一人歩きして、カルシウム過多になっている犬も多いようです。骨や煮干しなどを日々、摂取しているようならば、量の調整を行ってみてください。
4.食物繊維不足による便秘
人間の便秘対策にも有効な食物繊維は、犬の便秘対策にも有効とされています。食物繊維不足が感じられた場合は、数日の間、少しずつ与えて様子を見ましょう。
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。
水溶性食物繊維
血糖値の急上昇を抑え、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。海草類やこんにゃく 、果物等
不溶性食物繊維
便のかさが増すことで腸の蠕動運動が活発になり便通がスムーズになります。芋類、きのこ類等
これらの食物繊維を摂取する場合は、調理法が大切です。柔らかく調理し細かく刻む、ミルサー等で粉末にする等して与えましょう。特に、海草類やきのこ類、コンニャクは、犬にとって親しみが強い食物ではありませんので、ごくごく少量からはじめましょう。
また、食物繊維の過剰摂取は下痢を引き起こしたり、便のかさが増すことでかえって犬が便秘になる場合もあります。必要に応じて、獣医師の判断を仰ぎながら取り組みましょう。
犬の便秘を予防する整腸について考える
普段からウンチのトラブルをよく起こしている犬の場合、腸内環境が整っていないケースが多く、便秘や下痢を何度も繰り返す傾向があります。
腸内環境が整っている状態ならば腸内の善玉菌が消化や煽動を助けてくれますが、善玉菌が減っている状況の場合は、継続して体調を整えるのは難しくなります。そして、善玉菌は加齢と共に、減っていくのもポイントです。善玉菌を増やす、あるいは一定させるのは、便秘対策は元より長生きの秘訣にもつながるといわれています。
整腸、つまり、善玉菌に栄養を届けるためには、(善玉菌がいる)大腸にまで届くオリゴ糖や乳酸菌・ビフィズス菌が有効です。
毎食後に少しのプレーンヨーグルトを与えたり、オリゴ糖を少しかけてあげたり、最近では、犬の整腸目的のサプリメントも多く市販されています。オリゴ糖や乳酸菌・ビフィズス菌は一般的な食品からは摂取しづらいので、シニア犬に限らず、ちょっと腸が弱いタイプなら、パピー時代から検討・取り入れても早過ぎることはありません。
人間用のお薬ですが愛犬に「新ビオフェルミンS」を与えているという人も多いのではないでしょうか?腸内に不足した善玉乳酸菌をゆるやかに補充できるので、獣医さんがおすすめするということもあるそうです。
シニア犬の便秘について
蠕動運動が弱くなった、いきむのが辛くなったなど、加齢による身体の変化で起こる老犬の便秘もあります。
水分量や水溶性の食物繊維を増やすことで便を柔らかくし、排泄しやすくしてあげましょう。シニア犬の場合、他の疾患が便秘の原因になっているケースも高くなことも忘れずにいたいものです。
まとめ
犬の便秘に悩む飼い主さんが多い証拠に、犬用の下剤や浣腸、サプリメントの類いが多数市販されています。これらを使う必要があるのか?あるいは獣医の元に直ちに駆け込まなければいけないのか?後日、相談でいいのか?その判断を下すのは、飼い主さんです。
その材料となるのは毎日の排泄のチェックです。オシッコの色や量、回数、ウンチの回数や形状、質などの状況を日々観察して、大切な愛犬の健康寿命を守ってあげましょう。
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ユーザーのコメント
30代 女性 TIKI
これらは毎日飼い主が気を付けられる事なので、お通じが良くなるよう管理しないといけないと思います。そして、どんなウンチをしているか日々の散歩できちんとチェックして体調を知るようにしたいです。
30代 女性 きなこ
そういう時、ずっと腸に便が溜まってるわけで、すごく気になります。最高は2日溜めていた事があってやっと出たうんちはカッチカチ。体にもよくないですよね。
宿便で一番怖いのは腸閉塞です。こないだテレビで、便秘で亡くなる事もあると言っててびっくりしました。水分や食物繊維をたくさん摂らせたりヨーグルトなどの乳酸菌をあげたりするの参考になりました。私自身も便秘症だし愛犬と共に便秘解消がんばります!
40代 女性 mappy
我が家の愛犬は、一日に2~3回とても素晴らしいウンチをしてくれるので安心していますが、これからももっと気を付けて見てあげたいと思いました。
お腹の健康を考えると、食事はとても大事ですね。食べて、きちんと出すということがどれほど大切か再確認致しました。
女性 匿名
イタグレ雌、寒がり、消化が弱い、負担から糞の水分少なめ、後ろ足に骨格関係の持病もちで、普段から背中が丸まりぎみ、体を横にする時は柔らかい所で慎重にやってる子だが、
【便や尿の回数が段階に少なくなり、食べ物や水を補給する量も減りました。疼くような間隔で悲鳴を上げ、動きが少なく鈍くなり、動いてもいつも以上に背中を丸めていました。踏ん張りがきかないのか毛布に潜って寝ない。】
原因はわかりませんが心当たりとして、空気の乾燥と暑さ、枝豆3粒、新しいおやつ(ミルク系、ビスケット系)、食事時にヨーグルト各大さじ一杯試す(加糖有り、無し、低脂肪人工甘味料、そよ風)、風呂。
初期のヘルニアか腰が抜けているのかと思い背中をマッサージしていたらトイレに行き、2回目の糞が大型犬並みでした。
30代 女性 柴犬1歳
どんだけ溜めてるの!
30代 女性 匿名
ドライフードですが、水でふやかしヨーグルトをあげたいと思っています。
便秘が解消するのを祈って。
40代 女性 匿名
歳のこと、裂けてしまうことを考えると手術に踏み切れずにいます。
女性 アップルパイ