犬の失神の原因
失神とは、急に意識を失ってその後、回復する、「一時的な意識障害」のことです。人間と同じように犬も失神することがあります。
犬が失神する原因は様々な要員がありますが、病気の場合は大きく分けて2つに分かれます。
1つは犬の心臓に異常がある場合、もう1つは犬の神経系の障害です。
犬の失神に関連する病気
犬の心臓疾患
- 不整脈
- 心臓弁の障害
犬の心臓疾患による失神は、不整脈や、心臓から送り出される血液量の減少が原因で起こります。また、肺を循環する血液量の低下により、低酸素状態になって犬が失神することもあります。
犬の失神で考えられる病気は不整脈や心臓弁の障害です。このような心臓疾患を持つ犬は、運動した時に血液がうまく循環しなくなり失神することがあります。シニア犬に多く見られる症状です。
また、フィラリアや心臓の腫瘍により犬は失神することもあります。
犬の神経系の障害
- 癲癇
- 水頭症
- 脳腫瘍
神経系の障害が原因で犬が失神する場合、癲癇や水頭症、脳腫瘍などが可能性としてあります。癲癇は前兆はありますが突然起こることが多く、嘔吐や失禁、全身の痙攣が起きます。
痙攣が起きているときには意識がなく失神のような状態になっていることが多いです。
水頭症は子犬のころから行動が遅い、ボーっとしているといった症状があり、癲癇と同様に突然痙攣をおこし失神します。
脳腫瘍は高齢の犬に起こり、腫瘍が大きくなり脳を圧迫することで痙攣が起こり、症状が重くなると失神状態が継続します。
犬の失神の原因が、心臓によるものなのか、神経によるものなのか、判別が難しい場合も少なくありません。動物病院で検査を受けて、原因を特定してもらってください。
犬が失神したときの対処法
愛犬が突然倒れてしまったら、驚きと不安でどうしていいかわからなくなってしまうかもしれません。愛犬が気絶したときは、できるだけ冷静になり、次のような対処をするようにしてください。
犬の失神の応急処置
動かさない
まず、安静にすることです。一時的な失神の場合、じっとしていることで血液と酸素が脳に戻ることが多くあります。
脈拍と呼吸を確認する
落ち着いて、愛犬の脈拍と呼吸の有無を確認します。鏡を愛犬の鼻に近づけると、呼吸があれば鏡が曇るので確認しやすいです。
嘔吐がある時は窒息しないように注意
吐いたものが気道に詰まっていないことを確認します。そして、動物病院に連れて行くときに、吐いたものを持参して検査してもらうとよいでしょう。
失神の状況別対処法
失神からすぐに回復し、犬が元気な場合
犬が突然失神して、数秒でケロリと回復することがあります。犬が完全に意識を失っているかどうかは、飼い主が判別するのは難しいので、めまいのような症状で犬の失神に見えることもあります。
すぐに元の元気な状態に戻ると、飼い主としてはほっとして様子を見ようということになると思いますが、飼い主が留守にしている間もひょっとしたら犬は、数秒間の失神を繰り返している可能性があるため、この場合でもすぐに動物病院に連れて行った方がいいです。
犬は心臓に問題を抱えているかもしれません。飼い主の前で犬が頻繁に失神するようになるまで放っておくと、心臓疾患がかなり進行してしまう可能性があります。犬が失神してすぐに元気になったからといって放置せず動物病院で診察を受けましょう。
失神から回復したが、ぐったりしている場合
犬が失神して意識を取り戻したものの、その後ぐったりしている場合は要注意です。犬に嘔吐が見られた場合は、できればその内容物を持って動物病院へ行きましょう。また、呼吸や脈拍の速さ、遅さも見てあげてください。
犬は基本的に弱っているところを見せようとしません。敵から身を守るための本能で、体に故障があっても元気に振る舞うものです。だから、ぐったりしているということは、よほど具合が悪いと思ってください。
犬が失神のほかに嘔吐が見られる場合は、吐いたものが喉に詰まらないよう気をつけて、犬を動物病院へ連れて行ってください。
失神して意識が戻らない場合
犬が失神したまま意識が戻らない場合、人間と同じくかなり危険な状態です。犬が失神したら、飼い主は誰でもパニックになるでしょうが、ここはぐっとこらえて犬の様子を観察しましょう。
数分間、犬の失神が続く場合、脈はあるか、呼吸はしているか確認しましょう。心肺停止になっていないか、落ち着いて確認してください。犬が呼吸しているかわからない場合、犬の鼻先に鏡を持ってくるといいです。鏡が曇れば、呼吸をしています。
脈がない場合は犬の心臓マッサージをしながら、家族がそばにいるなら動物病院に電話をしてもらってください。同居の家族がいない場合でも、片手で心臓マッサージをしながら、動物病院へ電話をしてください。
呼吸も脈もありながら、犬が失神したままの状態なら、至急動物病院へ連れて行って、適切な処置を受けましょう。
脈がない場合
心臓マッサージをしながら動物病院へ電話しましょう。
脈がない場合は、早急に病院に連れて行く必要がありますが、まずは動物病院に電話をして、獣医師の指示を仰いでください。可能であれば、片手で電話をかけながら、片手で心臓マッサージを行ってください。
〈心臓マッサージの方法〉
- 犬を横向きに寝かせる
- 犬の前肢の付け根(肘が胸に当たるところ)に圧をかけ、1秒間に2回の割合で繰り返しマッサージする
犬の頭の下に冷却・氷枕を置き、頭を冷やすことも脳の保護するために効果的です。
犬が失神した際に獣医師に伝える情報
先述のとおり、犬が突然失神したら飼い主は誰でもパニックになってしまうと思います。でも、動物病院で適切な診断が受けられるように、落ち着いて犬の様子を確認しましょう。
犬が失神をして獣医師に伝えたい情報は以下のとおりです。
- 犬の失神する前の行動(運動していたか、安静にしていたか)
- 犬が失神していた時間(数秒か、数分間か)
- 犬にその他の症状はあるか(嘔吐など)
犬が失神する原因が何なのか、獣医師に判断してもらうために、最低でも上記の情報は伝えられるようにしましょう。
犬の激しい運動や興奮による一時的な失神なのか、犬の何らかの疾患による失神なのか、獣医師が適切な検査をして、診断するために、飼い主からの情報はとても大切です。
犬が失神する直前の行動だけでなく、できれば普段の様子も思い出して獣医さんに伝えましょう。
散歩を嫌がるようになってはいませんか?
咳をしてゼイゼイと苦しそうに呼吸することはありませんでしたか?
それとも、全く何もなく、犬は突然パタリと倒れたのでしょうか?
犬は自分で症状を訴えることはできませんので、獣医さんにとっても飼い主からの情報は診断の助けになります。普段から犬の様子を観察して、変わったところがないかチェックしておくようにしましょう。