犬の環軸椎亜脱臼の症状
環軸椎は環椎と軸椎の略です。首の骨のことを頸椎といい、環椎は第1頸椎で、軸椎は第2頸椎のことです。
犬の環軸椎亜脱臼はどちらかというと、成犬よりも1歳未満の子犬時代に初期症状を示します。主な症状は以下のようなものが見られます。
- 歩き方がおかしい
- 首の動かし方が不自然
- 上目遣いを頻回にする
- 食欲不振
主な4つの症状がありますが、犬の環軸椎亜脱臼は他の病気にも共通している症状のため、環軸椎亜脱臼を疑う事は難しいです。
しかし犬の首の動かし方が不自然だとする症状が出た場合は、早めに動物病院を受診する事で犬の環軸椎亜脱臼など病気の早期発見につながります。
犬の他の病気では、あまり首の動かし方に焦点を置くものがないので、首について不自然に感じた場合には、念のために獣医さんに相談しましょう。犬の環軸椎亜脱臼が疑われる場合には、病気を断定するために様々な検査を行う場合があります。
その他、上記の症状が犬に同時に2つ以上見られた場合には、環軸椎亜脱臼の可能性が考えられるので、早急に病院に連れて行き、獣医師の診断を仰ぎましょう。
自己判断で犬の環軸椎亜脱臼は診断できるものではないので、必ず動物病院など専門家の意見を聞いてください。
犬の環軸椎亜脱臼の原因
犬の環軸椎亜脱臼の原因は主に2つの理由に分けられます。
まず環軸椎亜脱臼の原因の一つは犬の先天性のもの。つまり犬の遺伝的要因によって発症しやすい状態である事です。
もともと環椎と軸椎はその周囲にある4つの靭帯で支えられていますが、先天的または後天的にこの靭帯に異常が起こると2つの椎体が不安定になり、脊髄を圧迫することで歩き方などに問題が起こります。
しかし犬が先天性の場合は、歯突起と呼ばれる突起が元々無い場合もあるので、結果的に脱臼を起こし、環軸椎亜脱臼症になってしまうケースが多いのです。
特に犬の環軸椎亜脱臼になりやすい犬種は一定数いることになります。例えば「チワワ」や「ポメラニアン」といった、小型犬に多く見られる病気です。
もう一つ、犬の環軸椎亜脱臼の原因は後天的なもので、犬が首を怪我してしまったり、首をむやみに振り回すなどの激しい動きなどから靭帯を損傷してしまったりすることで、環椎と軸椎が脱臼になってしまうというケースです。
この場合は、外傷的環軸椎亜脱臼と呼びます。外傷的環軸椎亜脱臼は放置しておくと、犬は排尿障害と呼吸障害を起こし、最悪の場合は犬が死んでしまう恐ろしい病気です。犬が首を動かさずにずっと上目遣いや、犬の身体に麻痺が見られたらすぐに動物病院へ受診しましょう。
犬の環軸椎亜脱臼の治療
犬の環軸椎亜脱臼の治療方法は2つ存在しています。
犬の環軸椎亜脱臼治療の一つは、内科療法と言って犬に鎮痛剤を服用しつつ、コルセットなどを装着して数週間安静に過ごす療法です。
環軸椎亜脱臼治療の一時しのぎや応急処置、または手術するほど重症化していない場合に選択される方法なのですが、根本的な治療にはなり得ないので、犬は再発する可能性が高いです。
犬の環軸椎亜脱臼治療のもう一つの方法は手術を行い、環軸椎亜脱臼の再発を防ぐ療法です。犬の環軸椎亜脱臼の手術費用は約30万円から50万円と高額に設定されています。
また犬の環軸椎亜脱臼は早期発見さえできれば成功率が上がる手術になりますが、発見が遅れれば遅れるほど、犬の環軸椎亜脱臼は手術の成功率は低くなります。
したがって犬の環軸椎亜脱臼は、症状の早期発見と病気の診断をスピーディに行った場合、かつ犬の年齢が2歳以下であった場合には、環軸椎亜脱臼の完治率と手術成功率が上がるため、手術に踏み切る医師が多いです。
しかし、犬の大きさや年齢、亜脱臼の状態によっては、手術が難しい場合もあります。また、犬の状態によっては治療に大きなリスクをともなうこともあります。診断は、レントゲンやMRI検査が必要になります。
犬の環軸椎亜脱臼の予防法
犬の環軸椎亜脱臼が先天性である場合には、犬に子供を産ませない事が予防方法につながります。
犬の外傷的環軸椎亜脱臼は、犬に怪我をさせないように気を付けている事が予防につながります。具体的には、高い所から飛び降りさせないようにする事と、散歩中のリードを首輪タイプではなく胴輪タイプにする事で、ある程度、犬の環軸椎亜脱臼は予防できます。
まとめ
犬の環軸椎亜脱臼は聞き慣れない病気ではありますが、放置しておくと最悪の場合、犬が死んでしまうケースも起こっています。
犬の環軸椎亜脱臼が発症し、手術ができないケースだと、犬や飼い主にも負担が大きく掛かるので早期発見と治療が鍵となります。
少しでも犬の健康状態に異変を感じたら、すぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。