犬の「心の病気」が隠れている4つの行動

犬の「心の病気」が隠れている4つの行動

現代社会において「心の病気」がクローズアップされることが多くなりましたよね。しかし、この心の病気は人間だけの病気ではありません。実は犬も心の病気になる事があり、それは様々な行動・仕草に隠されていることがあります。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬の「心の病気」が隠されている行動

パーカーを被った犬

人間にも発症するように、犬も「心の病気」を発症してしまうことがあります。こちらもやはりストレスが原因となることがほとんどですが、具体的にどのような行動に心の病気が隠されているのでしょうか。

1.ブランケットサッキング

タオルを運ぶ犬

ブランケットサッキングとは、ブランケットやタオルなどを前足でふみふみしたり、執拗に舐めたり吸ったりする行為のことを指します。意外と「あれ?うちの子もよくやっている気がする…」という人も多いのではないでしょうか。

一見、赤ちゃんの仕草のようで可愛らしく感じるこの行動ですが、あまりに頻繁にみられる場合には実は寂しさやストレスが溜まっている可能性がありますので、心の病気が隠されている行動の1つと言えます。

ブランケットサッキングを非常に頻繁に見かけた場合、ストレスになっている物がないか、退屈すぎないか考えてみてください。ストレスがあればその原因を取り除いたり、あるいは時間を決めて愛犬との時間をより多く作ってあげるなどの対応が必要です。

2.ハンドシャイ

撫でられる直前の犬

ハンドシャイとは、人の手を必要以上に怖がってしまう心の病気の呼称です。通常は人に撫でられることを好く犬ですが、ハンドシャイを患っている犬は、撫でようとすると歯を剥き出しにして威嚇してきたり、ぶるぶると震えたりして恐怖感や拒絶を表現します。

基本的に突然頭を触られることは犬も嫌がります。しかし、それにしても人間に触られることに対して非常に怯える様子を見せるようであれば、ハンドシャイである可能性が高いです。ハンドシャイになる原因としては、そもそも人間との接触が限られた環境で育ち人間に対する恐怖感がある、過去に人間から暴力を受けたことがある、などが考えられます。

ハンドシャイの克服方法は並大抵のものではないことが多いようです。まずは触る前に犬の方からアプローチしてくるのを待ち、十分人間の臭いを嗅がせ、撫でる、ではなく軽く触れる程度から始めていきましょう。これを根気よく続け慣れさせることで、徐々に撫でられる、触られることに慣れていくでしょう。

3.強迫性障害(常同行動)

強迫性障害は、人間の心の病気としても耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。この病気は、同じ行動を何度も繰り返してしまう心の病気で、常同行動とも呼ばれます。

犬の強迫性障害の具体的な例を挙げるならば、尻尾をぐるぐると追いかけ回す行動や前足を執拗に舐めるといった行動が当てはまります。日常の何気ない行動・仕草ですが、執拗に行う場合にはストレスが原因となる強迫性障害の可能性が高いです。

「もしかしたら」と気になる点がある場合、まずは原因を考えることが大切です。スキンシップが足りない、留守番が長時間にわたっているなど、孤独が原因である場合には、飼い主さんがコミュニケーションをしっかりとってあげることが重要です。

原因がまったくわからないと悩んでいる方は、一度獣医さんに相談してみるのも良いでしょう。強迫性障害だと思っていたら、実は怪我をしていた、違う病気だったということもあります。

監修獣医師による補足

人間において強迫性障害は「自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れない、わかっていながら何度も同じ確認をくりかえしてしまうこと」とされています(参考:厚労省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_compel.html)。犬における理由や目的なく同じ行動を過度に繰り返す常同行動は、症状や薬への反応がこの人間の強迫性障害と似ています。先に説明されているブランケットサッキングも常同行動の一つである場合があります。記事内で紹介されている「前足を執拗に舐める」ことで皮膚炎が起こると「肢端舐性皮膚炎」と呼ばれ、細菌感染やアレルギーなどの病気の検査・治療結果によって精神的なものが原因だと考えられる場合には、皮膚炎そのものの治療とともにストレスを除去するために環境を改善し、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬を用いた治療を行います。

獣医師:木下 明紀子

4.分離不安

クッションを破壊する犬

近年、飼い犬の間で非常に多く見られる心の病気として、分離不安症が挙げられます。分離不安症とは、飼い主さんの姿が見えなくなることに過剰なストレスを感じて起こる病気です。

小さい内は留守番中に問題行動を起こすことがありますが、これが成犬になっても続くようであれば問題です。この心の病気は、いつも後ろをついて歩いている、外出時に鳴き続ける、帰宅すると室内が荒らされているなどの問題行動となって現れます。

しかし、だからといって要求に毎回応えてしまうのは逆効果です。分離不安症を加速させてしまう原因となりますので、治療するに当たってまずは飼い主さんのペースで必ず生活するということを重要視しましょう。飼い主さんが家にいても、犬が飼い主さんから離れて落ち着いていられるようにしましょう。

他にも外出時30分前から愛犬を無視する、出掛ける際は声をかけない、外出中に起きた問題行動に関しては叱っても意味がないため叱らない、などの克服方法が挙げられます。また獣医さんに相談し、薬物療法を行うのも1つの手段です。

まとめ

犬のおでこにキスする女性

いかがでしたでしょうか。このように普段見ている愛犬の何気ない行動の中に、実は心の病気のサインが隠されていることがあります。今回の記事をお読みになり、気になることがあれば獣医さんやトレーナーさんなどに相談してみると良いでしょう。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    うちのコは、分離不安がありますが、黙って出掛けた時ほど室内を荒らすなどの問題行動が現れました。
    逆に、出かける時には『お買い物に行ってくるから待っててね。なるべく早く帰って来るからね』と声をかけ、いつもつけているテレビをつけっぱなしにして、出掛けます。そうすると、後追いも問題行動もなく、お昼寝をして待つことが出来ています。
    いろいろ試して分かったことなので、自分のコに合ったやり方を見つけるのがいいと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 はるぽん

    うちもワンコにお留守番をお願いするときは、
    『お買い物にいってくるから待っててね』と
    伝えてます。
    子犬の頃はしつけの本で読んだ通りに、ワンコに気づかれないように出かけていました。
    しかし、後追いやずっと鳴いているという次第になり思いきってワンコに伝えてから出掛けると
    健気におとなしく了承してくれるようになりました。
    ワンコによっていろいろな方法があるんだなぁと思います。
    普段からたくさん話しかけていると、いろんな言葉を理解してくれているワンコもたくさんいるのではないかなぁと思います。
    特にこのアプリを利用している方々は、ワンコの気持ちがもっともっと知りたい方々なのだとおもいますので、ワンコに飼い主さんの愛情が伝わっているのではないかなぁ~なんて思います。
  • 投稿者

    女性 ぴよまる

    うちも全く同じです。
    これまでは、出かけるそぶりをすると、キャーキャーないて走り回って玄関についてきていたのですが、
    お買い物行ってくるから、待っててね、と声をかけてから出かけるようにして、最初は10分、20分程度で帰り、少しずつ時間を伸ばしました。ベビーモニターで様子を確認すると、数回めには3時間くらいなら寝たり起きたりしながら待てるようになりました。
    帰ってきたら、おだやかに、ニコニコしながら、お利口さんだったねー、と褒めてオヤツをあげるようにしたら、買い物行ってくるね、と言うと、落ち着いて見送ってくれるようになりました。
    しつけ本には声をかけない、と書かれていますが、留守番が既に苦手なワンコには、むしろ声をかけて出かけたほうが良いかもしれません。
    声をかけない限り私は家のどこかにいる、と思うようになったらしく、後追いもなくなり、のんびり昼寝するようになりました。
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