犬の健康チェック17項目
1.元気がない
最もよく見られる症状です。いつもの活動性がなくなり、それに伴って食欲が極端に減退します。ただし、健康体であっても環境の変化、生理状況、老化などによって活動性に変化が見られることがあります。病的なものかどうか識別と判断が必要ですが、そう簡単ではないので、気になるときは獣医師に相談をしましょう。
2.嘔吐をする
健康な場合でも、時々草を食べて吐いたり、食べ過ぎて吐いたりします。犬は人に比べて嘔吐しやすい動物です。1日に何度も吐く時は、中毒、巨大食道症、胃潰瘍、胃捻転、感染症など重い病気の恐れがあるので直ちに獣医師に診察してもらいましょう。
3.下痢をする
食べ付けないものを食べた時や、強いストレスがあった時にも糞に変化が起こります。病的な場合としては、消化管障害、感染症、中毒が原因で下痢をすることがあります。糞が水様か軟便か、タール便かによって、あるいは匂いの強さや色によって原因の究明ができることがあります。獣医師が問診で糞の状況を質問するのはそのためです。この際その糞を持参することがとても重要です。
4.便秘になる
健康な犬は毎日1、2回の排便が普通です。脊髄の症状や障害や、前立腺の肥大が便秘の原因になることがあり、また食物の種類が便秘のきっかけとなることもあります 。安易な浣腸による処置は、治療すべき症状の慢性化や悪化を招くことになります。
5.尿に異常がある
尿の色や匂いの変化は、腎臓や泌尿器の異常が原因である場合があります。排尿の量や回数が多いといった変化が見られる場合には、糖尿病、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などが疑われます。これらの病気では飲水量の増加を伴う傾向があります。排尿行動に異常が認められる場合には、膀胱炎や尿路結石の可能性があります。
6.苦しそうに呼吸する
呼吸器の異常の他、肥満が影響していることもあります。シーズーやパグなど短頭種では呼吸状態に変化が起きやすく、病的かそうでないかの判断が大切ですが、区別は簡単とは言えません。
7.咳をする
犬の咳は喉に物を詰まらせそれを吐き出すような仕草を伴います。時には咳と共に白い泡状のものを吐き出すこともあり、嘔吐と勘違いすることがあります。呼吸器の炎症の他、心臓疾患、気管の扁平化(気管虚脱)が咳の原因となる場合があります。
8.熱がある
犬の体温の平熱は平均して三十八度五分で人よりも高めです。発熱をした時には全身の体温も高まり 、呼吸が荒くなります。体温は体の大きさや犬種、または個体によっても若干の差があるので、飼い犬の平熱を知っておくことが大切です。
9.震える、痙攣がみられる
震えは寒冷や恐怖によって健康な犬にも見られます。副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症などのホルモン分泌障害では、神経や筋肉に病的変化が生じ、その結果として全身の震えが起こります。痙攣はてんかんの症状である場合が主なものです。
10.脱水をおこす
犬などの動物が脱水症状に陥ると皮膚の緊張度が低下し、背中の皮膚をつまみ上げたとき皮膚が元の状態に戻るのに時間がかかるようになります。そのような場合ただ水を与えることだけでは回復せず、かえって症状の悪化を招くので注意が必要です。
11.歩き方がおかしい
四肢の運動障害関節の異常、あるいは脊髄の異常が考えられます。患部に痛みがある場合とない場合があり、それによって犬の様子が全く異なるので注意が必要です。高齢犬では老化で筋肉が衰えたり、関節炎が起きたりすることによる歩行障害のこともあります。
12.よだれがひどい
重度の病気としては、中毒症状のために大量のよだれを流している場合が考えられます。ただし、口内炎や歯肉炎が原因のことが意外と多くあるものです。 歯石の過剰な付着による炎症も原因として無視できません。
13.ひどく痒がる
アレルギー、ダニやノミなどの寄生虫、細菌感染が主な原因と考えてよいでしょう。洗いすぎによる皮膚の乾燥とシャンプー成分への過敏もかゆみの原因となることがあります。
14.脱毛
皮膚は定期的に抜け変わっています。通常の 換毛の場合によっては、全身的に均等に脱毛し、脱毛部が目立つことはありません。病的な場合には、部分的に脱毛が進んで皮膚が見えるようになり、またかゆみや匂いなどを伴います。ほとんどの皮膚病でこのような脱毛が見られます。
15.痩せた、太った
栄養の整った 食餌を与えていても、痩せたり太ったりすることがあります。栄養学的には良くても、その食餌がその犬の体質に合っていないのが原因です。痩せてくる場合には、時には栄養吸収がうまくいっていないことが原因の場合があります。5、6歳以上になってから太ってきた場合には、甲状腺や副腎のホルモン分泌異常が原因となっていることがあります。
16.頭をひどく振る
まずは耳の疾患を疑うべきでしょう。細菌感染 、マラセチアなどの酵母様真菌、ミミヒゼンダニなどの外部寄生虫が原因として考えられます。それ以外の原因としてはアレルギーやホルモン異常が耳の炎症を起こしていることも比較的多いようです。
17.目ヤニ
細菌・ウイルスなどの感染症やアレルギーの場合が比較的多く見られます。眼だけの疾患ではなく、全身疾患から目やにが多くなることもあります。