犬のショック状態とは?主な症状と起こる原因、対処法まで

犬のショック状態とは?主な症状と起こる原因、対処法まで

犬のショック状態を知っていますか?日頃使う「ショック」とはまた違う意味を持っており、命に関わる危険な状態です。今回はショック状態のときの主な症状と原因、対処法をご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

ショック状態とは?

横たわるビーグル

ショック状態とは本来は心臓血管系に異常がおこり、酸素が体全体に行き渡らなくなることを言います。しかし怪我や事故によって大量の出血をした場合や、アレルギーで反応が起きた場合、重い感染症にかかった場合もショック状態になることがあります。
ショック状態になると臓器が機能障害を起こして、血液の循環障害が起こります。
細胞に酸素や栄養素などが行き渡らなくなり、体温の低下や異常な呼吸、失禁などの症状が起こります。
命の危険がある状態なので、このような場合はすぐに獣医さんに処置をしてもらう必要があります。
いざというときに慌てないようにショック状態について知っておくと良いでしょう。

主な原因と症状、治療

治療を受ける犬

ショックを起こす原因

犬の場合、急激な血圧の低下によってショック状態になると言われています。
急激な血圧低下とは収縮期血圧が90mmHg未満、または基礎値よりも40mmHgを超える減少をいいます。
ショック状態の診断基準としては、急な血圧低下に加え、心拍数が160回/分異常、微弱な脈拍、毛細血管再充満時間の延長、意識障害や興奮状態、体温が37.8度以下または39.7度異常などがありこのうち血圧低下+3つ以上あてはまった場合にショック状態だと判断します。
毛細血管再充満時間とは指を使って、歯茎が白くなるまで押さえてから離し、色がもとに戻るまでの時間のことです。通常であれば1秒から2秒以内に戻りますが、それ以上の時間がかかる場合は延長状態となります。
これらのことは様々なことが原因で起こします。主なものをみていきましょう。

出血

怪我などにより短時間に大量に出血してしまった場合に、血圧が低下して全身に血が回せなくなりショックを起こします。

やけど

広い範囲に重いやけどをしてしまうと、皮膚の血管から液体成分が滲み出てきてしまうため血液の全体量が足りなくなりショック状態になります。

心不全

心臓の働きが悪くなり、血液を全身に送り出すことが十分にできなくなってしまうためショック状態になってしまいます。

敗血症

細菌の毒素によって血管が拡張したままになってしまうことがあり、中身の血液の量は変わらずに血管の大きさだけが変わると血液はゆっくりとしか流れなくなります。
そのため、ショックを起こしてしまいます。

アナフィラキシーショック

薬品や食べ物などが原因のアレルギー症状がおきたときにショック状態になることがあります。
毛細血管から体液が出てくるのと同時に、末梢血管が拡張して敗血症と同じような状態になるためです。

この他にも糖尿病やてんかん、犬ジステンバー、腫瘍、事故による外傷などでショック状態になることがあります。

ショックを起こしたときの症状

ショックを起こしたときには次のような症状があらわれます。

  • 元気がなくなり動けなくなる
  • 浅く速い呼吸をして酸素を取り入れようとする
  • 手足が冷え、歯茎や粘膜などが白くなる
  • 意識の低下
  • 首を伸ばして頭を後ろに反らせる
  • 眼球の動きが上下または左右に震えるようになる
  • 瞳孔が開く、または縮む
  • おしっこやうんちなどを漏らしてしまう

これらの症状が出た場合はすぐに動物病院へつれていきましょう。
放って置くと意識がなくなり、不整脈や体温の低下などといった症状が見られるようになり、最悪の場合死に至ります。

治療

ショック状態になるとまずは酸素の供給を行います。
また全身へ酸素を送るために輸液を行うこともあります。
強心剤の投与やアドレナリンの投与、出血している場合は止血などを行い、原因や状態に合わせた治療を行います。
ショック状態になる前にどういった状態だったか、念の為覚えておくと良いでしょう。もしかしたら治療の助けになるかもしれません。

飼い主さんができる対処法

布に包まれる犬

可能であればすぐに獣医さんに診せてください。そして電話などで支持をしてもらうことができるなら気道の確保などの応急処置を行いましょう。
病院へ連れて行く際にはなるべく大きく動かさないようにしてください。
もしも怪我で出血などをしている場合は可能であれば止血するようにしてください。体温が低下している場合は全身を毛布で包んであげましょう。
酸素ボンベなどがあれば酸素を吸わせ、嘔吐がある場合は吐いたもので喉がつまらないように注意しましょう。
心配が停止してから5分後から脳死が始まってしまうと言われているため、応急処置が重要になってきます。気道の確保や人工呼吸法、心肺蘇生法などを覚えておくと良いでしょう。

まとめ

聴診器を当てられる犬

普段の生活ではショックという言葉が軽く使われていますが、ショック状態はとても危険な状態であるということを覚えておいてください。
日頃から気道の確保や人工呼吸法などの応急処置を確認しておくと良いでしょう。獣医さんから習うと良いですね。
もしも獣医さんの言葉でわからないものがあった場合は質問して、お互いに誤解のないようにしておきましょう。

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