犬の足がつるような症状の原因
犬がフローリングの床上を歩くとき、ソファーや椅子から軽く飛び降りるとき、あるいは急いで歩いているときなどに、「キャン!」といったような鳴き声とともに、足をピーンとさせていることはありませんか?
犬の様子をしばらく見ていると何でもなかったように歩いていて、「今の犬の状態は何だったんだろう?足がつって痛かったのかな?」と、考えたことがある飼い主さんは多いのではないでしょうか。
犬も、人間と同じように、上記のように足をつることがあるのか、これは結論から言いますと犬は足がつるとこはないといわれています。実は、犬が足をピーンとしてピクピクさせてつるような症状の考えられる原因は、足を脱臼していて病気の可能性があるのです。
犬の足がつるような症状から考えられる病気
犬の足がつるような症状から考えられる病気は以下、このようなものが考えられます。
- 膝蓋骨脱臼と股関節脱臼
- 椎間板ヘルニア
膝蓋骨脱臼と股関節脱臼
犬が足をつったような症状を見せる多くは、膝蓋骨と、股関節が脱臼をしているからです。
膝蓋骨脱臼の膝蓋骨とは、簡単にいうと膝のお皿です。足の大腿骨(太ももの部分の骨)と脛骨(すねの部分の骨)を繋ぐ関節の所に膝蓋骨があり、犬が歩くときスムーズに関節を動かす役割をしています。この骨が脱臼してしまうと、膝を曲げたり伸ばしたりできなくなり、地面に足をつくことが困難になります。
股関節脱臼とは、犬の股関節の骨盤と大腿骨(太ももの部分の骨)を繋いでいるじん帯が切れてしまい、大腿骨が股関節からズレてしまった状態のことです。犬の足がつるような症状から膝蓋骨脱臼、股関節脱臼ともに、関節を正常に動かせなくなっている状態のことを言います。
この脱臼には、完全に外れてしまっている完全脱臼と、部分的に骨の位置がズレてしまう亜脱臼の2種類があります。膝蓋骨の亜脱臼とは、つまり膝のお皿の骨が部分的にズレてしまうことを言います。部分的なので、犬が背伸びをして骨の位置が自分で戻ることもあります。
股関節の脱臼も、股関節が浅く脱臼しやすい状態にあるので、犬が歩きながら突然足がつったように上げたり、スキップしているように走ったりします。軽い亜脱臼なら、犬の足の痛みもなく心配は要らないようですが、頻繁に起こるようになると、関節同士がこすれていくので、いずれ関節炎を発症してしまうかも知れません。
犬の足の脱臼は外傷性もありますが、遺伝的な要因も多いです。膝蓋骨の脱臼は小型犬に多く、股関節の脱臼は大型犬に多いと言われています。頻繁に犬が足を脱臼するようなら、一度、動物病院を受診して先生に相談してください。
椎間板ヘルニアについて
椎間板ヘルニアで、犬の足が震えているような場合もあります。椎間板は脊椎と脊椎の間にありクッションの役割をしています。この椎間板が何らかの原因で飛び出し脊髄を圧迫するために痛みを生じます。脊髄への圧迫が継続すると肢の感覚が鈍感な状態になり、悪化すると麻痺を起こします。
完全麻痺の場合は犬の足は動きませんが、部分麻痺の場合は犬は足をひきずって、つったような変な歩き方が目立つようになります。後ろ足の力が弱くなり、犬はふらつくようにみせたりします。
椎間板ヘルニアによって犬の歩き方や足に、このような症状が目立ってくる場合は、軽度の椎間板ヘルニアから徐々に悪化しているサインなので、見逃さずにすぐ動物病院に行きましょう。
犬の足がつるような症状の治し方
膝蓋骨や股関節の脱臼が原因の場合
犬の足の関節に強い力がかからなくても、ソファーや椅子から頻繁にジャンプをするような環境や、フローリングなど滑りやすい床の上で生活する環境ですと、犬の足の関節周辺骨に負担がかかり、脱臼しやすくなります。
ですから犬が生活する場所を、滑りにくいコルク製のマット、またはじゅうたんに変え、犬の関節を守る、足をつらせない生活環境に整えてあげることが大切です。また、遺伝的に脱臼が起こりやすい骨格の犬種もあります。
膝蓋骨脱臼は、トイプードルやチワワなどの小型犬に多いとも言われています。コンドロイチンや、グルコサミンなどのサプリメントを取り入れ、あまりハードなジャンプをさせないような生活環境に整えてあげましょう。
膝蓋骨脱臼は理想体重を超過すると症状が悪化します。理想体重は犬種ごとにおおよその数値がありますので、参考にしながら体重管理はしっかり行いましょう。
軽度の脱臼で犬の足に痛みがないように思えても、脱臼は一度起こすとクセになってしまうようです。動物病院の先生と相談しながら、対策を考えていくのも大切かも知れません。
一瞬、犬が足をつったようになっても「すぐに治るから大丈夫」と治療しないでそのままにしていると、犬の関節がさらに変形して、運動障害を起こしてしまうこともあるからです。
椎間板ヘルニアが原因の場合
犬の椎間板ヘルニアの場合も獣医さんとともに、内科的治療や外科的治療を進めていきます。しかし、やはり犬が足をつらないよう生活環境の改善が一番大切です。
犬がソファーや椅子から頻繁にジャンプをする環境や、滑りやすい床、階段の上り下りなど、足腰に負担をかけないようにしましょう。
犬の足腰に負担のかからない抱っこの仕方も大切です。前足2本で持ち上げて抱っこするのは、犬の腰が反り返ってしまうので一番危険です。片手を犬の首の下か前足の下、もう片方の手を、犬のお尻の後ろに当てて、犬が縦になって腰が反ったりして負担にならないように抱っこしてあげましょう。
犬に椎間板ヘルニアの疑いがある場合は、人間と同じく、椎間板ヘルニアは肥満が原因で腰への負担が強くなります。できるだけ犬を太らせないように気をつけてあげてください。
まとめ
犬が急に足をピーンとして、スキップしてみせるのは、足がつっているのではなく、膝蓋骨や股関節の脱臼、椎間板ヘルニアによる麻痺の疑いがあるようです。犬の症状が軽く見えても、脱臼やヘルニアは犬にとって、生活の質を落としてしまいかねない重大な症状です。
犬の足がつっているように見える、痙攣しているなど、怪しい症状が出てきたら、早いうちに動物病院に行って獣医さんに診てもらいましょう!