犬が首を痛がる時の仕草と病気
犬が痛みを訴えるとき、“ギャンッ!”と高い大きな声で鳴くことがありますよね。その鳴き声からとても大きな痛みだという事がわかります。
また、慢性的に痛がる場合、重大な病気の可能性があるため注意が必要になってきます。
犬は首が痛い時にどんな仕草をするのか、またどんな病気が潜んでいるのか、詳しく確認していきましょう。
犬が首を痛がる時の仕草
頭を撫でられるのを嫌がる
犬が首を痛めている時、頭を撫でるのを嫌がる場合があります。頭を撫でた時に首に負担がかかってしまい、その負担が原因で強い痛みが伴うことがあります。
痛みが強い場合は、吠えられたり自衛本能から噛みつかれたりする場合もあるので、注意しましょう。
首回りのブラッシングを嫌がる
首回りのブラッシングを嫌がる場合、首を痛めている場合があります。ブラッシングは、どうしても力がかかってしまうため、首周りのブラッシングを行った場合、痛みをさらに強くしてしまうことがあります。
ブラッシングの際に、不自然に頭を下げる場合は、嫌がっている仕草かもしれないので注意してみてあげましょう。
また、ブラッシングの度に首に痛みを感じている犬であれば、ブラシを見ただけで逃げ出してしまうこともあるでしょう。
首輪を引っ張った際に鳴く・痛がる
首輪(チョーカー)にリードを繋いでお散歩する場合、首に大きな負荷がかかりやすく、首を痛めている場合、嫌がる仕草を見せる場合があります。
また、散歩中に首輪へ力が掛かった際に、“ギャンッ!”と鳴いたり、リードで引っ張るのを嫌がったりする場合、首を痛めている場合があります。また、首の痛みを和らげるために首を下げるような仕草をすることもあります。
犬が首を痛がる時に注意すべき病気
頚椎すべり症(ウォーブラー症候群)
頸部脊髄が圧迫されることで障害が引き起こされ、頸部の痛み・ヨロヨロと歩く・四肢の麻痺・運動障害などがみられるようになります。
頸椎の病気で、首の長い大型犬や超大型犬に多くみられる病気です。
症状
首を動かすことで痛みが伴うため、頭を低い位置で保とうとします。さらに症状が進行すると、ふらつくようになり、ヨロヨロと歩くだけではなく、立っていることさえも困難になってしまうことがあります。
原因
明確な原因はまだ解明されていません。しかし、脊椎の形成異常・急激な成長・成長に必要な栄養素の不足・遺伝・外傷など様々な原因を考えることができます。また、椎間板の突出や頸椎の奇形などが原因である可能性もあります。
治療法
軽度である場合には頸部の固定や運動制限によって悪化を予防します。消炎剤や鎮痛剤を用いることで進行を抑制し、痛みをコントロールすることもできます。内科療法で改善がみられない場合や重度である場合には脊髄圧迫除去のための外科的手術が用いられることもあります。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアになると、触られることを嫌がるようになったり、痛みに耐えるためにカラダを震わせるなどの仕草がみられることがあります。
症状
主な症状は痛みと麻痺です。首や背中に触れられることや抱っこされることを嫌がるようになります。歩き方がおかしい、段差のある場所での昇り降りができないなどの症状がみられることもあります。
麻痺の症状が重度になると、前足も後ろ足も動かすことができなくなったり、失禁してしまったりすることもあるでしょう。
軽度の場合、適切な処置を受けることで症状が和らぐ可能性もありますが、重度の場合、歩行が不能になったり排泄障害を伴ったりすることがあり、最悪の場合回復が見込めない可能性があります。
軽度であった症状が急激に重度へと進行することがあるため、少しでも異常を感じたらすぐに獣医さんに診てもらいましょう。
原因
軟骨・椎間板の組織の硬化または損傷によって、背骨内の中枢神経・脊髄を圧迫している状態です。椎間板の組織の老化が原因である可能性や先天的な異常である可能性があります。
また、首や背骨に大きな衝撃を与えるような運動や動作が原因となってしまうこともあります。
治療法
軽度である場合、とにかく安静を保つことが大切です。消炎剤や鎮痛剤を用いることで痛みを和らげ、改善がみられるまではケージの中で過ごさせることが必要です。部屋の中をウロウロと歩き回ってしまうようであれば、すぐにケージを用意してあげましょう。
重度である場合、脊椎の圧迫を取り除くための外科療法が用いられることがあります。手術後は治癒と歩行機能の回復のため、リハビリが欠かせません。
頸椎(首)の椎間板ヘルニアの場合は頭をあげることができず上目使い、ごはんを食べるとき躊躇する、前肢・後肢ともに麻痺がおこるなどの症状が起こります。
まとめ
首やカラダに触れられることを嫌がるようになったり、急に“ギャンッ!”と鳴くことが増えたり、少しでも異常を感じたらすぐに獣医さんに診てもらいましょう。
軽度のうちに病気を発見し適切な治療を受けることができれば、病気の進行を抑制することができますし、完治も望めます。
犬は痛みを我慢してしまうため、進行してから発見されることも多いです。普段からカラダの隅々まで異常はないかチェックしてあげましょう。