1.巣穴で休む習性
多くの野生動物、また私たち人間も生活の拠点や休息場所として「巣」を持っています。犬の祖先であるオオカミなどの動物も例外ではなく、狩りや戦いなどを終えた後巣穴に帰り、群れの仲間や家族と体を休めていました。祖先とされる動物が狭い巣穴の中で過ごしていたことから犬たちにもその習性が受け継がれ、休む時は狭い場所で…という傾向が多く見られます。また、動物は本能的に背後を警戒する気持ちが強いため、巣穴の壁や仲間の体と密着することでより安心感が高まります。
2.外敵から身を守る本能
犬が狭い場所を好む理由のひとつ目で挙げたように、かつて巣穴で過ごしていた習性から犬も狭い場所を好む傾向にあります。その巣穴の役割として重要なのが「安全であること」で、安心して身と心を休めることができる場所である必要があります。
狭い場所であれば入り口も限られており、外敵などが侵入してくる危険性も低くなります。そのため、群れの中で少数の見張りがいれば他の仲間は安心して休むことができますし、外敵の侵入前にしっかりと追い払うこともできます。また、雨や雪、風、雷などの自然災害から身を守ることもでき、体にダメージを受けることなく安全な場所に身を守ることができるのです。
3.病気や体のトラブルがある
犬は不安を感じたり、安心感を得たいと感じたりした時に狭い場所に入りたがるため、ケガや病気を抱えている場合にも同じような行動を取ることがあります。弱った体を誰かに見せることは動物にとっては非常に危険なことであるため、野生動物などもケガや病気を抱えている場合は誰にも見つからないような場所で身を休め、静かに回復を待ちます。
そのため突然狭い場所にいる時間が長くなったり、それに伴って動きが鈍くなったりする場合にはケガをしていないか全身チェックしたり、健康診断を受けるなどすると安心です。また、メスの場合は想像妊娠をしている時などにも狭い場所にこもって巣作りを行うことがあります。
犬が狭い場所にいる時の注意点
犬がハウスなど狭い場所に入っているときは、決して無理やり外に出そうとしないようにしてください。安全地帯である場所に手を入れて体を引き出そうとすると、犬は強い抵抗感を感じてその手を排除するために攻撃してくる可能性もあります。狭い場所にいるときはできるだけのぞき込んだり手を入れたりしないようにし、出てきてほしいときは呼んだり食べ物を見せたりして、自ら出てくるように促してください。
攻撃性を見せないとしても、安心して休んでいる場所から無理やり引き出そうとする相手に強い不信感や拒絶感を持つ可能性も高いので、犬と飼い主の信頼関係を損ねる危険性もあるので非常に気をつけたいポイントです。
まとめ
基本的に犬は狭い場所を好む傾向にありますが、家庭犬の場合は自分の身に危険がなさそうな場合であれば広々とした場所でも安心して休むことができます。しかし、何らかの影響で不安を感じた時やひとりになりたいと思った時のために、狭い場所=ハウスが用意されているといいでしょう。
犬が狭い場所を必要とするのは、雷や花火、お祭りの太鼓など大きな音が聞こえてきた時や地震などが起きた時。また、家族にかまわれることなくしっかり休みたい時など。ハウスなど狭く安心できる場所を子犬の頃から与えられ、そういった場所でクールダウンすることができると知っている犬は精神的に安定しやすく、落ち着きを取り戻しやすいとされています。
そのため、子犬の頃からハウスで寝かせるようにしたり、常にハウスのドアを開けておいて好きな時に出入りできるようにするなど落ち着ける場所を用意しておくようにしましょう。