新生活が分離不安のきっかけに
春は新たな始まりの季節。ご就職やご転勤をされる方も、また職場は同じでも新しいお仕事にチャレンジされる方もいらっしゃるかと思います。
そんなご多忙な毎日を癒してくれるのは、やはり愛犬。元気な笑顔で迎えてもらえば、一日の疲れも吹っ飛びますね。
と思っていたら、わんちゃんの様子がいつもと違う…
- ご家族がでかける準備を始めると、わんちゃんが、やたらと吠える
- 留守番中のわんちゃんが、突然、家の中を荒らすようになった
- これまでトイレは完璧だったのに、失敗するようになった
もしかしたら原因は分離不安かもしれません。
分離不安とは
ペットのわんちゃんが独りで過ごすことに対して抱える不安です。犬は本来リーダーに従い、群れで行動する動物。彼らにとって、リーダーから離れて過ごすことは、人間が考える以上に高いハードルです。
「これまでお留守番は平気だったのに」と当惑されるかもしれません。しかし、敏感なわんちゃん達にとっては、リーダー(ご家族)の勤務形態や生活環境(ご自宅)の変化も、ストレスや不安要因になり得ます。
通常2~3か月で適応しますが、ストレスや不安が大きいと問題行動や体調の異変に発展するケースもあります。
典型的な問題行動や症状
- キャンキャンと鳴く、吠え続ける→パニック昏倒痙攣
- 教えられた場所以外での排泄失禁食糞
- 玄関ドアや窓、家具を齧る/破壊行動
- 過呼吸大量のヨダレ震え
- ウロウロと歩き回る/在宅のご家族から片時も離れようとしない
- 自分の身体を舐め続ける→皮膚炎
- 攻撃的になる
- 脱走
分離不安かな?と思ったら
まずは、原因が医学的な問題ではないことを動物病院でご確認ください。前述の問題行動や症状には、失禁など体の異変が引き起こすものも含まれます。確認した上で、わんちゃんの心を探っていきましょう。
「家具を齧る」などは留守番の退屈しのぎかもしれず、その痕跡だけを見ても、原因が分離不安とは特定できません。対処法はそれぞれ異なるため見極めが必要です。
それには、わんちゃんの「どのような行動や症状が、いつ現れたか」を確認することが大切。
分離不安の場合は、問題行動が、ご家族が出発を準備される段階から、ご自宅を出て40分後までに集中発生。一方、退屈しのぎのイタズラは、ご家族の出発後しばらく時間が経過してから。
原因特定には、わんちゃんの様子を動画で撮影すると役に立ちます。獣医さんに見せれば、効率的・効果的な診断と対処につながります。
分離不安。どうしたら良いの?
最も効果的なのは、事前の十分な運動、排泄と食事の完了。わんちゃんは、身体が疲れ満腹になったら数時間は寝てしまうので、孤独を感じる時間が短くなります。また、TVやラジオ、電灯をつけたまま外出するなど追加の工夫も効果的。
多くの場合、わんちゃんが慣れるにつれて分離不安も解消しますが、稀に悪化する場合があります。中には、発作や自傷行為を引き起こすケースも。
悪化させないためには、早期の発見と対処が鍵。可能であれば旧知のわん友さんなどに頼んで留守中にわんちゃんの様子を確認してもらうか、一時的にわんちゃんの預かりサービスを利用すると安心できます。
「毎日はお願いできない」「残業があるかも」という場合には、バックアップとしてペットカメラを利用するのも1つの選択肢です。
わんちゃんの様子を動画撮影することも、職場から留守番中のわんちゃんに話しかけて安心させてあげることも可能。また、わんちゃんが吠えたり、お昼寝から起きたり、カメラに近づいたら、お手元のスマホに通知されるので、声をかけ、おやつをあげることもできます。
ペットも一緒のご転勤(引っ越し)の場合
最も大変なのは転勤(引っ越し)です。お仕事の引継ぎから引っ越し作業まで、目が回る忙しさ思います。
忙しさのあまり、ついつい忘れがちなのがペットの登録住所の変更です。転入先がこれまでお住まいの市町村と異なる場合には、手続きの際に、転出側の市町村が発行した鑑札を持参してください。
4月には狂犬病予防注射の接種も開始。最初は動物病院で接種される方が良いかもしれません。狂犬病以外で必須なワクチンは地域によって若干異なるため、獣医さんと相談して、わんちゃんのライフスタイルに合った効果的な接種の年間スケジュールを立てることができます。
また可能であれば、ご転勤が決まった段階から、わんちゃんと一緒に新しいホームタウンをお散歩してみるのもおすすめです。
わんちゃんも地域に早く慣れ、運が良ければ、お友達もできるかもしれません。また、ドッグカフェに立ち寄れば、素敵なお散歩コースを教えてもらえるかも。
ご家族にとっても、わんちゃんにとっても、新たなスタートはワクワクドキドキ。皆さんが元気な笑顔で新生活を始められるように応援しています!