犬の「おしり」にも心理が隠されている!?
犬たちは言葉というコミュニケーション・ツールを持たない代わりに、鳴き声やボディ・ランゲージを使って喜怒哀楽を私たちに伝えてくれます。全身を使って、私たちに話しかけているのです。
飼い主さんが鳴き声やボディ・ランゲージから愛犬の心理を読み取り、飼い主さんの気持ちも伝えていくことで、愛犬との距離が少しずつ縮まり、強い信頼関係で結ばれていくことでしょう。
愛犬の心理を知りたいとき、愛犬の尻尾に注目する飼い主さんが多いかと思います。尻尾の動きや位置から愛犬は今、喜んでいるのか、不安なのかなどを読み取ることができますね。
では、しっぽのすぐそばにある、「おしり」から愛犬の心理を読み取ることはできるのでしょうか?
その答えは…「イエス」です。愛犬の心理がおしりからも読み取れるとなると、一体、おしりを使った行動やしぐさにはどのような心理が隠されているのか気になりますね。一緒に見ていきましょう。
1.犬がおしりをくっつけてくるときの心理は?
愛犬が飼い主さんに背を向けつつも、おしりだけはピトッとくっつけている…ということはありませんか?背中を向けられると、なんだか「ツーン」とされているようで少々寂しい気持ちになりますが、実はこれ、飼い主さんを信頼している証拠なのです。
犬は人間よりも視野が広く、犬種によって異なりますが220°~290°まで見えるといわれています。こんなに視野が広くてもやはり背後は死角となり、背後からの攻撃をかわすことはできません。
そのため、野生時代の犬たちはおしりをくっつけ合って眠り、敵に背後から襲われる危険を回避していました。その名残が今も残り、犬は無防備に背中を見せたがりません。でも、信頼する相手になら安心して背を向けることができます。
ですから、愛犬が飼い主さんに背を向けておしりをくっつけてくるのは、飼い主さんを安心して背を向けられる存在、つまり信頼できる存在と思っているということ。信頼できる飼い主さんにおしりをくっつけて温もりを感じ、安心してくつろいでいるのです。
2.相手の犬におしりのにおいを嗅がせるときの心理は?
犬同士がおしりのにおいを嗅ぎ合っているのを見たことはありませんか?これは、初対面の犬同士や仲良しの犬同士によく見られる行動で、あいさつのようなものです。
おしりにある肛門腺にはその犬特有のにおいがあり、そのにおいを嗅いで相手の性別や年齢、気分や状態などといった情報を収集します。
相手の犬におしりのにおいを嗅がせるのは、「仲良くしてもいいよ」という気持ちだから。そういう気持ちでないときは、相手におしりのにおいを嗅がせません。
3.犬がおしりを高く上げるときの心理は?
上体を低くしておしりを高く上げ、尻尾は左右にフリフリ…と、まるで犬がおじぎをしているようなポーズをすることがあります。これは「プレイ・バウ(play bow)」または「プレイング・バウ(playing bow)」と呼ばれるポーズで、「一緒に遊ぼうよ!」と、遊びたい気持ちを表現しています。
仲良しの犬同士なら、このポーズから早速、追いかけっこが始まったりするでしょう。初対面の犬同士ならば、まずこのポーズをとって、相手が遊びの誘いに乗ってくるか様子を見ます。もちろん、人に対してもプレイ・バウのポーズを見せることがあります。
攻撃態勢や痛みの訴えであることも
プレイ・バウのポーズのように見えても、マズルにしわを寄せ、歯をむき出しにしているのであれば、それは攻撃態勢です。遊びに誘っているのではなく、恐怖を感じつつ「これ以上近づいたら攻撃するぞ!」と訴えています。
また、お腹などに痛みがあるときもプレイ・バウによく似た「祈りのポーズ」と呼ばれるポーズをとります。祈りのポーズである場合は、尻尾を股の間に挟み元気がなく、小刻みに震えたりするので、プレイ・バウのポーズではないことがすぐに分かると思います。様子がおかしいことに気づいたら、すぐに動物病院へ。
4.犬がおしりを床にこすりつけるときの心理は?
犬がおしりを床にこすりつけて前脚で移動するのは、「おしりがムズムズする~」という気持ちから。おしりの周りにうんちがついていないか、赤くなっていないか、肛門腺がたまっていないかなどをチェックしてあげましょう。
犬のおしりがムズムズする原因はさまざまで、条虫という寄生虫が原因であることもあります。気になるときは、動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
今回は、犬のおしりから読み取れる心理についてご紹介しました。
愛犬がおしりをくっつけて信頼の気持ちを表してきてくれたら、飼い主としてこんなにうれしいことはありませんね。
おしりをくっつけてくる以外にも、犬はおしりを使った行動やしぐさでさまざまな気持ちを表現しています。おしりからも愛犬の心理を的確に読み取り、その心理に合わせた対応ができる飼い主でありたいですね。