「ウチの子式トレーニング」とは?
世の中には、○○式などの名称が付いたトレーニング方法が数多く存在します。一昔前まで、犬のトレーニング方法は書籍などの限定的な物でしか手に入れる事が出来ず、限られた情報ばかりでしたが、現在はインターネットメディアなどで様々なトレーニング方法を気軽に手に入れる事が出来ます。
トレーニング方法が気軽に手に入る事は飼い主にとってメリットのある事なのですが、様々な情報に惑わされてしまう飼い主が多いのも事実なのです。
また、どんなに素晴らしいと思った方法を選択しても「ウチの子」に合っていなければ効果がないだけならまだしも、逆効果になってしまう可能性もあります。
100匹いれば100通りの個性があり、それぞれに合わせたトレーニングが必要なのです。トレーニングの基本を理解した上で愛犬をよく観察し、愛犬にとって最適な方法を選ぶことを筆者は「ウチの子式トレーニング」と呼んでいます。
トレーニングの基本
100匹いれば100通りと前述しましたが、犬の学習のメカニズムは基本的に同じで、簡単に説明すると以下の通りです。
犬の行動
↓
行動に随伴した結果(メリットがあったか、デメリットがあったか)
↓
強化or弱化(行動頻度が増えるか、行動頻度が減るか)
この3つの流れで基本的に犬は学習していきます。
例えば愛犬が、飼い主の問題としている行動を起こしたとします。この時に多くの飼い主は「なぜこんな事するの?」という問題の原因を解明する事だけに一生懸命になってしまいがちです。
もちろん原因の解明が出来ればそれに越した事はありませんが、多くの場合は原因の解明に一生懸命になる事よりも行動に随伴した結果の方が重要です。その瞬間の行動に対して随伴する結果次第で、行動を強化する事も弱化する事も出来るのです。
これは問題としている行動を消去する時だけではなく、正しい行動を教える時も同じです。
褒める事と叱る事
犬のしつけは褒める事が大事!というのは現代の多くの飼い主が耳にしたことがあるのではないかと思います。実際に、しつけ教室などでも「褒めて伸ばす」を掲げている所がほとんどと言っても過言ではない位です。
「褒めて伸ばす」事は学習理論に基づいた科学的根拠のあるトレーニング方法で間違いはないのですが、時には叱る事も大事だという事を飼い主の皆さんは覚えておいてください。
近年、褒めて伸ばす事のイメージだけが先走り、叱ることが出来ない飼い主を多く見かけます。ここで言う「叱る」という事は、No Reward Mark(以下 NRM)つまり「ご褒美を貰えない事を示す合図」でしかありません。飼い主が感情的になり叱りつける事とは全くの別物で、ただ単純にその瞬間の行動によって「ご褒美をあげる事ができなくなった」という事を伝えるだけです。
NRMは「ダメ!」や「ノー!」「いけない!」など、どんなコマンドでも構わないのですが、必ず守らなくてはいけない事があります。それは、愛犬が望ましくない行動をとった時には毎回NRMの合図を出す事です。
「さっきは叱ったけど今は面倒くさいからいいや」は絶対にいけません。
厳しい事を言うようですが、飼い主が一度決めたルールを飼い主自身が守れなくては、愛犬のしつけが上手くいくはずがありません。そして「褒める時は感情的に、叱る(NRM)時は冷静に」を忘れないでください。あくまでも、叱る=NRMでしかないのです。
しつけを行う上で最も重要な事
犬のしつけを行う上で大切な事はここで紹介した事以外にも沢山ありますが、スムーズにしつけを行う為には愛犬に合ったしつけ方を探す事が必要です。
ドッグトレーナーや訓練士などの専門家が犬のトレーニングのプロフェッショナルな事は言うまでもありませんが、大切な愛犬に関して一番のプロフェッショナルに飼い主の皆さんにはなってもらう必要があるのです。
愛犬の事をしっかりと観察するスキルを身につける事が、実はしつけを行っていく上で最も重要な事なのです。
まとめ
近年、しつけ方に関する情報はいつでも気軽に手に入れる事が出来ます。しかし、その情報が自分の愛犬に最適な方法なのか否かまでは中々知ることは出来ません。
飼い主の皆さんがしっかりと愛犬を観察する眼を持ち、愛犬に関して一番のプロフェッショナルになる事が出来れば、どのような問題が発生しても愛犬と共に乗り越える事ができるでしょう。
愛犬のしつけに疑問や悩みのある飼い主の皆さんは一度信頼の出来る専門家に相談してみる事をお勧めします。専門家を選ぶ際には、愛犬のトレーニングだけにとどまらず、飼い主の皆さんにもしっかりと指導してくれる人を選びましょう。
筆者が運営する、埼玉県のしつけ教室Tanpy’sでは飼い主のトレーニングに最も力を入れておりますので、お近くの方は是非一度ご相談ください。