犬の体の部位で気持ちを知ることができる
犬は言葉を話さない代わりに、カーミングシグナルと呼ばれるサインを出すことで、犬同士、あるいは人間に対して自分の気持ちを伝えようとします。そのカーミングシグナルに使われるのが、犬自身の体の部位です。
最も有名なものであれば、犬の尻尾はその子の気持ちを表しているという話です。これもカーミングシグナルの一種ですが、尻尾を振っているからといって必ずしも喜んでいるとは限りません。舌に丸まっている様子ならば怯えていますし、反対にピンッと立てながら振っている場合には怒っているということもあります。
このカーミングシグナルには、尻尾だけでなく、仕草や舌の出し方なども当てはまります。今回は「舌」に焦点を当てて見ていきましょう。
舌を出しっ放しにしている時の気持ちは?
まずは舌を出し放しにしている時の気持ちです。出しっ放しにしているというのは、犬の少々長めの舌をそのまま外へだらんと出している状態です。中には「ハァハァ」と荒い息をしていることもあるでしょう。このような時、どのような気持ちであるかを理解してあげることが大切です。
1.「何だか不安だな~」
まずは緊張や不安を表している可能性があります。特に飼い主さん以外の人にジッと目を見つめられている時、舌をだらんと外に出している場合には、「怖いな、不安だな」という気持ちになっていることがあります。決して喜んでいるわけではありません。
犬のカーミングシグナルの1つに相手の目をジッと見つめる時は、相手を威嚇、または警戒している時であるというものがあります。そのため、知らない相手に目を見つめられると「敵視されている」と犬は感じてしまうのです。
これにより、舌を出し「緊張しています」「不安ですよ」という状態を相手に伝え、尚且つ舌を出し息をすることで、自分の気持ちを落ち着かせようとしている心理も見えるのです。
2.「暑いなぁ~」
もしも夏場に舌を長時間出しっ放しにしているようであれば、それは愛犬が暑さを感じていることが関係しています。犬は暑いと感じた際、体内の温度を調節するために舌を出し、息をすることで体温調節しています。
そのため、もしも夏場に舌を出し、「ハァハァ」といつもより荒い息をしている場合には、すぐに冷房を強めに入れてあげたり、水分補給をさせてあげてください。
そのまま放っておいてしまうと熱中症になってしまう恐れがありますし、最悪の場合死に至る非常に怖い症状です。
3.リラックス状態
最初に舌を出しっ放しにしている時は緊張や不安を感じている時だという話をしました。しかし、時にはリラックス状態である場合に舌を出していることもあります。この時は、いつもより口角が上がっていますので、口元をしっかり観察してみてください。
また、リラックス状態の時は荒い息をしておらず、目元もトロ~ンと垂れ下がっていることがあります。いつも一緒に居る飼い主さんであれば、「いつもより目元も優しくなっているし、口角も上がってる」と気付くでしょう。
自分の口周りをペロペロなめる場合は?
舌を出しっ放しにするのではなく、チョロッと舌を出し、自分の口や鼻の周りをペロペロとなめている姿を見たことがある人も多いでしょう。この場合は、どのような心理状態なのでしょう。
4.「緊張しちゃう…」
やはり、先ほどと同じように、緊張や不安を感じていることが多いです。自分の口周りや鼻の先を舐めることで、犬は自分の気持ちを落ち着かせようとしているのです。
「なんだろう、緊張しちゃうな」「飼い主さんが怒っているかも…怖いな」というような心理が働いています。そのため、飼い主さんが叱っている時にこの仕草をした場合は、「怒られてる」という自覚がある事を意味しています。
5.「怒らないで、落ち着いて」
また、口の周りを舐めることによって、自分の気持ちを落ち着かせるだけでなく、犬同士であれば「怒らないで、もうわかったから」「お願いだから落ち着いてください」という気持ちを伝える意味もあります。一種の降参に近いかもしれませんね。
散歩中に他の犬と会い、相手の犬に吠えられた際に姿勢を低くし、尚且つ舌をペロペロと出している場合には、「あなたに危害は加えませんから、どうか落ち着いてください」という意思の表れです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。舌を出している時は、基本的に緊張や不安を表していることが多いです。しかし、中には体温調節をしている場合や、リラックスしている時にも見せることがありますので、その時の環境や愛犬の表情を細かく観察することが大切です。