しつけとは?
「正しいしつけ」とは何でしょうか。その定義は人によって異なるかもしれませんが、基本的にはしつけとは「犬が人間社会で生活するために必要なスキル」を教えることだと考えられます。重要なのは人間が好きなように芸を仕込むことではありません。もちろん叱ることで人間の思い通りにするものでもありません。しつけとは「犬」が「人間社会」で快適に生活すること、それが目的のものなのです。
例えば犬が野生で暮らす場合は自分が好きな場所で排泄をします。しかし、人間社会で、人間の家で暮らす場合、どこにでも排泄をされてしまうと困りますよね。飼い主さんは悪臭や掃除に追われます。そのことで犬にもつらく当たってしまうかもしれません。他にも、犬がお家の中でくつろいでいるときに、外を通る犬や車の音などに吠えることがあるかもしれません。そうなると犬にとっては家が安心できる場所になりません。常に警戒モードで過ごさなくてはいけなくなってしまいます。結果として、人間にとっても犬にとっても落ち着いた生活はできませんよね。
排泄は決められた場所で行うこと、外の何かに吠えないこと、これらは犬にとってストレスではありません。教えることで学習し、覚えることができます。それよりもルールを知らずに粗相をしたり、吠えてしまう事で叱られることのほうがよっぽどストレスとなってしまいます。
このように、犬が人間と同じ社会で共存するには、犬に守ってもらう必要のあるルールがあります。これを教えることがしつけです。大事なのはしつけをされることではなく、しつけをされないことの方が犬にとってはよっぽど不幸なのだということです。
しつけができている犬とできていない犬の差
しつけができていない犬の行動
実際に「しつけができている犬」と「しつけができていない犬」が人間社会で暮らす際、どういった差が出てくるでしょうか。しつけができていない犬の行動の例としては次のようなものが挙げられます。
- どこでも好きな場所に「排泄」をしてしまう
- 場所や相手を選ばずに「吠え」てしまう
- 相手を選ばずに「噛み付」いてしまう
これらの「排泄」「吠える」「噛み付く」といった状況を自由にさせ続けてしまう事で「飼い主のコントロールがきかない状況」になってしまいます。
また、これらのしつけがされていない場合、近隣住民にも迷惑がかかることが想像されます。犬の悪臭や吠え、噛みつき問題で苦情が発生し、一緒に暮らせなくなってしまうなんてことも考えられます。何よりもしつけをされずに嫌われ、叱られることで「犬自身が不安定」な気分となります。
しつけをしっかりと行わない事で、周りにいる人々にとっても、飼い主にとっても、犬にとっても生活する上で大きなストレスを強いてしまうのです。
犬にとっては当たり前
ここで一つ人間が忘れてはいけないことは、犬にとっての排泄、吠える、噛みつくといった行動は「当たり前の行動」であるということです。犬が好きな場所を選び排泄することは自然なことです。吠えることも、犬が自分の気持ちを表現する当たり前の行動です。噛み付くというのも犬の本能的な当たり前の行動なのです。犬からしてみれば、どれも当たり前の行動であって、吠えることも、噛みつきことも「そうせざるを得ない状況であった」というだけのことです。
しかし、当たり前のことであっても、人間社会では受け入れられないものでもあります。人間はそのことを前提として理解し、犬に教える必要があるのです。犬を飼育する上で、飼い主がまず「しつけ」とは何かを学ぶべきなのです。
排泄の場所を教える場合は、決められた場所で行うことで良いことがあるということを教えればいいのです。他人や他の犬に対して吠えかかるのであれば、なぜ吠えるのかを見極め、吠えないようにトレーニングを行う必要があります。これらは決して犬にとってはストレスではありません。トイレの場所を守れば嬉しいことが起き、吠える必要がないと理解できれば安心して暮らせるのです。
そしてこれらは人間が教えなければ覚えないものです。また、犬はとても賢い動物です。しつけだからといって、大きな声で怒鳴ったり、叩いたりしなくとも、トレーニングで覚えることができます。トレーニングは基本的には「褒める」ことで教えることができるものなのです。
まとめ
しつけがされていないことで人間社会から追い出されてしまう犬は未だに多くいます。しかし、しつけができていない犬が問題なのではなく「しつけができない人間」に全て責任があります。しつけができていない犬を生み出さないためには、飼い主が変わるしかないのです。犬を不幸にしないためにもしつけの重要性を理解し、犬の生態を学習したうえで犬が暮らしやすい生活環境を整えてあげましょう。