犬の脳は人間と似ている
アメリカのエモリー大学の神経科学者であるグレゴリー・バーンズ氏は犬がMRIの検査ができるように訓練をして、その結果様々な刺激に反応する際の脳の動きを調べました。
犬と人間は重要な脳の部位の構造や機能がよく似ているという結果になりました。
尾状核(びじょうかく)という部分で、大半の動物、特に哺乳類の脳には一般的に見られる部分です。ここにはドーパミン受容体が密集しています。
尾状核は本人が何かを期待しているときに活動が活発になります。
特にポジティブな情報のときには尾状核は特に強く反応します。
これは犬の脳でも同じで、この尾状核が活発なときには犬にとって重要なことであり、しかもしれが好ましいものであるということになります。
犬には感情がある!
神経の構造や科学的な性質が人間と似ているため、犬にも人間と似たような感情があると言われています。
具体的には人間の赤ちゃんが5歳になるまでに獲得する感情のうち、2歳から2歳半までの間の感情程度ならあるのではないか考えられています。
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学の心理学者であるスタンレー・コレン氏が調査したところ、犬には2歳から2歳半の人間の子どもと同じぐらいの知能があることがわかりました。
もしコレン氏の調査が正しければ、犬が持っているのは以下の9つの感情になります。
- 興奮、覚醒
- 苦痛、苦しみ
- 満足、快感
- 嫌悪
- 恐怖
- 怒り
- 喜び
- はにかみ、疑い
- 好意、愛情
犬は群れで暮らす生き物であるため、感情を共有してコミュニケーションを取ると言われています。
感情以外にも行動などを真似することもあります。
あくびはよく知られていますが、笑顔がうつったり、相づちを打つ犬まで居るようです。
共感することや共有することは犬が人間と暮らす上でとても大切なことなのです。
恥ずかしいという感情は?
2歳から2歳半までに獲得する感情以外の感情は持っていないと言われています。
具体的には「恥」「自尊心・プライド」「罪悪感」「軽蔑」といった少し複雑な感情は持っていないということになります。
例えば悪いことをしたときにする犬の反省顔ですが、これは反省しているのではなく飼い主さんの負の感情に犬が怖がって縮こまっている状態です。
また恥ずかしい顔も、もし飼い主さんが犬だったら恥ずかしいだろうという予測で決めてしまっているところがあります。
犬が人間が持っている感情と全く同じ感情を持っているわけではないということです。
悲しいという感情はある
犬は涙を流して泣くということはありませんが、ちゃんと悲しいという感情はあります。
犬が悲しむのは「期待はずれ」なときです。
例えば散歩に行くかと思ったら行かなかったり、おやつがもらえなかったり、がっかりするときに悲しい気持ちになります。
実はこれは悲しみよりも「喪失感」に近いと言われています。
そのため正確には人間が持つ「悲しみ」とは違うのですが、かなり似た感情だと言えます。
悲しいから泣く、ということはありませんが食欲が落ちたり引きこもったりといった行動をとることもあり、悲しみから何事も意欲がなくなるということはあります。なんらかの事情で急に家族がいなくなった犬は寿命が短いとも言われています。
また犬は励ましたりもすると言われています。
これは群れの仲間と感情を共有しようという気持ちであり、コミュニケーションのひとつでもあります。
気持ちがわかるしぐさ
犬の気持ちはちょっとしたしぐさから読み取ることができます。
日頃から観察して、犬の気持ちを読み取ってあげてください。
嬉しいとき、甘えたいとき
嬉しい気持ちを表現するときは耳を倒し、尻尾を力いっぱい振ります。口をあけて笑う子もいますね。
さらに気持ちが高ぶってくると尻尾を振りながらウロウロしたり、ちょっと鳴いてみたり、くしゃみをする犬もいます。
甘えたいときには飼い主さんの手を少し舐めて様子を探ります。
悲しいとき
犬にとって悲しいときはみんなが居なくなったときや、おやつや餌がもらえなかったときです。
部屋の隅で伏せた状態になり上目遣いで見てきたり、背中が丸まっていたりします。
全体的に元気がなく、はっきりと「落ち込んでいるよ」という感じですね。
怒っているとき
怒っているときのしぐさはとてもわかりやすいです。
鼻筋にシワを寄せ、歯をむき出しにしながらうなったり、姿勢を低くしたり、吠えたり……見てわかる行動をとります。
こういう時に触るのは用心してください。信頼関係が築けていなかったり、あまりにも興奮しているときは思わず咬むことがあります。
声をかけながら落ち着かせてあげてください。
まとめ
犬には感情があることがわかりましたが「恥ずかしい」という気持ちは持っていないようです。
飼い主さんから見た恥ずかしさであり、犬自体はあまり気にしていないようです。
嬉しい、悲しいといった感情はちゃんとあるので、犬と上手く付き合っていけるようにしましょう。