犬の問題行動の対処法

犬の問題行動の対処法

日々の暮らしに癒しを与えてくれるわんちゃん。ですがもちろん、飼い主が望まない、いけないことをすることもあります。この記事では、そんな「いけないこと」、すなわち「問題行動」の中でも、特に多くの方が悩む「無駄吠え」と「噛みぐせ」の二つに焦点をあて、それらの対処法について述べたいと思います。

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無駄吠えや噛みぐせ1

犬の問題行動の共通点

「無駄吠え」と「噛みぐせ」というそれぞれの問題行動に対する具体的な対処法を述べる前に、まずは犬の問題行動に対して飼い主がとるべき基本的な態度に関して述べたいと思います。

犬の問題行動に対して飼い主がとるべき基本的な態度は、「構わない」「無視をする」ということです。
これは、以下で述べる「無駄吠え」「噛みぐせ」に限らず、犬のあらゆる問題行動の対処法に共通して言える態度です。

なぜ、犬の問題行動に対してとるべき態度が、「構わない」「無視をする」ということなのか。
それは、犬にとって一番嬉しいのは、「飼い主さんに構ってもらうこと」、そのことに他ならないからです。

つまり、犬がある問題行動をした時、飼い主さんが「構わない」もしくは「無視をする」といった態度を示せば、犬は「これをしたら飼い主さんに構ってもらえないんだ」と認識し、その行動をしなくなります。

ですが、よくありがちな飼い主さんの態度が、犬が問題行動をした時に構ってしまうということです。

例えば、犬が無駄吠えをした時、「どうしたの?」「お腹空いたの?」などと声をかけたり、「うるさい」「やめなさい」などと叱ったりすることがあります。
ですがそれは、例え言葉の中身が叱る内容であろうとなかろうと、犬は「飼い主さんに構ってもらっている」と認識し、そのことを喜ぶのです。

結果として犬は「この行動をすれば飼い主さんに構ってもらえる、飼い主さんが来てくれる」と認識します。
ですから問題行動に対して飼い主さんが過剰反応して犬に声をかけたり接したりすることは、かえって問題行動を助長することにもなりかねません。

そのような理由から、問題行動に対しては徹底的に「構わない」「無視をする」という態度が大切なのです。

以上のことを踏まえた上で、以下「無駄吠え」と「噛みぐせ」という問題行動の具体的な対処法を述べたいと思います。



無駄吠えや噛みぐせ3

よくある犬の問題行動「無駄吠えの対処法」

ひとことに「無駄吠え」といっても様々なシチュエーションでの無駄吠えがありますが、今回は「家での無駄吠え」というシチュエーションを仮定して説明したいと思います。

愛犬が家で、特に何事もないのに吠えているとします。
そんな時は、徹底的に吠えに対して無視をしましょう。
「どうしたの?」「お腹空いたの?」などと声をかけてはいけません。

また、仮に室内飼いで犬が別室に居る場合、吠えたからといってその部屋に様子を見に行ったり、ケージ飼いの場合は、吠えたからといってケージを開けたりしてはいけません。
吠えることに対して徹底的に飼い主さんが無視をすれば、犬は「吠えていると飼い主さんに構ってもらえないんだ」と認識するようになります。

もちろん、たった一度無視をしただけでは、あまり効果はありません。
犬は繰り返すことによって、行動と結果をより結び付けて認識するようになります。

つまり、犬が何度吠えても、毎回徹底的に無視を貫くことで、犬は「吠える」=「構ってもらえない」と認識するようになるのです。
ですから、一度無視をしただけでは犬が吠えやまないからといって、「どうしたの?」「なんで吠えてるの?」「静かにしなさい」などと声をかけ、構ってしまってはいけません。

飼い主さんには、我慢強く「無視する」「構わない」といった態度を貫くことが必要なのです。

また、吠えに対して無視をすることもあるけれど、構うこともある、というように、同じ問題行動に対して毎回違った態度をとることは、犬が「これはやってもいいことなの?」「ダメなの?」と混乱する原因になるので、してはいけません。

同じ行動に対しては、常に一貫した態度をとることが必要です。
つまり無駄吠えに対しては、徹底的に無視をするという態度を貫きましょう。
何度も無視を続けてきたのに、我慢ならなくなって一度でも声をかけてしまえば、それまで続けてきた無視という対処法が水の泡になってしまいます。

また、同じ家で生活する他の家族がいる場合、家族全員で問題行動に対して態度を一貫させることが必要です。
ある人は無駄吠えに対して無視するけれど、ある人は吠えたら構ってしまう、というのでは、やはり犬は本当はそれが良い行動なのか悪い行動なのかわからず、混乱してしまいます。

もしくは、この人は吠えても構ってくれないけれど、この人なら吠えたら構ってくれる、と認識し、犬が人によって態度を使い分けるようになるかもしれません。

ですから同じ家に住む複数の家族がいる場合は「犬のこの行動に対してはこういう行動をとる」と決め、必ず全員で態度を一貫させておきましょう。
無駄吠えをしている間は無視をしますが、その代わり吠えていない時にはたくさん構ってあげたり、遊んであげたりしましょう!

そうすることで犬は、「吠えなかったらこんなに構ってもらえた!」と思うようになり、「吠えないことで良い事がある」と認識します。

また、吠えていて、吠え止んだ時に褒めてあげることも効果的です。
そうすることで犬は、「吠えないのは良いこと」「吠えなければ構ってもらえる」と認識します。

以上が無駄吠えに関する対処法です。

もちろん、無駄吠えをしている時に無視して吠え続けさせておくというのは、犬の声の大きさや時間帯などによっては、近所トラブルの原因になることも考えられるので、その点は注意し、状況に合わせて対応してください。

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よくある犬の問題行動「噛みぐせの対処法」

無駄吠えや噛みぐせ2

続いて、噛みぐせの対処法について述べたいと思います。
今回は、噛みぐせの中でも、「人の手を噛む」という行動に焦点をあて、その対処法を説明したいと思います。

基本的には、噛まれたら無視をする、噛まれたら犬を構わない、という態度をとるという意味では、上記の無駄吠えの対処法とさほど違いはありません。

ただし異なる点は、無駄吠えの場合はあらかじめ構っていない状態から、犬が吠えてもそのまま構わない、という態度をとりますが、噛みぐせの場合は、犬を構っていた状態から、噛まれたら構うのをやめる、という態度をとります。

具体的に説明すると、例えば愛犬と一緒に遊んでいて、愛犬に手を噛まれた場合、噛まれた瞬間に遊ぶのをやめます。
噛まれた瞬間に、大きな声で「痛い!」とひとことだけ言いましょう。

これは、子犬などは犬どうしで甘噛みし合ってじゃれ合い、どの程度までなら噛んでも大丈夫なのか、ということを学習するとされていますが、その際、本当に痛かった時、犬は「キャン!」とひとこと鳴きます。

それによって犬は、「ここまでやったら痛いんだ」と学習します。
そうしたことに由来し、人間も犬に噛まれた瞬間にひとこと「痛い!」と言うことで、犬はそれがいけない行動だったのだと認識します。

そして噛まれた瞬間に遊ぶのをやめることで、「手を噛んだら飼い主さんに構ってもらえないんだ」「手を噛んだら飼い主さんと遊ぶ楽しい時間が終わってしまうんだ」と犬は学習し、甘噛みをしなくなります。

「噛まれたら構わない」という態度をはっきりと犬に示すためにも、噛まれた瞬間、犬に背中を向けてしまいましょう。
もしくは、家の中などで犬と一つの部屋の中に一緒にいる場合、噛まれた瞬間に部屋から出て行ってしまいましょう。

噛まれたら犬に話しかけないだけでなく、目も合わせてはいけません。
アイコンタクトも、犬にとっては嬉しいコミュニケーションの一つなのです。

噛まれた瞬間に構うのをやめる、ということですが、そうした構わない時間、無視する時間は、長くなくて構いません。
噛まれた後に構わない時間が長ければ長いほどいい、ということではありません。

構わない時間を長くしたからといって、噛んだことで構ってもらえなくなった、という認識は犬の中で一瞬で終わってしまい、長い間は持続しません。

むしろ、一度噛まれたら構うのをすぐにやめて犬に背中を向ける、もしくは部屋から出て行く、そしてまた少ししたら構ってあげ、また噛まれたらまた犬に背中を向けるもしくは部屋から出て行く、といった行動を何度も繰り返すことで、犬は「噛む」=「構ってもらえない」、「噛む」=「楽しい時間が終わってしまう」と結び付けて学習します。

噛まれて構うのをやめてから、また構ってあげるまでの時間は、30秒ほどで十分です。
その時間を長くとることよりも、噛まれたら構うのをやめる、を何度も繰り返すことが大切なのです。

以下は、上記の無駄吠え対処法とほぼ同じ説明になってしまいますが、この噛みぐせ対処法においても同じことが言えるので、再度記述したいと思います。

ある時は噛まれたらその瞬間に構うのをやめるけれど、ある時は噛まれてもそのまま構い続ける、というように、同じ問題行動に対してその時ごとに違った態度をとることはやめましょう。

犬が「手は噛んでもいいの?噛んだらいけないの?」と混乱する原因になります。
同じ問題行動に対しては必ず徹底して同じ対応をすることが必要です。

また、同じ家で生活する家族全員で、態度を一貫させることも必要です。
ある人は噛まれたらその瞬間に構うのをやめるけれど、ある人は噛まれてもそのまま構い続ける、声をかけ続ける、というのでは、それもまた犬が「人の手は噛んでもいいの?いけないの?」と混乱する原因になってしまいます。

もしくは、この人の手は噛んではいけないけれど、この人の手なら噛んでも大丈夫、というように、犬が人によって態度を変えるようになるかもしれません。

ですが、冷静な時はこの人はダメ、この人ならOKという使い分けが出来ても、外で興奮している時などは、そうした使い分けも出来なくなり、最悪他人を噛んでしまって裁判沙汰になる…なんてこともあり得ないことではありません。

ですから、家族全員で必ず態度を一貫させ、とりわけ噛みぐせに関しては、きちんと徹底したしつけを行っていくことが大切です。

以上が噛みぐせに関する対処法です。



無駄吠えや噛みぐせ4

犬の問題行動に関するまとめ

今回の記事では、犬の問題行動の中でも特に「無駄吠え」と「噛みぐせ」という二つに焦点をあて、簡単ではありますがその対処法を書かせていただきました。

これらの方法は、ドッグトレーナーでも獣医師でもない一飼い主である私が、愛犬を育てていく中で、しつけに関する本を読んだり、インターネットで調べたり、トレーナーの方に相談させていただいたりなどして最終的に辿り着いた方法です。

同じ問題行動への対処法にも、言われている色々な方法があり、人によっても信じる方法が違えば、犬も特定のマニュアルがあるわけではない生き物なので、その子に合う方法、合わない方法があります。

私としては、問題行動含め犬のしつけに関しては、ある程度の「こうすべき」というマニュアルこそあれど、最終的には自身の愛犬に合ったしつけ方を試行錯誤し、良い方法を見つけていくことに限るのではないかと考えています。

ですからこの記事で書かせていただいた一連の方法が、必ずしも読んでくださっている皆さんのわんちゃんに合うかどうかはわかりませんが、少なくとも我が家の愛犬には効果があった方法なので、少しでもこの記事が犬の問題行動に悩む方々のお役に立てば、と思い、書かせていただきました。

私自身の愛犬は、我が家に迎え入れて1年弱ですが、迎え入れ当初は、ケージ飼いなこともあって無駄吠えも酷く、人の手を甘噛みする噛みぐせもありました。
ですが今回この記事で書いた方法を実践したところ、無駄吠えは一切なくなったどころか、吠えることすらほとんどなくなり、甘噛みもだいぶ改善されました。

ですからこの記事が、ほんの僅かでもしつけに悩む皆さんのお役に立てれば幸いです。

以上、犬の問題行動、「無駄吠え」、「噛みぐせ」対処法についてでした。
愛犬のためにも、しつけをきちんと行い、愛犬との充実した楽しい毎日を過ごしましょう!

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