「無視」のしつけ
犬のしつけの方法として「無視をする」というものがあります。この無視をすることは、しつけにおいて有効に働く場合もありますが、間違った方法やタイミングで行ってしまうと逆効果となる場合があります。
今回は無視をする時に気を付けたい3つのポイントをご紹介します。
「無視」をする時のポイント
1.行動の目的を見極める
無視をすることが有効なのは「犬が人に構ってほしい」時に見せる行動に対してです。例えば人に構ってほしいために「甘噛みをする」「吠える」「飛びつく」といった行動が見られた場合、これらは全て人間にとっての問題行動となってしまうため、覚えさせたくない行動です。
これらの行動をした際に飼い主が反応して構ってしまった場合、「構ってほしい」という犬の目的は達成されます。これらの行動をおこなえば構ってもらえると学習した犬は、その後も同じ行動を繰り返してしまい、結果として問題行動となってしまうのです。こういったケースは犬の目的が達成されない状況を作ること、つまり、無視をすることが有効になります。また、これらの問題行動をやめた際には、タイミングを見て褒めることも大切です。
「無視をする」というしつけは、犬をしつける場合に用いられる学習パターンの一つ、『負の弱化(ご褒美などの刺激を取り除くことで行動を弱化させる)』を行うことになります。この後に「問題行動を行わないこと」を褒めることで『正の強化(ご褒美などの刺激を与えられることで行動を強化させる)』をすることが可能となります。
なお、ここで注意したいのは「構ってほしい」ことが目的でなく、上述した問題行動を行う場合があります。そのためなぜ犬がその行動をしているのかというのは、犬を観察することで見極める必要があります。
2.まずは信頼関係を築く
無視をすることが犬にとって「罰」となるのは、飼い主と犬の間に深い信頼関係がある場合です。無視されてつらいからこそ、それが罰となり学習が進みます。しかし、そこに信頼関係がない場合、犬は無視されても深く考えずにつらいと感じることはないため、無視の効果は期待できません。効果がないどころか「飼い主は自分に興味がない」と感じさせ、無視をすることで信頼関係がますます築けない関係になってしまう恐れもあります。まずは、信頼関係を築いてこそ、有効なしつけであることを覚えておきましょう。
3.メリハリをつける
無視のしつけにおいては「メリハリ」も重要になります。例えば問題となる行動をしたからといって、感情に任せて長時間に渡って無視をしてしまった場合、犬は「なぜ無視されるのか」が理解できません。 そのため2と同じように、信頼関係を築くことが難しくなってしまいます。 無視をするのは、やめさせたい行動を犬がやめたら、そこで終わりです。信頼関係を壊さないためにも、いつまでも無視をしないように注意してください。
まとめ
- 行動の目的を見極める
- まずは信頼関係を築く
- メリハリをつける
可愛い愛犬を無視するというのは、飼い主にとってもつらい行動です。しかし、問題行動を何度も繰り返して叱られてしまう方が、犬にとっても飼い主にとっても嬉しくありませんよね。問題行動であることを一度覚えさせてしまえば、何度も繰り返すことはありません。むやみに犬を叱り続けないためにも、無視のしつけは有効なしつけになるのです。
また、しつけを行う上では、まずは信頼関係を築くことは大前提です。たくさんコミュニケーションを取る中で、少しずつしつけを進めましょう。ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にしてみてくださいね。