一人暮らしでも犬は飼えますが、簡単なことではありません
一人暮らしは自由を満喫できる一方で、寂しさを感じることもありますね。そんなとき、犬が好きな人なら「犬を飼いたいなぁ…」と思うのではないでしょうか。
もちろん、一人暮らしであっても犬を飼うことはできます。ですが、犬を飼うのは簡単なことではありません。命あるものと一緒に生活するのですから当然、これまでなかった負担や責任が生じます。行動が制限されることもあるでしょう。
同居する家族がいれば、その負担や責任を分け合うことができますが、一人暮らしの場合は負担も責任も一手に背負わなくてはいけません。
犬との楽しい生活を送るためにはそういった面にもきちんと目を向け、十分理解してから犬を迎え入れることが大切です。
そこで今回は、一人暮らしで犬を飼うときに知っておいてほしいことをご紹介していきたいと思います。
犬を一人で飼うとき①:ペットを飼える物件かどうか
ペット飼育が可能な物件に住んでいること。犬を飼うためには、まずこの条件をクリアしていなくてはいけません。
ペット禁止の物件でこっそり飼うのはトラブルの元です。ペット禁止の物件であるにも関わらず犬を飼っていることが発覚した場合、違約金が発生したり、退去になるケースもあります。
以前私は、ペットの飼育が禁止されている集合住宅に住んでいたのですが、階下のお宅では犬を、階上のお宅では猫を飼っていました。管理会社に通報はしませんでしたが、本人はこっそり飼っているつもりでも鳴き声やバタバタと走り回る音などで近隣の住人にはすぐにわかるものです。
ペット禁止の物件でこっそりと犬を飼ってそれが発覚して、困り果てて犬を手放すなどという無責任なことは絶対にしないで下さい。
犬を飼うなら必ずペットの飼育が可能な物件に住み、飼育可能なペットの頭数や種類、大きさなども確認した上で犬を迎え入れましょう。
犬を一人で飼うとき②:お金がかかる
犬を飼った場合の経済的な負担を甘く見てはいけません。想像以上にお金がかかります。
初期費用
まず犬を飼うときの初期費用として、
- 畜犬登録
- 狂犬病予防接種
- 混合ワクチン接種
- 健康診断
などで2~3万円かかります。
上記以外にも
- ケージ
- 食器
- 散歩グッズ
- トイレ
など犬の生活用具を一式そろえるのに2万円以上かかるでしょう。
毎月かかる費用
犬を飼い始めたら、消耗品に毎月お金がかかるようになります。
ドッグフード代は、どの犬にも必ずかかります。犬の大きさやフードの内容によって差が出ますが、月に数千円以上はかかるはずです。
室内犬であればこれにペットシーツ代もかかり、毎月の消耗品費は合計で1万円前後と見たほうがいいでしょう。
毎年かかる費用
毎年かかる医療費もあります。
- 狂犬病予防接種
- 混合ワクチン接種
- フィラリア予防薬
- ノミダニ予防薬
- 健康診断
狂犬病予防接種以外は義務づけされていませんが、犬を病気から守るためにワクチンの接種や予防薬の投与を行うのが一般的です。また、病気の早期発見のために健康診断も行ったほうがいいでしょう。
これらの医療費に、毎年合計で3~5万円程度用意しておく必要があります。
臨時でかかる費用
臨時でかかる費用もあります。
例えば
- トリミングサロン代
- ペットホテル代
- 病気やケガの治療費
- 去勢避妊手術費
などです。
こうした臨時の出費に備え、予備費を確保しておく必要があります。
このように、犬を飼うにはかなりお金がかかります。自分の生活費だけで精いっぱい…という状況ならば、犬を飼うのは難しいと言えるでしょう。
犬を一人で飼うとき③:時間、体力、根気も必要
犬を飼うにはお金が必要ですが、時間と体力、そして根気も必要になります。
犬の世話をする時間はありますか?
犬を飼うと
- 散歩
- 食事
- ケージやトイレなどの掃除
- ブラッシングなどのお手入れ
といった世話が必要になり、特に子犬は食事や排泄の回数が多くて手がかかります。これらの世話をこなすにはそれなりの時間が必要です。
毎日散歩へ行く時間と体力はありますか?
犬にとって散歩はとても大切なものです。
ペットショップでは「この犬種は家の中で動き回れば十分ですから、忙しくてお散歩が行けない人でも飼いやすいですよ」などと小型犬を勧めてくるかもしれませんが、散歩の目的は運動だけではありません。
散歩は犬のストレス解消になりますし、社会性を身につけたり、脳に刺激を与えることができます。また、飼い主とのコミュニケーションの時間にもなります。ですから、健康上に問題がない限りはどの犬も基本的に毎日の散歩が必要です。
たかが散歩、されど散歩。散歩には時間ばかりではなく、体力も必要になります。毎日仕事が忙しくてぐったり…という人にはきついかもしれません。
犬にしつけをする時間と根気はありますか?
犬が人間と一緒に暮らすためにしつけは必須です。トイレのしつけ、「オスワリ」や「マテ」などの基本的なコマンド、むやみに吠えてはいけないこと、噛みついてはいけないことなど教えてなくてはいけないことがたくさんあります。
犬にしっかりしつけを行い、人間社会のルールやマナーを守れるようにするのは飼い主の責任です。
しっかりしつけを行わないと、無駄吠えをしたり、他人や他犬に噛みつくなどの問題行動を起こすようになり、人間と一緒に暮らすことが難しくなることさえあります。
犬は賢い動物ですが、教えたことを一度で覚えることはほとんどないと言っていいでしょう。飼い主が何度も何度も繰り返し教えて、犬は覚えていくのです。
ですから、時間と根気がない人には犬をしつけることはできません。
犬を一人で飼うとき④:自分の代わりに犬の世話を頼める人を探しておく
一人暮らしで犬を飼うのなら当然、犬の世話をするのは自分一人です。
ですが、自分自身が病気やケガで入院したり、仕事で出張をすることもあるかもしれません。そんなとき、自分の代わりに犬の世話をしてくれる人が必要になります。
ですから、いざというときに備えて犬の世話を頼める人を探し、お願いしておかなくてはいけません。
家族や友人などに頼める人がいないのであれば、信頼できるペットシッターやペットホテルを利用することも可能ですが、その費用はばかになりません。
犬を一人で飼うとき⑤:介護や看病が必要になる
犬は私たち人間よりも速いスピードで年老いていきます。今は犬も高齢化社会で、介護が必要になることがあります。また、犬の年齢に関係なく病気やケガで看病が必要になることも考えられます。
同居する家族がいれば交代でできますが、一人暮らしである場合は自分一人で介護や看病をしなければなりません。
犬を一人で飼うとき⑥:犬は独りぼっちが苦手
犬は留守番ができます。だからこそ、一人暮らしや共働きの家庭でも犬を飼うことができるのですが、実は犬は基本的に独りぼっちが苦手。
元来犬は仲間と一緒に生活する動物であるため、一人で過ごすことに不安やストレスを感じやすいのです。
ストレスからくる問題行動
- 吠え続ける
- 物を壊す
- 食欲がなくなる
- 粗相をする
- 足をなめ続ける
自分が仕事に行っている間犬を留守番させるのなら、上手に留守番できるようにしてあげなくてはいけません。
上手に留守番させるコツ
上手に留守番できるようにするためには、段階的に留守番に慣らすことが大切です。そのため、長期休暇のときに犬を迎え入れるのがオススメです。長期休暇中であれば、犬が一人で過ごす時間を少しずつ増やして留守番に慣らすことができます。
留守番が上手な犬は、きちんと留守番の環境を整えてあげれば一人遊びをしてから寝て過ごして、飼い主の帰りを待つことができます。
まとめ
犬はきっと、一人暮らしのあなたの素晴らしいパートナーになってくれるでしょう。ですが、犬は手がかかるペットです。「寂しいから」「癒しがほしいから」という理由だけで犬を飼ってしまうと、後悔することになるかもしれません。
一人暮らしで犬を飼う場合、散歩を含めた世話やしつけから介護まで全て自分一人でやらなくてはいけません。つまり、一人暮らしで犬を飼うということは、犬を飼うことによって生じる全ての負担や責任を自分一人で背負うということなのです。
そのことをしっかりと理解し、犬の面倒を最期まで見る覚悟を持って犬を迎え入れましょう。