犬が人間社会で暮らすためには、さまざまなトレーニングが必要です。トレーニングがされているということは、犬を危険から守ることにもなるのです。
そんなトレーニングを行う前に覚えさせたい「マグネット遊び」もしくは「マグネット誘導」と呼ばれる基本トレーニングがあるのをご存知ですか?散歩やオスワリのトレーニングで役に立つといわれており、まさにトレーニングのためのトレーニングです。
今回は、そんな犬のトレーニング法の一つでもある「マグネット遊び」についてご紹介します。
マグネット遊び(マグネット誘導)とは
マグネット遊び(マグネット誘導)とは、「犬の鼻先」と「おやつを握った人間のこぶし(グーの手)」を「マグネット(磁石)」に見立ててコントロールするトレーニングのことです。犬の鼻が黒いことが多いことから、この黒い鼻先をマグネットちなんでこの名前がついたそうです。
このマグネット遊びができるようになると、散歩やオスワリのトレーニングの際に犬の動きをコントロールすることができます。犬の体を無理やりおさえたりせずに、してほしい行動へと導くことができる基本のトレーニングなのです。
トレーニング方法
実際にどうやってトレーニングをするのかみてみましょう。
フードを握る
まずは、指令先となる人間のこぶしにフードを握ります。握ったこぶしは「手の平が上に向く」ようにしましょう。
ここで、「フードをつまむように持つこと」「と「見せびらかすこと」はNG。つまんで持つと指に噛みつかれる可能性があり、見せびらかすことで犬がフードが見えなければコントロール出来ないようになる可能性があるためです。
監修ドッグトレーナーによる補足
マグネット遊びのトレーニングを行う前に、「フードを握る手」を左右どちらにするか決めておくことが大切です。トレーニングする度に握る手が違ってしまうと、犬が混乱してしまいます。
しつけやトレーニングでは、指示のコマンドだけでなく、動作も統一することが大切。そうすることで、しつけもスムーズに進みやすくなりますよ。
握りこぶしに集中させる
次に、フードを握ったこぶしをパーの形に開き、犬にフードを与えましょう。ここで大事なのは、犬が握りこぶしの中にフードがあることを認識し集中の対象を握りこぶしに向けることです。
握りこぶしを覚えさせる
手に集中させたら、握りこぶしを犬の鼻先から少し離します。この時に犬が自分の鼻先をこぶしにくっつけてきたら、褒めてフードを与えます。
犬が落ち着きなく無理やりフードを奪うような形になった場合は、一度落ち着かせてやり直しましょう。大事なのは、「握りこぶしを追うといいことがある」と認識させることです。
握りこぶしを追わせる
犬が「握りこぶしを追えばいいことがある」と覚えたら、フードを握っていなくとも握りこぶしを目で追うようになります。握りこぶしでのコントロールが出来るようになれば、フードは握らずにコントロール後にご褒美を与える形にしましょう。
握りこぶしを使ったマグネット遊びができるようになったら、散歩の際の誘導やオスワリ、フセ、ジャンプ、足くぐりの際に、こぶしを追わせることで効果を発揮します。トレーニングを始める前の基本トレーニングとして、ぜひ握りこぶしを追わせるマグネット遊びを学習させてみましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
トレーニングを覚えやすくするためのポイントとして、「手の高さ」「鼻と手の距離感」「犬から見た手の形」を意識しましょう。
フードを握る手と合わせてこれらも常に統一することで、犬から見た時に分かりやすいサインとなり、トレーニングも上手く進むようになりますよ。
まとめ
マグネット遊びのトレーニングは、
- フードを握る
- 握りこぶしに集中させる
- 握りこぶしを覚えさせる
- 握りこぶしを追わせる
以上の4つがポイントです。
犬が人間と共に快適で安全に暮らすためには、さまざまなトレーニングが必要です。飼い主さんがコントロールできるということは、いざという時に愛犬の危険を回避することにもなります。特に散歩の際はしっかりと飼い主さんによるコントロールが必要ですよね。また、マグネット遊びの際は必然的に飼い主さんのこぶしに注目することになるので、マテのしつけでも効果も発揮します。さまざまなトレーニングを行う前の基本として、ぜひマグネット遊びを習得させてくださいね。
監修ドッグトレーナーによる補足
マグネット遊びは、「ターゲットトレーニング」とも呼ばれることがあります。ターゲットトレーニングとは、主にイルカのトレーニングで使われている方法で、ターゲットの長い棒の先にイルカが口先でタッチすることで報酬がもらえるようにします。
同じようなトレーニング方法でも、多角的な視点から情報を集めることで、より理解を深めることにも繋がります。更にトレーニングを上達させたい方は、こちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。
▼「犬のターゲットトレーニング」について知りたい方はこちら