犬が前脚をあげているときの気持ちとは?
犬が前脚をあげている時、どんな気持ちなのでしょうか。
実際、前脚をあげるしぐさをする前後の状況でも変わってくるため、状況をよく理解することが重要です。犬がどんなタイミングで前脚をあげているのか、よく観察してみましょう。
1.期待している
お散歩の時間や遊びの時間、ごはんやおやつを前にした時に脚をピョンとあげる。これらは犬にとって嬉しい時間がくる”期待”の気持ちの表れです。嬉しくて前脚があがっていると思うと、とても愛らしく感じますよね。
この”期待”とよく似ているのが”要求”の前脚あげです。これは過去に前脚あげをした際に「飼い主さんが自分の言うことを聞いてくれた」という学習経験をもとに、「飼い主を思い通りにしよう」という支配欲求からおこなうものです。
このケースの前脚あげは、繰り返すことでしつけに必要な上下関係が曖昧になる可能性があるので、やめさせた方がいいかもしれません。(無視することで行動しなくなります)
2.不安を感じている
犬は”不安”を感じている時も前脚をあげることがあります。
”不安”と”期待”とは感情面では大きく違いますが、前脚あげといういっけん同じ行動をします。これらの違いは他のしぐさや身体の部位、状況を見ると明らかになります。
例えば、不安を感じて前脚をあげている場合、以下のようなしぐさが同時に見られます。
- 耳が後ろに下がっている。
- 尻尾が下がっている、お腹の方向へしっぱを丸めている。
- 下あごが下がっている。
- 白目が見えている(クジラ目になっている)。
前脚あげと同時に上記のようなしぐさが見られる場合、不安を感じているため注意が必要です。状況に応じて不安を取り除いてあげましょう。
また、不安を感じた犬は、前脚を「あげる」のではなく「隠す」ことがあります。
物陰に隠れて伏せの姿勢で前脚を隠している場合、強い恐怖や不安を感じている可能性があります。
こういった場合は、飼い主であっても無理に手を出すことで恐怖心からパニックとなり、噛みつく恐れがありますので注意が必要です。
3.警戒している
体格が良かったり、堂々としていたり、年齢が上だったり、いわゆる「格上」と思われる犬との対峙。このタイミングで犬が前脚をあげていた場合、それは”警戒”の前脚あげだと考えられます。
強い警戒心から身体が立ち上がることで、前脚があがっている可能性があります。このケースでは前脚あげと同時に以下のようなしぐさが見られます。
- 耳がピンと立っている。
- 目線が相手から逸れている。
- 尻尾が高く立っている、上がっている。
- 尻尾を小刻みに激しく振っている。
強い警戒心が恐怖に変わった場合、お互いに一触即発で怪我を負う可能性もあるので、飼い主さんが制御できる範囲での交流にとどめるようにしましょう。
この行動は相手が犬以外でも同じく、人間や他の動物も含めて警戒心を感じた際に行われます。
なお、相手に体の側面を見せ、目線も合わせていない場合は、警戒心と共に「自分は敵ではない」とアピールしていると考えられます。
まとめ
ひざに顔を乗せてくる、じっと見つめてくる、大きなあくび…これらの行動と同じく、とっても可愛らしく感じさせてくれる前脚あげ。状況によって異なる感情をもとに行動していることが分かりました。
”期待”の前脚あげの場合はいいですが、”不安”や”警戒”からくる行動の場合は、犬にとっても大きなストレスになる可能性があります。飼い主さんが状況を察知して取り除いてあげる、もしくは遠ざけてあげましょう。
同じように見えたり、可愛らしく見えるしぐさでも、犬にとっては人間が思っていたものとは違う感情だったということが多くあります。言葉を話せないからこそ、しぐさや行動から少しでも愛犬のことを理解できるようになり、更に強い繋がりを築いていけたらいいですね。