垂れ耳だけが原因じゃない?!321頭の調査で分かった「外耳炎になりやすい犬の特徴」【最新研究を獣医が解説】

垂れ耳だけが原因じゃない?!321頭の調査で分かった「外耳炎になりやすい犬の特徴」【最新研究を獣医が解説】

「外耳炎は垂れ耳の犬に多い」とよく言われますが、最新の321頭を調査した研究では、耳の形だけでは説明できない多くの原因が見つかりました。本記事では、外耳炎になりやすい犬の特徴を、やさしい言葉で解説します。

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記事の提供

東京大学動物医療センター内科研修過程修了。一般診療と皮膚科専門診療を行い、国内・国外での学会発表と論文執筆も行う。現在は製薬会社の学術担当を務めながら、犬猫について科学的に正しい情報発信を行っている。Syneos Health Commercial 所属MSL、サーカス動物病院 学術、アニー動物病院 非常勤獣医師。

外耳炎は“どの犬にも起こりうる病気”だという事実

耳の形や犬種が異なる3頭の犬

外耳炎は、耳の穴から鼓膜までの通り道に炎症が起きる病気です。かゆみ、赤み、におい、黒い耳だれなど、飼い主が日常的に気づきやすいトラブルとしてよく知られています。しかし「垂れ耳の犬に多い」と思われがちな一方で、今回の321頭を調べた研究では、耳の形だけでは外耳炎のリスクを説明できないことが明らかになりました。

研究に参加した犬たちは、健康診断や治療のために動物病院を訪れた犬で、犬種も年齢もさまざまでした。その中で外耳炎を持っていた犬は多く、犬種や性別、体重、生活習慣など、さまざまな項目が調べられました。結果として、「特定の耳の形」「特定の犬種」だけが原因で外耳炎が起きているわけではないことが示されました。

外耳炎は、耳の通気性だけでなく、皮膚の状態、体質、アレルギーの有無、毛の量、耳の中の湿度、普段の耳の触り方など、多くの要因が重なって起きる病気です。つまり、耳が立っている犬でも、垂れている犬でも、どの犬でも外耳炎になる可能性があり、普段から耳をよく観察しておくことが大切です。

では、一体どのような犬が外耳炎になりやすいのでしょうか。耳が垂れているかどうかだけでなく、「体の作り」「皮膚のタイプ」「犬種に関連する特徴」まで含めて、多角的に考える必要があります。

調査で明らかになった「外耳炎になりやすい犬の特徴」

後ろ足で耳を掻いている犬

321頭の調査では、外耳炎に関わるさまざまなリスクが明らかになりました。まず分かったのは、体重の重さが外耳炎と関係しているという結果です。特に、体が大きい犬ほど外耳炎を持っている割合が高く、体重が多いほど耳の環境が湿りやすくなったり、皮膚のトラブルを抱えやすくなる可能性があると考えられています。

犬種についても詳しく調べられました。一般的に「外耳炎が多い」と思われている犬種は確かに存在します。たとえば、コッカー・スパニエルやプードルの一部は耳道に毛が多く、通気性が悪くなりやすいとされています。しかし、今回の調査では「耳の毛の量」よりも、「皮膚の弱さ」や「アレルギーを持っているかどうか」の方が外耳炎の発症とより強く関わっていることが示されました。

つまり、耳の中の毛を抜くかどうかよりも、皮膚の体質やアレルギーの有無の方が大きな要因になっているということです。

さらに興味深いことに、耳が立っている犬でも垂れている犬でも、外耳炎の発症率に大きな差は見られませんでした。垂れ耳の犬は確かに耳の通気性が悪くなりやすいのですが、“耳の形そのもの”よりも、体全体の皮膚の強さやアレルギーの有無が影響していたのです。

外耳炎の予防は「耳を触る前」に始まっている

メジャーを体に巻いて体重計に乗っている犬

外耳炎は、耳の掃除の仕方だけでなく、日常の過ごし方が大きく影響します。耳の形だけでは説明できない外耳炎のリスクが多い以上、毎日の生活を見直すことが予防につながります。

まず、体重管理は非常に重要です。体が重くなると皮膚の状態が乱れやすくなり、湿気がこもりやすくなることで耳の中の環境も悪化しやすくなります。適正体重を保つことは健康全体に良い影響を及ぼすだけでなく、外耳炎の予防にも役立ちます。

また、皮膚が弱い犬やアレルギーを持つ犬は外耳炎になりやすいため、食事や環境を整えて皮膚の状態を良く保つことが大切です。季節によって外耳炎が悪化する犬も多く、湿度が高い時期は注意が必要です。

耳掃除についても誤解が多い部分です。耳を触りすぎると逆に炎症を引き起こしてしまうことがあります。耳の汚れは「必要な時だけ」「優しく」「獣医師に指導された方法」で行うことが大切です。特に外耳炎が再発しやすい犬は、耳のケア方法を一度獣医師に確認しておくと安心です。

外耳炎は繰り返すことが多い病気ですが、その背景には体質や生活習慣が深く関わっています。今回の321頭の調査でも、耳の形や毛の量だけでは説明できない“体全体の特徴”が大きなリスクになっていることが示されました。

まとめ

獣医師に耳鏡で耳をチェックされている犬

321頭を調べた研究では、外耳炎は耳の形だけではなく、体重、皮膚の体質、アレルギー、生活環境など多くの要因が関係していることが分かりました。耳だけに注目するのではなく、日常のケアと体全体の健康が予防の鍵となります。

(参考文献:Animals (Basel). 2024 Aug 31;14(17):2537.)

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