犬の糖尿病管理について|適切な食事の与え方から運動の重要性まで【獣医が解説】

犬の糖尿病管理について|適切な食事の与え方から運動の重要性まで【獣医が解説】

犬の糖尿病管理において、適切な食事管理と運動は非常に重要です。本記事では、初心者でも実践しやすい食事の工夫や運動のポイント、最新の獣医療知見をもとにした日常ケアについて詳しく解説します。

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記事の提供

東京大学動物医療センター内科研修過程修了。一般診療と皮膚科専門診療を行い、国内・国外での学会発表と論文執筆も行う。現在は製薬会社の学術担当を務めながら、犬猫について科学的に正しい情報発信を行っている。Syneos Health Commercial 所属MSL、サーカス動物病院 学術、アニー動物病院 非常勤獣医師。

犬の糖尿病とは?症状と診断の基礎知識

ぐったりする犬

犬の糖尿病は、インスリンの分泌や作用が不足し、血糖値が高い状態が続く病気です。主な症状には「多飲多尿」「体重減少」「食欲増加」「治療せず放置しておくと元気消失に至ってしまう」などがあります。特に中高齢の犬や避妊済みの雌犬で発症しやすい傾向があります。

糖尿病の診断は、血液検査や尿検査で高血糖と尿糖の有無を確認し、必要に応じて追加の検査を行います。糖尿病は放置すると白内障や感染症、ケトアシドーシスなど重篤な合併症を引き起こすため、早期発見と継続的な管理が重要です。

過去の報告でも、糖尿病を持つ犬は白内障や炎症性疾患のリスクが高いことが示されており、全身状態のコントロールが目の健康にも直結することが分かります。

食事管理のポイント:血糖コントロールの基礎

ごはんと犬

糖尿病犬の食事管理は、血糖値の安定化と体重維持が目標です。以下のポイントを押さえましょう。

  • 食事の基本:決まった時間に、決まった量を与える。インスリン投与と食事のタイミングを一致させることで、血糖値の急激な変動を防ぎます。
  • 高繊維低脂肪のフードを選ぶ:食物繊維は糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑えます。市販の糖尿病用療法食や、獣医師が推奨するフードを活用しましょう。
  • おやつや間食は控えめに:血糖値のコントロールが難しくなるため、間食や高カロリーなおやつは避けるのがベストです。
  • サプリメントや特別な配慮:糖尿病犬は慢性的な炎症状態になりやすいため、オメガ3脂肪酸や抗酸化物質(ビタミンECなど)を含むサプリメントが有効な場合があります。
  • 水分補給を忘れずに:多飲多尿による脱水を防ぐため、新鮮な水を常に用意しましょう。

食事内容の変更は必ず獣医師と相談

糖尿病犬の食事内容は個体差が大きいため、自己判断で変更せず、必ず獣医師に相談しましょう。血糖値の推移や体重変化を記録し、定期的に見直すことが大切です。

運動の重要性と日常ケアのコツ

散歩をしている犬

運動は血糖値の安定や肥満防止、筋肉量の維持に役立ちますが、やりすぎや急な運動は低血糖のリスクを高めるため注意が必要です。

安全な運動のポイント

  • 毎日同じ時間同じ強度で行う:散歩や軽い遊びを日課にし、急激な運動量の増減は避けましょう。運動前後の血糖値変動に注意し、低血糖症状(ふらつき、元気消失、発作など)が見られた場合はすぐに糖分を補給し、獣医師に相談してください。
  • 無理のない範囲で継続する」年齢や体調に合わせて、無理のない範囲で運動を継続することが大切です。高齢犬や合併症がある場合は、運動内容を獣医師と相談しましょう。

また、日常ケアで気をつけたいこととしては、食事とインスリンのタイミングを守り、自己判断で量を増減しないことです。さらに、注射部位を毎回変えることで皮膚トラブルも予防できます。

定期的な健康チェック

血糖値測定や尿検査、体重測定を定期的に行い、変化があればすぐに獣医師に報告しましょう。糖尿病犬は白内障や炎症性疾患、感染症のリスクが高いため、目や皮膚、口腔内の異常にも注意を払いましょう。

まとめ

家族に囲まれた犬

犬の糖尿病は、食事と運動、日常ケアの積み重ねがコントロールの鍵です。糖尿病管理は長期戦ですが、愛犬と一緒に生活リズムを整えることで、健康寿命を延ばし、快適な毎日を送ることができます。家族みんなで協力し、前向きに取り組みましょう。獣医師と連携しながら、愛犬の健康を守るためにできることから始めてみましょう。

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