犬の気管支炎・肺炎はどんな病気?
犬の気管支炎や肺炎は、呼吸器に炎症が起こる病気で、慢性的な咳や呼吸困難を引き起こすことがあります。
気管支炎には急性と慢性があり、特に慢性気管支炎は完治が難しく長期的な管理が必要です。また、肺炎はさらに重篤な状態で、感染が原因となることが多く、適切な診断と治療が重要になります。
本記事では、犬の気管支炎と肺炎の違いや症状、診断方法、治療について詳しく解説します。
犬の気管支炎の原因や症状、治療法
犬の気管支炎には、急性気管支炎と慢性気管支炎の2種類があります。
- 急性気管支炎:ウイルス感染や細菌感染、刺激物(タバコの煙やほこりなど)によって引き起こされる一時的な炎症。通常、適切な治療で回復します。
- 慢性気管支炎:明らかな感染症や基礎疾患がないにもかかわらず、2ヶ月以上咳などの症状が続く場合を指します。根治が難しく、長期管理が必要です。
気管支炎の一般的な症状
- 乾いた咳が続く(特に興奮時や運動後に悪化しやすい)
- ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴音が聞こえる
- 重度の場合、呼吸困難を伴うこともある
気管支炎の診断方法
慢性気管支炎をしっかりと確定診断するためには、本来気管支鏡検査が必要です。しかし、気管支鏡検査には全身麻酔が必要なため、実施するかどうかは獣医師と相談する必要があります。診断の流れ
- レントゲン検査:気管支の状態を確認
- CT検査(必要に応じて):より詳細な画像診断。ただし麻酔が必要となる
- 気管支鏡検査:確定診断のために実施。ただし、CTよりも麻酔時間歯長くなるため、麻酔のリスクも考慮する必要がある
気管支炎の診断を確定させるために精密検査を行うことは重要ですが、診断がついたとしても、現状の治療法が変わらない可能性もあります。そのため、検査のリスクとメリットを慎重に検討することが必要です。
気管支炎の治療と管理
慢性気管支炎は完治が難しい病気であり、治療の目的は症状の軽減と管理になります。- 気管支拡張剤やステロイドの投与:炎症を抑え、気道を広げる
- 抗生剤(細菌感染が疑われる、あるいは免疫低下により細菌感染が発症する可能性が高いと判断される場合)
- 環境整備(生活環境による悪化を防ぐため)
- タバコの煙、香水、ほこりを避ける
- 室内の湿度を適切に保つ
特に環境整備は気管支炎の悪化を防ぐ重要なポイントですが、治療の中心は薬物療法であるため、過度に神経質になる必要はありません。
犬の肺炎の原因や症状、治療法
肺炎は、気管支炎よりもさらに深部(肺の奥)で炎症が起こる状態を指します。気管支炎が進行すると肺炎に発展することもあり、特に感染性肺炎が多く見られます。
犬の肺炎の一般的な原因
- 細菌やウイルス、稀ではなるが真菌などの感染
- 誤嚥(食べ物や液体が誤って気道に入ること。麻酔後や高齢犬に多い)
- 免疫低下による二次感染
肺炎の症状
- 元気消失や食欲不振
- 咳がひどくなる
- 発熱
- 重度の場合、呼吸困難やチアノーゼ(舌や歯ぐきが青紫色になる)
肺炎の診断と治療
肺炎の診断には、レントゲンやCT検査が必要です。また、気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、病原菌の特定をするのが理想ですが、実際には治療反応を見ながら抗生剤を使用することが多いです。
治療がうまくいかない場合の対応
肺炎が治りにくい場合、以下の可能性を考える必要があります。
- 耐性菌による感染(特定の抗生剤が効かない細菌)
- 基礎疾患の有無(免疫疾患や誤嚥の有無など)
- 薬剤性肺炎(特定の薬剤による副作用)
特にウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウェスティ)では、ある抗がん剤による薬物性肺炎が報告されているため、薬の影響により肺炎が発症する可能性もゼロではありません。
治療の流れとしては、まず抗生剤を投与し、改善しない場合はさらなる精密検査(CT、BAL)を検討するのが一般的です。
まとめ
犬の気管支炎や肺炎は、慢性的な症状が続くことがあり、完治が難しい場合もあります。特に慢性気管支炎は長期的な管理が必要であり、治療の選択肢も慎重に検討する必要があります。また、肺炎は感染が原因となることが多く、適切な診断と抗生剤の使用が重要です。
犬の呼吸器疾患は放置すると重症化する可能性があるため、早めの受診と治療が大切です。愛犬の健康を守るためにも、日々の観察と適切な環境整備を心がけましょう。