「犬にはこうするべき!」ってそれ、どの子にも当てはまりますか?
今、犬に関しての情報はとても溢れています。
食べ物に関するものやしつけに関するもの、情報がありすぎてどれが良いのだろうと迷うことはありませんか?私はあります。
食べ物に関していうと、ドッグフード派や手作り派、生の肉が良いなど様々な意見がありますよね?
しつけに関してもそうで、私のドッグトレーニングの仕方はリーダーシップを示す方法ですが、最近ではリーダーシップはいらないと教える方もいます。
皆さんそれぞれの考えや理念を持って教えていると思いますが、よほど酷いやり方でない限り、どれも間違った方法ではないし色々な方法が必要だと私は考えています。
なぜなら、人の性格も犬の性格も様々な上に、その両方が出会うことによって、他にはない一つしかない組み合わせが生まれるからです。
無数にある組み合わせに、一つのやり方・一つの方法を当てはめるなんて無理がありますよね。
もし、『こうでなければならない、こうしなければ!』と考えていて、でも上手くいかないと思っているのなら、一度立ち止まって、『本当にこれで良いのかな?自分と愛犬に合っているのかな?』と考えてみてください。
そう考えることがお互いの関係をより良くしていきます。
人と犬の関係は十人十色
愛犬とどんな関係を築きたい?
皆さんは犬を家に迎え入れようと考えたとき、どんな関係を築きたいか考えたりしますか?
どんな関係を築きたいか、どんな生活を愛犬と送りたいかを考える事によって、選ぶ犬の種類や性格も変わってきますし、接し方も変わってきます。
「アクティブに動き回りたい!ドッグスポーツをしたい!」という方が、あまり活発でない犬種やおっとりとした性格の子は選ばないと思います。
逆に家で一緒にのんびりしたい、一緒に走ったりは出来ないという方は活発で運動量のいるタイプも選ばないと思います。
落ち着いた関係を望むならテンションを上げる接し方は向いていませんが、ドッグスポーツをするならテンションを上げる方法を考えなくてはいけません。
『犬を飼ったらどうしたいか』を考えることは、人にとっても犬にとっても実はとても大切です。
犬を迎えいれようと考えているならば、先ずは飼う前に、その子との生活や築きたい関係を考えてみましょう。
偶然の出合いで巡り合った子とは?
もし、偶然の出合いで犬を迎えいれることになった時はこんな子が良いと言う選択は出来ませんが、よほど無理がある組合せ(高齢の方と活動的な種類の仔犬など)以外はその子とどう向き合って行くか、どんな関係を築いていきたいかを考え、その子と自分に合った生活スタイルを作って行けばよいのです。
そういう意味では偶然の出合いには、時に自分の性格や生活スタイルを変えてくれる事があります。
インドア派だったけれど、迎えた子は活発で出たがりだった為、自然と外へ出る機会が増えたり、色々な場所へ行く楽しみを知れたりと、新しい自分を発見させてくれることもあります。
大切なことは
どんな場合であれ、飼うと決めたその時から、その子としっかり向き合い、その子を知ろうと努力し、どんなことがあってもその子と最後まで付き合う覚悟を持つことです。
色々な情報もどれが自分に合っているのか、どれが愛犬に合っているかを考え、試行錯誤しながら向き合って行くことが何よりも必要です。
たくさんの情報に振り回されず、先ずは自分と愛犬の事を知り、どんな関係を築いていきたいかの土台を持つことが大事!
初めは上手く行かなくても、諦めずに向き合うことで少しずつあなたと愛犬だけのステキな関係が出来てきます。
愛犬を信じ、自分を信じて向き合って行けば、自然と良い方法にたどり着くものです。
でも一人で行き詰まってしまうこともあるので、そう言う時は専門家から直接アドバイスを貰うことをお勧めします。
情報を見るだけでなく、自分達の事を見て聞いてもらうことで、自分の気付かなかった事を教えてもらえるます。
愛犬の事をより知るには、家族以外の人と接する時や知らない場所での様子もしっかりと見ると良いです。
思いがけない姿を見たり、新しい発見がきっとありますよ。
私の出会った、聞いた色々な犬との関係エピソード
大切なことは犬に話して説得する
私はたまにペットシッターのお手伝いもしているのですが、これはある時にペットシッターとして伺ったお家の話です。
そのお宅のわんちゃんは、『もしかしたら咬むかもしれない』とのことだったので、シッター前カウンセリングに伺いました。
外飼いで2匹いたうちの1匹はとても友好的でしたが、もう1匹は怖がりで警戒心も強いため緊張していました。
確かに、下手に手を出すと咬まれそうな雰囲気。
『散歩に連れ出すのは難しいかも?』ということで、この子だけはフリーに出来るお庭で、ご飯とお水の交換だけすることになりました。
しかし、実際シッターに行ってみると、耳を伏せ友好的にしっぽを振っているではありませんか!
『行けるかも?』と思いリードを見せると、すんなり着けさせてくれました。
そして無事に散歩に行けたのです。
この事を飼い主さんに伝えると、「行く前にだいぶ言い聞かせました。お世話をしてくれるんだからね、ちゃんと言うこときくんだよ」と。
だいたい言い聞かせると聴いてくれるんです、と話してくださいました。
『なるほど、そういう話もよく聞くな』と思い、私もしつけの時に試してみましたが、大抵は『なにいってるの?』って顔をされます(笑)
これは長年築いてきた関係がなせる技だと思います。
それが合っている
男の人は犬を(人の子も)「良い子だねぇ!偉いねぇ!」と大袈裟に褒める事が苦手だったりします。
たまにとても上手に褒める方も居ますが、大抵は「よしよし!」という感じで撫でてあげるだけだったりします。
しつけに来られていた、ある飼い主の男性もそうでした。
けれど、そういう人は怒る時は思いっきり怒るのです。
『それなら褒めるのももう少し褒めてあげられないかな?』と思うこともありましたが、そこのワンちゃんを見ていると天真爛漫で、怒られても懲りないタイプ。
怒られてもケロリりとしていました。
そして、そういうタイプの子は褒めすぎるとテンションが上がりすぎて、バタバタして落着きをなくす子が多いので、静かに褒めるこの飼い主さんで合っているのだな、と思いました。
兄弟のように
これは聞いた話ですが、子供さんが小学生の時に子犬を飼って育てていたら、まだ子犬ですので子供さんにじゃれついて、甘噛みをしていたそうです。
見ていると、それに対して子供さんも「痛い!」と言って噛み返していたそう。
どうしたものかと考えていたそうですが、しばらく様子を見たそうです。
すると、そういうことを繰り返すうちに段々と甘噛みもじゃれ噛みも無くなり、静かに寄り添い合うようになったそうです。
これは、仔犬が母親の傍で見守られながら兄弟たちと育ちじゃれあい、噛み加減や接し方を学んで行くのと全く同じ方法だったのではないでしょうか。
さいごに
今まで色んな飼い主さんやワンちゃんに会って来ましたが、1つとして同じ関係はありませんでした。
付き合い方や飼い方も様々で、その中で大なり小なりの問題を抱えながら、それを受け入れたり変えようと愛犬と向きあっていました。
中には向き合うことをせず、愛犬のせいにする方も居ます。
そういう方とお話をする機会が持てた時は、「人が変われば犬も変わりますよ」、と言うことを伝えるようにしています。
逆を言えば人が変わらなければ犬も変わりません。
愛犬とより良い関係を築きたいと思うのであれば、まず自分が変わることです。
そうすれば、なりたい関係にきっとなることが出来ます。